第 9 章 主要投資インセンティブ
7. 自由貿易地域
バタム島、ビンタン島およびカリムン島は、自由貿易地域に指定されており、自由貿易 地域に持ち込まれる物品に対する輸入関税が免除される。また、輸入税(付加価値税およ び所得税法 22 条に定める税金(前払い法人税))も免除されるが、自由貿易地域からイン ドネシア国内に持ち込まれる物品に対しては、輸入関税および輸入税が課される。
サバン地区も自由貿易地域および自由貿易港に指定されており、自由貿易地域に持ち込ま れる物品に対する輸入関税や輸入税(付加価値税および所得税法22条に定める税金(前払 い法人税))も免除される。
第10章 外資規制業種
1.外資参入規制
大統領令2010 年第36 号により、外資の参入が禁止される分野および外資の参入が規制 される分野が規定されている。インドネシアへの投資を検討するにあたっては、予定する 業種が規制対象に該当していないか、該当する場合にはどのような規制の対象となるかを 確認する必要がある。以下に、規制対象となる主な事業分野と規制内容の概要を紹介する。
(1) 外資の参入が禁止される分野
外資の参入が規制される分野は、①外資・内資ともに参入が禁止される分野、②外資の 参入が禁止される分野に分かれる。
①外資・内資ともに参入が禁止される分野
人体や環境を害する恐れのある分野をはじめとして、以下の分野が規定されている。た だし、研究開発など非営利の場合には、所管する機関の承認を得ることで参入が可能とな る場合がある。
図表 10-1 外資・内資に拘らず投資が不可能な分野の概要
分野 主な対象
農業 大麻の栽培
林業 ワシントン条約で指定された魚類の捕獲、珊瑚の建設資材向け利用/採取等
製造業 アルコール飲料(蒸留酒、ワイン、麦芽入り飲料類)、環境破壊物質(ハロン等)、
化学兵器禁止条約で指定された物質(サリン等)の製造
運輸 陸上ターミナルや重量検査の設置と運営、車両検査の実施、航空管制業務等 情報通信 無線周波数および衛星軌道監視基地の運営管理
文化・観光 公共博物館、古代遺産(寺院、城郭、碑文、遺跡、古代建築物など)、賭博/カジノ等
(出所)2010年大統領令第36号より作成
②外資の参入が禁止される分野 さらに以下に大別される。
①内資の中小企業や協同組合のために留保されている分野(図表 10-2)
②内資100%が要求される、およびそれに加えて特別な許可を要する分野(図表 10-3)
図表 10-2 内資の中小企業や協同組合のために留保されている分野
分野 主な対象
農業
米・トウモロコシ・大豆等基本食用作物の25ha以下の栽培、サトウキビ等の甘味植物・タバコ・綿 花・ゴム等の作物の25ha未満の栽培、畜産業(125匹以下の豚の飼育、鶏の飼育と交雑)、特定生 産能力未満のプランテーション産物の加工業 (食用油、ヤシ繊維、ナタデココ、ココナツ油、コー ヒーやカカオの皮剥き等)等
林業 野生動植物の捕獲と流通(ヘビ、ワニ等の爬虫類を除く)、シナモン等の森林プランテーション事 業、製材業(年間生産能力 2000立方メートルまで)、ラタン加工一次産業等
海洋・漁業 12海里までの水域における30GT以下の漁捕船を用いた捕獲漁業 エネルギー・
鉱物資源 1MW(メガワット)以下の小規模発電
製造業 穀類・根菜等の加工食品産業、バティック等の伝統柄を布へプリントする産業、特定の文化遺産や 芸術的価値を有する手工芸産業(刺繍産業、ラタン・竹の編み細工産業等)、家庭用の粘土製品
(特に陶磁器)産業、二輪車の修理・メンテナンス産業等
公共事業 簡素な技術を利用した及び/又は低リスク及び/又は工事金額が 10億ルピアまでの建設サービス
(商業・教育関連建設工事、スポーツ施設建設工事、港湾・ダム等建設工事、解体工事、エレベー ター/エスカレーター設置工事、セメント工事、塗装・内装工事、清掃作業等)
文化・観光 旅行代理店、観光ガイドサービス業等
情報通信技術 コミュニティー放送機関(LPK)、インターネットカフェ等
(出所)2010年大統領令第36号より作成
図表 10-3 内資 100%が要求される、およびそれに加えて特別な許可を要する分野
分野 主な対象 必要な許可等
林業 自然林の林産物利用事業、森林の水環境サービス利用
等 なし
海洋・漁業 沖合いにおける100GT以上の漁船を用いた漁業、海砂
採取等 なし
民営清掃サービス、小売業(営業床面積が1200平方 メートル未満のスーパーマーケット、営業床面積が200 平方メートル未満の百貨店、コンビニエンスストア 等)、代理店業、農業機械レンタル、オフィス機器レ ンタル等
なし
アルコール飲料の輸入・卸売・小売業等
商業許可(SIUP)、ア ルコール商業許可(SIU P-MB)を有し、流通網 と特別な場所を確保してい ることが必要
文化・観光 映画製作、配給、上演等 なし
運輸 路線バス、村落輸送等 なし
情報通信技術 通信塔の供給・管理、民営放送機関、報道会社等 なし 銀行 庶民信用銀行、シャリア商業銀行、両替商等 なし 労働・移住 海外でのインドネシア人労働者候補の採用、研修等 なし
保健 伝統薬産業、薬品及びその原料の大規模販売、薬局、
民間の助産院、個人開業医等 なし
国防 武器、爆薬等戦争用装備産業 国防省からの推薦状が必要 商業
(出所)2010年大統領令第36号より作成
(2) 条件付きで外資が参入可能な分野
条件付きで外資が参入可能な分野は、以下のように分けられる。
①内資との合弁が義務付けられるもの(図表 10-4)
②外資の比率が制限されるもの(図表 10-5)
③特別な許可を要するもの、およびそれに加えて外資比率も制限されるもの(図表 10-6)
④地域が制限されるもの、およびそれに加えて外資比率も制限されるもの(図表 10-7)
図表 10-4 内資との合弁が義務付けられる分野
分野 主な対象
林業 ラタン(藤)事業、竹事業、養蜂業等
海洋、漁業 魚の養殖業(海水、汽水、淡水)、水産物加工業、水産物販売・流通業等 エネルギー・
鉱物資源 発電容量1-10 MWの小規模発電所
製造業 タバコ加工業、バティック染め、ラタン(藤)加工業、石灰・セメント業、
各種部品(釘、ナット、ボルト等)製造業等
情報通信技術 電話のコンテンツサービス(リングトーン、プレミアムSMSなど)、コールセン ター等の電話付加価値サービス業
(注) 合弁の場合、外資の出資上限は95%となる。
(出所)2010年大統領令第36号より作成 図表 10-5 外資の比率が制限される分野
分野 主な対象 外資比率
上限
狩猟区域での狩猟事業、野生植物繁殖等 49%
森林地域内でのエコツーリズム施設、活動、サービス事業の形態によるネイチャーツーリズム事
業 51%
地熱施設操業・メンテナンスサービス 90%
地熱堀削、地熱発電、石油・ガス掘削サービス、送配電等 95%
製造業 車両メンテナンス・修理 49%
飲料水事業、高速道路事業 95%
高度な技術を利用した及び/又は高いリスク及び/又は工事金額が10億ルピア超の建設サービス
(商業建物、教育施設、ホテル、公共娯楽建物、線路・滑走路建設作業、橋・高架道路・トンネ
ル・地下道建設作業、通信網・送電線工事等) 67%
建設ビジネス/コンサルティングサービス
(設計コンサルティング、設計デザイン、都市計画、景観設計、物理的性質の試験・分析等) 55%
商業 事業パートナーが開発した市場網を通じた直接販売 95%
アートギャラリー 67%
映画技術サービス(撮影/フィルム加工/吹替) 49%
保護地域外のネイチャーツーリズムサイト事業 51%
運輸 貨物輸送(コンテナ、一般、危険貨物、特別貨物、重機)、海運、河川輸送、国内連絡輸送、空 港サービス、航空積荷サービス、空運サポートサービス等 49%
固定通信網事業、インターネットサービスプロバイダー事業等 49%
特定固定網事業、移動網事業(携帯・衛星)、公共用電話回線インターネットサービス等 65%
データ通信システムサービス 95%
リース業、リース以外のファイナンス事業(消費者金融等) 85%
ベンチャーキャピタル、損害保険、生命保険、再保険、保険代理店等 80%
労働・移住 国内におけるインドネシア人労働者雇用サービス、職業訓練サービス等 49%
教育 非公式教育サービス(民間コンピューター教育、民間語学教育等) 49%
製薬業 75%
経営コンサルティング、保健サポートサービス等 67%
保健機器メンテナンス・修理、針灸サービス等 49%
保健 林業
公共事業
文化・観光
情報通信技術 金融 エネルギー
・鉱物資源
(出所)2010年大統領令第36号より作成
図表 10-6 特別な許可を要する分野、およびそれに加えて外資の比率も制限される分野
分野 主な対象 必要な許可等 外資比率の上限
農業遺伝資源の活用、遺伝子組換生物
の活用 農業大臣からの推薦状 49%
基本食用作物(米、トウモロコシ、大
豆等)の栽培 農業大臣からの推薦状 49%
その他の食用作物の育苗 農業大臣からの推薦状 95%
自然の生息地からの爬虫類の捕獲と流 通(ヘビ、オオトカゲ、カメ、スッポ
ン、ワニ)、ベニヤ産業、合板産業等 林業大臣からの推薦状 なし 野生動植物の遺伝子利用技術の開発 認定機関/林業大臣指定の国内機関との協力表
明 なし
海洋・漁業 自然の珊瑚の水族館用の利用 海洋・水産大臣からの推薦状 なし エネルギー・
鉱物資源 放射性鉱物鉱業 BATAN(原子力庁)からの推薦状 なし
タバコ産業の事業拡張等 工業省からの推薦状 なし
現金、切手、印紙、有価証券、旅券、
住民書類、ホログラムなどの特別印刷 物/証券書類産業及び特殊インク産業
1)偽札撲滅調整庁(BOTASUPAL)/国家諜報庁
(BIN)からの営業許可
2)工業省からの推薦状 なし
クラムラバー産業 農業省からの原材料供給推薦状 なし
黒船溶解産業(使い古したバッテリー
の原料を利用する場合) 環境省と工業省からの推薦状 なし
製造業 精糖産業
1)新規精糖工場設立または拡張の場合は、法 規に基づき自社所有のサトウキビ畑を事前に開 発のこと2)日産能力8,000トン超の新規精糖工場を設立 のこと
95%
労働・移住 移住地域における農業(食用植物、園 芸植物、プランテーション、畜産)、
漁業活動 労働・移住大臣からの移住実施許可 なし
保健 麻薬製造業(製薬業)等 保健大臣からの特別許可 なし
国防 起爆剤用の硝酸アンモニウム産業 国防省からの推薦状 49%
警備 警備コンサルティング・人材提供サー ビス、現金・貴重品運搬警備サービ
ス、警備研修サービス等 国家警察本部からの営業許可 49%
林業
製造業 農業
(出所)2010年大統領令第36号より作成
図表 10-7 地域が制限される分野、およびそれに加えて外資の比率も制限される分野
分野 主な対象 対象地域 外資比率の上限
農業 豚の繁殖と養殖(125匹超) なし
1・2つ星ホテル 51%
簡易ホテル 51%
レストラン 51%
食事サービス/ケータリング 51%
旅行代理店(国外向けツアーオペレーター)
レクリエーション・娯楽業
(プール、天然浴場、釣堀、ボーリング、ビリ ヤード、ディスコ、マッサージ、サウナ等)
ゴルフ
バー/カフェ/カラオケ
保健 看護サービス メダン・スラバヤ 51%
文化・観光
その営業が地方条例 に反しない地域
(零細中小企業・49%
協同組合とパート ナーシップの場合に
は51%)
(出所)2010年大統領令第36号より作成