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長谷川稜

ドキュメント内 Date of Submission January 16, (ページ 91-96)

第 4 章 課題解決のプロセスの詳細 9

4.3 担当課題解決過程の詳細

4.3.13 長谷川稜

5月 フィールド調査,バスの提案

 本プロジェクト開始当初に、市電やバスを利用したフィールド調査をし、現在の函館市の 公共交通に対する問題の抽出を行った。市電やバスを利用する上で、市電とバスの乗換と なっている五稜郭からフィールド調査を始めた。実際に、フィールド調査を行った経路を以 下に示したい。まず、市電を利用するため五稜郭公園電停から乗車し湯の川電停まで向かっ た。その後、湯の川電停から、函館駅前電停に向かい函館駅に到着するとバスを利用した。

函館駅前バスターミナルから宇賀浦町で降り30分ほど休憩をとったところで、同バス停か ら日吉営業所まで向かった。日吉営業所にて、北大前・フェリー前行きのバスに乗車し終点 まで向かった。函館フェリーターミナルからスタート地点の五稜郭まで向かい、再度市電に 乗車した。スタート地点とした五稜郭公園電停に到着すると、函館どっく前行きの市電に乗

停に到着したとき、湯の川方面行きの市電に乗り換え、その途中の電停であった十字街で降 りた。十字街で降りた理由には、函館山の夜景観光のバス路線が運行されていたため他の路 線バスよりも比較的観光客が乗車していると推測し、本当にそうであるか、あるいは、並走 しているロープウェイとどう棲み分けがされているのか考える必要があったためである。函 館山からは、函館駅まで向かい市電に乗り換え、スタート地点とした五稜郭公園電停に到着 し、フィールド調査を終了とした。フィールド調査を行った後、抽出した問題点をプロジェ クト内で発表を行った。取り上げられた問題点の中には、本稿の問題提起とした運行本数が 少ない運営の問題や中心部における利用者数と比較すると郊外における利用者数は少ない問 題などが挙げられた。問題提起から発表を通して、私は、バスについて考えるグループに所 属した。

 バスグループでは、現在の函館バスの路線網が複雑になっている点に着目し、バスの路線 網を考える上で市電との棲み分けが必要であると提案した。具体的には、市電と並走してい るバス路線を縮小することやバスターミナルを電停付近に設置することで、市電の乗換に都 合がよくなるといった解決案である。しかし、提案に至るにあたって、背景と問題提起が しっかりとまとまっていない点や実際に考察した後のどうなったのかに対する解決策を提示 できていない点があったため、なぜ自分達は、路線網を整備しようとするのか原点に立ち返 る必要があった。その過程で、路線図の分かり難さが目立っている意見に共感し、函館市と 同じく市電とバスを運行している他都市の路線網はどうなっているか調べた。函館市と比べ て他都市の路線網には、市電と並走しているバス路線は少なく、パーク&ライド方式で自家 用車の人にとっても利用できる仕組みが充実していた。もし、他の都市にない公共交通の利 用を通じて函館市独自のイベントを体験できれば、利用者にとっても公共交通を利用する機 会が増えるのではないかと考えた。また、函館市は観光都市として全国から毎年、観光客も 訪れているため、観光客にとっても公共交通を利用する楽しみにつながる魅力になると思わ れる。函館市でも観光地として名高い五稜郭が観光者のみならず市民にとっても憩いの場と なっていると考え、なおかつ市電やバスの乗り換えもできるこの場所に「複合型商業施設と なるバスターミナルを設置する。」、これをバスの問題点の解決案として提案した。

6 バス・市電の提案

 先のバスグループの提案の発表を通して、なぜ、五稜郭にバスターミナルを設ける必要が あるのかを説明する上で統計的な数字、具体的な利用者数のデータといった提案に対する裏 づけを述べることができず論理的な説得力に欠けていたため、市電、バス双方の視点から考 えられるグループが必要となった。その後の中間発表に至るまでの過程では、新たにできる 市電、バス各グループを統合させた「市電・バスグループ」に所属している。

 初めに、「市電・バスグループ」、後にできる「新しい公共交通グループ」、両者の因果関 係を明確にする必要性や各グループが独立した提案でなく統一している内容が求められるた め、コンセプト立案を始めた。日本三大夜景の一つと評されている函館山から眺望できる夜 景がある点や様々な文化が流入した独特な町並みを形成している点といった函館市の特性 を鑑み、コンセプトを「函館市をよりメモリアルな街へ」と決めた。重ねて、市電・バスグ ループでは、コンセプトに結びつく公共交通の提案をする上で、キーワードを「思い出」と している。これは、観光地での魅力的な公共交通は、観光客にとって印象的であるため思い 出につながるであろうという意見にまとまったためである。キーワードを軸にグループ内で

作成したマインドマップを通して、市民にとっても、観光客にとっても「思い出」になる公 共交通が必要となったため市電やバスで「思い出」につながる体験を提案するべきという結 論に至った。具体的に、市電には「レトロ市電による給食体験」を、バスでは以前来訪時や 過去の時代を投影し、「思い出」を想起することを体験できる「メモバス」を提案し公共交 通の利用者に印象深い出来事を体験できる公共交通の構築を行うことを目指した。

7 中間発表に向けたモックアップ製作、中間発表、中間報告書の作成

 中間発表における市電・バスグループの提案である「レトロ市電による給食体験」と「メ モバス」に対して各々の模型を製作したり、イメージ図を作成することが求められると考え た。それは、「市電・バスグループ」だけでなく、「新しい公共交通グループ」においても同 様に必要であったため両者の意見が一致し、上記を製作する「モックアップ班」を設置す ることになった。私は、「市電・バスグループ」のモックアップを考える「モックアップ班」

に所属し、主に「メモバス」における車内のイメージ図の作成を担当した。イメージ図を作 成する上で、グループで求められていた「メモバス」の特徴、性格を踏まえた車内車内内装 のデザインが求められていた。前述のイメージ図を作成する上でAdobe 社 Illustrator を 用いて、過去と現在の函館市の情景をディスプレイに表示することで利用者の思い出につな がる、あるいは想起すること点に注目しそのデザインを考え、作成を始めた。しかし、その 求められていた意見を酌もうとしていた結果とは反対的な、イメージ図とはいえないデザイ ンとなってしまった。現在の函館市で運行されている函館バスの車両を参考にしすぎていた り、タッチパネルが搭載されているディスプレイを各座席の背もたれや車窓に描いただけの 図であったため、見ていただいた方々にとっては印象に残らず結果として説得力に欠けるイ メージ図となってしまった。

 市電やバス、新しい公共交通に対する提案が固まった一方で、「レトロ市電による給食体 験」と「メモバス」の相乗効果でどのように問題を解決できるかのアプローチに対して説得 力に欠けてしまっていた。中間発表ではそれが起因したためか、聞いている方々に本当に実 現できるのかや持続できるのかといった現実性の問題に困惑させてしまい、後の最終発表ま での課題に影響するようになってしまった。自分が担当したモックアップの作成も、単なる イメージ・空想上の話で終わってしまう危惧があった。さらに、得られた両グループの提案 を1つに絞るか、あるいは3つの提案をそのまま最終発表で提案するものとみるのかといっ た今後の展開に対してどうするのかが問われた。

8-9月 プロトタイプの考案

 中間発表に対する反省を鵜呑みにせず、夏休みに入ってもそれを改善するためにどうする か今後の方針を考える必要があった。中間発表を終えた当初、一番の反省点であった発表し た提案における実現可能性と持続可能性のなさやどのように今の函館市の公共交通における 問題点を解決に導くのかなど解決方法の曖昧さなど論理的説得力に欠けていたところを見直 すためにもう一度フィールド調査を行うことを予定していた。夏休みには、フィールド調査 を行える時間が十分にあり、問題点を抽出し直し吟味する上で時間的にも最適だと考えられ たからである。しかしながら、前述の方法に至らず、夏休みでの活動や後期の活動が始まる にあって先の3つの案は保留という形で以下の方式に着目した。

中間発表での反省を改善する上で、中間発表で発表した提案に対して説得力に欠けた部分を 情報技術の適用により実用化を試みる「プロトタイピング方式」をとった。プロトタイピン

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