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田村速人

ドキュメント内 Date of Submission January 16, (ページ 87-91)

第 4 章 課題解決のプロセスの詳細 9

4.3 担当課題解決過程の詳細

4.3.12 田村速人

5 フィールドワーク,現在の公共交通の状況と問題点の分析

当プロジェクトのテーマは10年後の函館の公共交通をデザインする,である.10年後の函 館の公共交通について考えるにあたり,まずは現在の函館の公共交通がどのようなものであ るか,現在公共交通の利用客がどのような点について不便に考えているのか,または函館の 公共交通にはどのような問題があるのかを把握するために,フィールドワークを行なった.

フィールドワークでは,函館の公共交通において主となるものである市電と路線バスを実際 に利用し,利用者の様子を観察することで実際に利用してみなければわからない現状や問題 点について調査した.

このときに見受けられた公共交通の現状や問題点について,まず市電については函館の住民 の方々の普段の通勤,通学をはじめとする生活に利用する路線という一面と,旅行などで函 館市以外の地域,日本各地から訪れた観光客の方々が利用する観光路線であるという一面が 見られた.また,生活路線として利用している函館市の住民で市電を利用する方々は割と高 齢者が多く,観光での利用者は世代を問わず多いが,中でも修学旅行で訪れてたと思われる 中学生,高校生の姿が多いことが目立った.このように観光客の方々に多く利用して頂ける ことは,観光地周辺を結ぶという理由の他に,市電という乗り物自体が観光の目的のひとつ になっていることも挙げられる.対して問題点については,上述のとおり利用客に高齢者が

立ったこと,これに起因することの他に道路状況などに多少影響され,時刻表どおりの運行 が難しいこと,道路を走行する他の自動車との安全性の問題,そして路線が少なく,限られ た目的地に行く場合にしか利用できないことなどが挙げられた.

また,路線バスに関しては,観光客の利用はそれほど多くなく,観光目的で設定されている もの以外の一般路線に関しては函館に住んでいる方々が利用する生活路線としての役割が大 きなものであることがわかった.路線数や行き先が豊富に存在することは市電と違ってメ リットとなる部分であるが,運行本数が極端に少ない路線があることや,渋滞などといった 道路状況の影響を受けやすく,時刻表で決められている時刻とおりの定時運行が難しいとい う大きな問題点が挙げられた。

 私たちは,このようなフィールドワークを行なった結果をまとめ,メンバー間で情報を共 有するために,プロジェクト内でそれぞれのフィールドワークの結果を発表した.さらに,

プロジェクトメンバー内でグループに分かれ,ブレインストーミングを行なった.このブレ インストーミングは,発表することで共有した各個人の情報を1つにまとめ,整理,分析 し,1つのグループの意見や考えとしてまとめるために行なったものである.また,この段 階では函館市の公共交通の現状と,日本国内や海外の他の地域の公共交通の現状とを比較し たり,他の地域において活用されている公共交通の新しいシステムについて調査し,函館の 公共交通に応用できるものはないかという考察も行なった.

6月 市電・バスにおける新しい提案,OSSセミナーへの参加

私はまず最初のグループ分けにおいて,市電について考えるグループ,バスについて考える グループ,そして今までにない新しい公共交通の導入について考えるグループの3つのうち バスについて考えるグループに入った.

バスグループでは,函館の現状の問題点の対策となる提案として,五稜郭に新しいバスター ミナルを設置し,五稜郭でのバスの乗り換えをスムーズにすることや五稜郭を中心とした バス路線の路線網を形成し,さらに便利なバス路線とすること,さらにバスターミナルに ショッピングモールなどといった大型商業施設を併設することで利用客の増加や利用客の利 便性の向上を図るといった提案を行なった.またその他にも,バス車内で様々なイベントを 開催するといった提案も行なった.

これらの提案は,プロジェクト内で何度か行なった発表会において発表し,他グループのメ ンバーからも提案に関する意見をうけ,新しい提案に結び付けるようにした.また,当プロ ジェクトではプロジェクトメンバー同士での発表だけでなく,担当の先生方に対してのプレ ゼンや,市役所で函館市の公共交通の問題解決に取り組んでおられる職員の方を招いてのプ レゼンも行なった.このときに先生方や市役所職員の方々にいただいた意見やアドバイス は,私たちのプロジェクト活動を進めるにあたり,必要不可欠となるものばかりであり,非 常に価値のあるものであったと考えている.

また,私はこの時期に,これらの活動と並行してプロジェクト活動ワーキンググループ主催 のOSSセミナーにも参加していた.ここではOSSを利用したWebサイトの構築やそのた めのサーバ構築の技術について学んだ.この段階では,当プロジェクトでもこれらの技術を 利用して公共交通の利用者あるいは運営者をサポートするようなシステムを作るということ も考えていたが,最終的にそのような成果物を作ることはしないという結論になった.しか しこのセミナーで私が学んだことはプロジェクト活動内だけでなく,情報科学の分野を学ん

でいくにあたって価値のあるものであったと考えている.

6月中旬から下旬にかけての期間では,グループの分け方の見直しを行なった.これは,バ スグループと市電グループは考察の対象がバスと市電で異なることが,活動を進めるにあ たって両者が同じ様な提案を行うなどといった不都合を招いており,両グループを統合した 方がプロジェクトの活動を進めるにあたって効率が良いのではないかと考えたからである.

市電グループのとバスグループを統合し,新たに市電,バスグループ,と新たな公共交通グ ループの2つのグループで活動していくにあたり,提案の軸となるコンセプトを設定した.

このコンセプトが「メモリアルな街 函館」というものである.また,思い出という言葉を キーワードとして定め,新たな提案について考察した.ここで提案したのが「給食市電」と いう新しい市電のシステムの案,そして「メモバス」という新しいバスに関するシステムの 案である.「給食市電」はその名のとおり,給食を市電車内で提供し,利用者に昔の懐かし い思い出を思い出したり,懐かしんでもらうというものであり,今までの市電のイメージで ある交通手段としての市電だけでなく,市電に乗ること自体が目的の1つなりうることで,

市電の利用者の増加を狙うという提案であった.市電の昔ながらの懐かしい雰囲気とも相性 が良いのではないかと考え,新たな観光スポットの1つになりうるのではと考えた.「メモ バス」に関しては「メモ」と「バス」という2つの言葉を組み合わせたもの,また,メモリ アルなバスという意味を込めて名づけた.こちらは利用者がそのバスで行って来た観光地の 写真などを投稿したり閲覧することのできる端末,ディスプレイをバス車内に設置するとい う案であり,写真の閲覧だけでなく,地域の情報や交通情報,観光に関する情報を利用者が 閲覧することができるという機能についても提案した.

7 発表に向けての準備と中間発表,中間報告書の作成

中間発表に向けて,これまでプロジェクトの活動において挙がった提案をまとめ,発表のた めの準備を行なった.発表において聴衆に私たちの提案を理解してもらうために,これらの 提案を行うに至った経緯やその根拠について意見をまとめることを行なった.また,この準 備の中で私は,給食市電のモックアップを作成する役割を受け持った.画用紙などを用いて 立体的な市電の模型を作成し,市電の車内で給食が食べれるような机と椅子を設置するとい う給食市電の内装を聴衆に視覚的に一目でわかってもらえるようにと作成したものであった が,中間発表本番においてこのモックアップを効果的に発表の中に生かすことができなかっ たことが反省点である.

中間発表を終えた後,発表を聞いてくださった方々からのアンケートの結果を見ると,私た ちが意図した意見や考え方がうまく伝わっていないという答えや厳しい意見が多く見られ た.ここで,ただただ提案について話をするだけでは本当に将来実現できるのかといった現 実性や,そもそもこれらの提案が函館の公共交通に必要であるかといった必要性が伝わらな いといった発表における問題点を認識した.ここでの反省を踏まえ,最終発表に向けては形 に残る,目に見える成果物を作成するということが目標となった.

その後,前期期末提出物の準備を行なった.これまでの成果や活動の過程を振り返り,学習 フィードバックシートを記述し、また、当プロジェクトの活動における成果や過程について まとめ、中間報告書の作成を行なった.私はグループの中間報告書の中で今後の課題と展望 の項目の執筆を担当した.

9月 システムのプロトタイプの考案

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