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補助診断法 a. CT および MRI

ドキュメント内 ガイドブック_医療編 (ページ 30-33)

成人の正常圧水頭症

5.  補助診断法 a. CT および MRI

 脳室拡大は、CT およびMRI により容易に診断できます。脳室の 広さを測定して、正常の脳室の広さと比較すればよいのです。

 NPH では内部から脳室系を圧迫し、丸味を帯びた拡大を示しま す。そして、脳脊髄液が脳室壁を押し拡げ、脳の白質(神経線維の 束で出来ています)内に溢れ出ます。約半数の症例では、左右の大 脳にひとつずつある側脳室の前の方から、脳脊髄液のしみ出しが不

規則な黒い像としてCT で観察されます(図2-a)。うち、くも膜下出 血をはじめとする続発性 NPH では、脳溝(いわゆる脳のシワ)が 失われ、脳脊髄液が充満した像を示します。図 2-b は、シャント術 後 1.5 カ月後の CT で、前記の不規則な黒い像は軽減し、脳室の縮 小が得られました。

 脳室拡大の原因は必ずしも水頭症に限ったことではなく、脳が萎 縮した状態でも認められます。特発性 NPH は、脳萎縮像を伴うこ とがありますので、両者の鑑別はしばしば困難になることがありま す。こうした場合にMRIを使えば、例えばこのCT 画像にみられる 側脳室の前の部分の黒い像などが、CT 以上に鮮明に観察され、脳 の白質部分への脳脊髄液の拡がりの程度を容易に知ることができる ばかりでなく、神経細胞が変性した状態をも捉えることが可能で す。

図2:脳動脈瘤破裂後の正常圧水頭症(41歳、女性)

a:シャント術前―側脳室の拡大、両側側脳室前端部周辺の著明な低吸 収域(不規則な黒い広がり)の出現と脳溝の減少がみられる。

b:シャント術後1.5カ月―側脳室の縮小と上記黒い広がりの縮小、脳 溝の再現をみる。後、家庭復帰。

b. CT システルノグラフイー

 水溶性造影剤を腰椎くも膜下腔に注入し、6 時間、24 時間、48 時 間後に CT 検査をして、髄液循環障害の程度を判定する方法です。

c. 持続頭蓋内圧あるいは脊髄腔圧測定法

 頭蓋骨に孔を開けるか、腰椎くも膜下腔を皮膚から穿刺して、

チューブを挿入し、これに圧感知装置を接続し、一昼夜あるいは夜 間の圧を持続的に記録する方法です(図1)。圧波の数が多いほど、

レム睡眠期の圧波が大きいほど、また、基礎圧が高い患者さんほ ど、シャント術の有効度が高くなります。

d. 髄液排除試験

 腰椎穿刺で、1 回 20 〜 40ml の脳脊髄液を排除し、その後、症候 の改善がみられるかどうか調べる簡便な検査法で、外来で検査をし ている病院もあるようです。また、患者さんを入院させて、腰椎く も膜下腔を穿刺して細いチューブを挿入し、間に逆流防止装置を接 続し、滅菌した袋に脳脊髄液を集める方法もあります。入院中は自 由な体位をとらせ、歩ける患者さんには歩いてもらい、1日量200ml までを限度に、3 〜 4 日間持続的に脳脊髄液を排除、収集するやり 方4) で、このあと症候の改善度をみて、シャント術を行うか否かを 決定します。1 回の排除法より有用な方法として、筆者は最も重要 視して行っている検査法です。

e. その他

 脊髄腔内に圧負荷をかけて髄液の吸収抵抗を測定したり、脳血流 を測定したり、脳の酸素の取り込み率を測定する方法などがありま

すが、一般的ではなく、特殊な施設に限って行われています。

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