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二分頭蓋

ドキュメント内 ガイドブック_医療編 (ページ 148-152)

先天性交通性水頭症の原因疾患

5.  二分頭蓋

 二分脊椎の 80 〜 90% は神経因性膀胱を生じ、泌尿器科的管理を 要します。残尿や膀胱尿管逆流現象は尿路感染症を高頻度に合併 し、腎盂炎、腎盂腎炎、水腎症を生じ、腎不全に至ることがあります。

 また、直腸障害も便秘をはじめ 腸閉塞をきたして大きな問題と なることもあります。

 斜視、眼振、視力低下もおこり得ますので、眼科的管理も必要で す。

 脊髄髄膜瘤の患児の身体的成長障害の一因に、内分泌学的異常と して中枢性思春期早発症、成長ホルモンの分泌低下があり、5 〜 35%に起こると報告されています。一般の発生頻度より高く、脊髄 髄膜瘤の高位の例やシャント再建の多い例に多いとされています。

しかし、これについては治療可能なので、早期に診断し、治療を行 うべきです。

 以上のように、顕在性二分脊椎の患児の管理には、熱意ある脳神 経外科、整形外科、泌尿器科、眼科、神経科、内分泌科などの医師 とナース、心理・理学療法士、ケースワーカーなどの医療従事者は もとより、家族と患者が一体となったチームワークが要請され、そ の成否は予後と密接な関係にあります。

図6:二分頭蓋の発生部位による分類と頻度

図7

A)後頭部脳瘤  B)頭頂部脳瘤  C)頭蓋前頂部脳瘤 

A A B

C

前頭蓋窩 

前頭蓋底  側頭  大翼  上眼窩裂 

鼻骨     上顎骨  前頭突起 

上顎骨  矢状断 

斜台  篩骨 

a.部位  c.分類 

I. 頭蓋穹窿 

 1. 後頭      70% 

 2. 前頭間   3. 頭頂    10% 

 4. 大泉門,小泉門   5. 側頭 

II. 前頭篩骨(シンシピタル)15%  

 6. 鼻前頭   7. 鼻篩骨    8. 鼻眼窩      

III.頭蓋底  1.5%  

  9. 経篩骨    10. 蝶形篩骨     11. 経蝶形骨    12. 前頭蝶形骨または          蝶形眼窩 

b.部位  蝶形骨小翼 

篩板 

頭頂

蝶形骨 

ます(図6、7、8)。逸脱部位からは、頭蓋底部、頭蓋前項部、頭 蓋弓隆部に大別されます。

 大多数を占める後頭部脳瘤はさらに、健常での静脈洞交会部であ る後頭結節隆起(イニオン)を指標として、「イニオン上型」と「イ ニオン下型」に細分されます。

 稀な脳瘤として、側頭部、錐体、中耳、頭蓋弓隆外側部の脳瘤が あります。

 合併奇形としては、二分脊椎、Klippel-Feil 奇形、四肢形成不全、

心奇形、肺、腎奇形が知られています。頭蓋底や頭蓋前項型では、

小眼球症、唇裂・口蓋裂をしばしば合併します。

 後頭部脳瘤(髄膜瘤)を合併する代表的な疾患群には、HARD 図8:二分頭蓋の分類

潜在性ニ分頭蓋  髄膜瘤 

脳髄膜瘤  脳嚢瘤  脳髄膜嚢瘤  脳瘤 

(+E)症候群(水頭症、無脳溝症、網膜形成不全を主徴とする)、  Meckel(-Gruber)症候群(多指症、多嚢胞腎、全前脳胞症、小眼球 症、網膜形成不全など)、Jourbert 症候群(小脳虫部の欠損、無呼吸 発作を主徴とする)などがあげられます。

 有茎・無茎に頭蓋正中に突出する腫瘤であり、大きさは小腫瘤か ら、頭蓋内容が著しく逸脱した前頭部が斜めに平坦化した小頭を示 す大腫瘤までさまざまです。

 後頭部脳瘤を持つ人を、嚢胞性瘤内に逸脱する脳組織によって分 けてみると、大脳のみが 37%、大脳および小脳が 21%、小脳のみが 5%、形成不全性神経組織、神経膠組織のみが37% となっています。

 イニオン上型では、テント上の頭蓋内構造物が、また「イニオン 下型」では小脳、脳幹、上部頸髄がさまざまな程度に逸脱します。

 逸脱した脳組織には、さまざまな程度の出血巣、虚血性壊死、形 成不全が認められます。前交連、脳弓などの形成不全のほか、水頭 症を脳髄膜瘤、脳髄膜嚢瘤の 50 〜 70% に、頭蓋髄膜瘤の 20% に合 併します。

 後頭部脳瘤では、前中頭蓋窩は脳組織の逸脱により狭小化し、テ ント、大脳鎌は形成不全ないしは無形成を示します。上矢状静脈洞 は欠損した頭蓋の辺縁を縁どるように走行し、後頭隆起上型では尾 側に、後頭隆起下型では頭側あるいは尾側に静脈洞交会を形成し、

低形成なことが多いです。

 徴候、症状としては、新生児期には頭蓋正中部の腫瘤が唯一の所 見であることが少なくありません。

 キアリ奇形やダンディ・ウォーカー奇形の合併例では、無呼吸発 作を起こすことがあります。生後数カ月を経て、痙性不全麻痺や外 眼筋麻痺、哺乳障害などとともに、精神運動発達障害がしだいに明

らかになることが少なくありません。

 頭蓋底部、頭蓋前項部の脳瘤では、脳瘤の逸脱部位より、鼻腔内、

口腔内、眼窩内に拍動性腫瘤が突出し、眼間開離、いびき、視床下 部・下垂体系内分泌機能障害を示します。また、前頭篩骨型で一側 性拍動性眼球突出を示す例があります。顔面正中奇形に合併する、

くり返す髄膜炎や髄液漏が、これら頭蓋底部、頭蓋前項部の脳瘤診 断の契機となることがしばしばです。

 手術時には、頭蓋内組織の逸脱部位と頭蓋欠損の大きさ、逸脱し た頭蓋内構造物(脳組織、髄液腔;脳室・脳槽・くも膜下腔)、脳 血管;動静脈の分布と灌流状況、静脈洞と脳瘤の位置関係の把握が 重要になりますので、以上をレントゲン写真、CT、MRI、脳血管 写で精査します。特に MRI は合併する脳先天異常(異形成、低形 成、キアリ奇形、脳幹空洞症、脊髄空洞症、ダンディ・ウォーカー 症候群、くも膜嚢胞など)の検索に有用です。

 治療は顕在性二分脊椎と同様で、生後早期に行います。手術は、

逸脱した脳組織を中に戻し、硬膜を形成し、周囲の骨膜、筋膜で欠 損部を補強して、頭皮の形成を行います。

 水頭症に対しては短絡(シャント)術を行います。

 予後を決める最大の因子は、逸脱した脳組織の範囲、部位と量で す。一般に、前頭部、頭蓋底部脳瘤の予後は良好ですが、脳の逸脱 が著しく、前頭が平坦化した小頭を示す例は予後不良です。二分頭 蓋では、2 年以上生存した人の 61% が、健常な成長を遂げます。

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