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水頭症と脳性麻痺

ドキュメント内 ガイドブック_医療編 (ページ 196-200)

あり、知的障害だけでは脳性麻痺とはいわない、と理解していただ ければいいと思います。

 脳性麻痺の原因はさまざまですが、大きく分けて、胎生期の脳形 成障害に由来する場合、出産前後の呼吸障害による脳障害に由来す る場合、妊娠経過中の脳血管障害や中枢神経系の感染に由来する場 合とに分けることができます。原因不明の場合も少なくありませ ん。

 脳性麻痺の症状は大きく分けて、四肢の筋肉の突っ張りを主体と する痙直型脳性麻痺と、手足の異常運動(不随意運動)を主体とす るアテトーゼ型脳性麻痺とに分けることができます。脳内の障害を 受ける部位の違いで、同じ脳性麻痺でも現れる症状が異なってくる わけですが、重症の患者さんでは、どちらの要素も持った混合型と して現れることも少なくありません。

2. 発生頻度

 脳性麻痺の発生動態は医療(主に産科、新生児医療)の進歩と共 に大きな変化を遂げました。

図1:脳性麻痺の    位置づけ

動 機 能 障 害 

知能発達障害  脳性麻痺 

微細脳障害  発達遅滞 

重症心身障害 

 かつて脳性麻痺というと、多くは新生児期の核黄疸(普通の黄疸 と違って、黄疸によって脳の基底核に障害が生じたものを指し、通 常新生児期に発生します)による後遺症が多かったのですが、これ は医学の進歩により大きく減少し、脳性麻痺全体の発生率も一時期 は減少しました。

 一方、新生児医療の進歩により、従来、救命困難であった低出生 体重児も救命できるようになりましたが、未熟児では肺機能が不十 分なため、呼吸障害による微細な脳機能障害を背景に持った脳性麻 痺の頻度が増加してきています。

 具体的な発生頻度に関して、全国レベルでの把握は困難ですが、

都道府県レベルでの頻度の報告が散見されます。姫路市からの報告 では脳性麻痺発生率は1983〜1987年度では1,000人出生あたり1.4 人、1988 〜 1992 年度では 2.0 人と増加しており、原因としては未 熟児における脳室周囲の白質(神経線維の集まっている部位)の障 害が増加していると指摘しています。

 かつてのような重度の脳性麻痺の頻度は減っているものの、医療 の進歩の結果としての脳性麻痺の頻度は増えており、脳性麻痺の社 会に占める割合は決して減っていません。

3. 水頭症との関係

 水頭症そのものは脳性麻痺によくみられる合併症とは考えられて いません。しかし脳性麻痺の原因となった疾患との関係で、水頭症 を合併する可能性はあります。具体的には、母親の妊娠中のウイル ス感染(サイトメガロウイルス感染など)は脳性麻痺の原因となり ますが、同時に先天性水頭症の原因にもなります。

 脳性麻痺と水頭症の関係では、水頭症そのものよりも脳室の拡大

が問題になることがあります。脳性麻痺では脳の神経細胞や神経線 維がさまざまの程度に障害されます。このような変化は脳室を取り 囲む脳の白質(神経線維の集まっている部位)の萎縮としてあらわ れます。脳室周囲の組織が萎縮すると当然のこととして脳室は拡大 します。CTやMRIの画像だけを見ると一見水頭症のように見える こともあるわけです(図2)。一般に、脳性麻痺の患者さんの 90%

に脳室拡大を認めるといわれています。同時に脳の萎縮を反映する 脳溝(脳の盛り上がりと盛り上がりの隙間)も 60% 以上の患者さ んで拡大するといわれています。経験のある医師ならば脳性麻痺に よる脳室拡大と、水頭症による脳室拡大を間違えることはないと思 われますが、脳性麻痺の患者さんにおける脳室拡大は運動障害や知 能障害ともある程度の相関があるといわれており、十分注意する必 要があります。

 脳性麻痺の原因のひとつである脳室内出血では、脳室拡大を伴っ たり、水頭症になることも稀ではありません。出血時に脳室壁およ び白質内に血腫を形成し脳組織を破壊すると、血腫が吸収された後 が腔となり(重度の場合には孔脳症と呼ばれることもあります)、 脳室拡大とまぎらわしいこともあります。脳性麻痺が重篤であるほ ど、脳室拡大傾向は強いといわれ、中には水頭症となる場合もある

図2

著明な脳室拡大を伴った脳性麻痺小児

(10歳、男児)。脳室は拡大しているが脳 への圧迫所見はなく頭囲拡大もないた め、水頭症とは診断されない。

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