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くも膜下出血

ドキュメント内 ガイドブック_医療編 (ページ 158-162)

後天性交通性水頭症の原因疾患

2.  くも膜下出血

くも膜下出血とは

 くも膜下腔(脳とくも膜との間のスペースで髄液という透明な液 体が流れている)に何らかの原因で出血が生じ、髄液に血液が混入 した状態のことをいいます。最も多い原因は脳動脈瘤の破裂で、次 に多いのが脳動静脈奇形の破裂です。他にもいろいろな原因(外 傷、脳内出血、もやもや病、血液疾患等)でおこります。

 脳動脈瘤とは、頭の中の比較的太い動脈の主として分岐部にでき た小さなこぶ(瘤)のことです(図1)。動脈の壁は血圧に耐える ために厚くできていま す。ところがこのこぶ

(動脈瘤)の壁は薄く なっているために、あ る時突然に薄い部分が 破れ、動脈の中から血 液が勢い良く噴出し、

動脈瘤がくも膜下腔に 存在するためにくも膜 下出血をきたします。

この時に激しい頭痛を 伴います。

 脳動静脈奇形とは、血管の先天的な異常で、本来は動脈と静脈と の間にあるべき毛細血管がなく、代わりに異常な血管の塊がある病 気です(図2)。この塊の部分では血管壁が薄いために、破れて出 血するのです。動静脈奇形は、脳の表面から脳内にかけて存在する

図1

血流  動脈瘤 

動脈壁 

くも膜下腔 

ことが多く、く も膜下出血だけ でなく脳内出血 をきたします。

 動脈瘤の破裂 が 40 才以降に多 く 60 才代がピー クであるのに対 して、動静脈奇 形の破裂はもっ と若く 30 才代が ピークで小児に も多くみられま す。

どういう時に診断されるか

 動脈瘤の破裂によるくも膜下出血では、これまで経験したことの ないような激しい頭痛が 突然 におこり、多くの場合すぐによく なることはなく、数日間以上持続します。頭痛とともに吐き気と嘔 吐を伴い、一過性に意識を失うこともあります(数分程度)。出血 の程度が激しい場合には、意識の障害が持続しますし、そのまま死 に至る(1回目の破裂で約 20%、2回目になると約 40%)こともあ ります。

 動静脈奇形の破裂では多くの場合脳内出血をきたすことから、頭 痛、嘔気、嘔吐、意識障害の他に、脳内出血の部位に応じた症状(運 動麻痺や言語障害など)を伴います。

図2

動脈 

動脈血  静脈血 

毛細血管 

<正常> 

静脈 

流入血管  (動脈)

流出血管  (静脈)

動脈血 

静脈血 

動静脈奇形 

<異常> 

病院での診断のための検査:

 CT スキャン(コンピューター断層撮影)で診断がなされます。

 出血が少量の場合や、出血から一定の期間が経過していて CT ス キャンで診断できない場合には、腰椎穿刺をして髄液を調べ、血液 の混入した形跡がないかチェックします。

 くも膜下出血の診断がつけば、その原因を調べるために(動脈瘤 や動静脈奇形を見つけるために)、脳の血管を写す検査(脳血管撮 影、MRアンギオグラフィー、3D-CTアンギオグラフィーなど)を 行います。

治療法

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の場合:

  放置すると再出血で死亡する可能性が高いので、まず再破裂防 止を目的とした治療を行います。治療方法には、

1)顕微鏡を用いて動脈瘤の頚部に金属のクリップをかける方法

(図3)

2)血管内に細い管(カテーテル)を入れて動脈瘤内にコイルをつ める方法(図4) の2つがあります。

 くも膜下出血の場合には、再破裂のほかに脳血管れんしゅく(脳 の血管が細く縮んでしまう状態)という大きな問題が、出血の4日 後から 14 日目にかけて生じてきます。脳血管れんしゅくは脳梗塞 をひき起こし、種々の後遺症や死亡の原因となるために、いろいろ な薬や方法を用いて治療を行います。

脳動静脈奇形の場合:

 再出血を防ぐ目的で以下の治療法があります。

1)開頭手術で動静脈奇形を摘出する方法

2)ガンマナイフによる治療(放射線を病気のところに集中させて 周囲の正常な脳に対する影響を最小限に抑える治療法)

3)血管内治療=血管内に細い管(カテーテル)を通して動静脈奇 形の中に薬を入れて閉塞させる治療で、1)2)の治療の補助として 用いることもあります。

アドバイス

 くも膜下出血、特に最も多い脳動脈瘤破裂は急死・突然死の原因 にもなる恐い病気です。くも膜下出血が疑われる場合には、ただち に脳神経外科のある病院に救急車で搬送することが大事です。

図3 図4

閉じたクリップ 

しぼんだ  動脈瘤  動脈 

開いたクリップ 

緊満した 

動脈瘤  カテーテル  コイル  動脈瘤 

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