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こうした状況を踏まえ、市場取引の効率化や省力化を中心に、生産から流通までの効率 化を目指してシステム導入が行われている。また、漁海況、商品や取引に関する情報を関 係者で共有することで、公正で適正な競争の実現や事務処理の効率化を期待している。可 能な情報は公開することで、消費者など国民に対する透明性や責任ある行動を伝えたいと いう意向を反映している。
しかし、導入に際しては、魚市場に関係する市場職員、漁業生産者と買受人の強い抵抗 を乗り越える必要があった。商習慣や魚市場を含む地域の閉鎖性や変化への抵抗である。
取り上げた事例のいずれの場合も、強い決意とリーダーシップにより、困難を乗り越えて 新しいシステムの導入を実現している。
松浦市魚市場を除く、魚市場のシステムは基本的に同じである。電子化・オンライン化 の対象は、①市場取引~入船情報から商品情報、せり・入札、商品引き渡しから仕切書等 の作成に至る一連の卸売業務、②衛生管理に関わる確認作業とその結果の記録、③施設・
設備管理や統計情報の報告等と、これら情報全体の統合管理である。
卸売事業者/市場(漁港・種別)名 高度衛生管理型漁港
・魚市場の整備状況 システムの名称及び内容 システム
運用開始
株式会社女川魚市場 衛生管理統合システム及び情報提供システム
(1)衛生管理に関する情報の管理と市況や入船情報などの情報提供を行うシステム。
(2)衛生管理~①人・車両の入退場の自動管理、②市場各所のカメラ映像の記録と集中管理、③太陽 光発電や夜間電力・蓄電池を使ったエネルギー管理、④タブレットを使って衛生管理項目を確認し、そ の結果を記録・管理。
(3)市場取引~職員がパソコンから入力して、入船情報と入札結果を場内大型モニターに映し出し
(4)情報提供~衛生管理に関する情報と入船情報などの情報提供は市場開設者の詰所でモニターを 使って集中管理。
(5)市場関係情報を公開するwebサイトは、構築中。
石巻魚市場株式会社 衛生管理統合システム及び情報提供システム
(1)衛生管理に関する情報を集中管理。①人・車両の入退場の自動管理、②市場各所のカメラ映像の 記録と集中管理、③太陽光発電や夜間電力・蓄電池を使ったエネルギー管理、④タブレットを使って衛 生管理項目を確認し、その結果を記録・管理。
(2)市場取引~職員がパソコンから入力して、入船情報を場内大型モニターに映し出し。(タブレッ トを使用した大船渡魚市場と同様のシステムが整備されているが、運用には至っていない。)
(3)入船・入荷情報を場内の大型モニターに表示するほか、webサイトからインターネットを通じ て、①入船情報、②市況(TAC魚種管理のための市況データは自動報告)、③統計資料、④市場ライブ カメラ映像、⑤放射能検査結果を公開。
(4)問屋、荷主、買受人向けに専用サイトで情報提供。①問屋・船主専用ログインでは「仕切書、水 揚明細データ(CSV)」、②買受人専用ログインでは「販売通知書、買付データ(CSV)、放射能検査結 果」をダウンロード可能。(しかしながら、登録している買受人は2,3割程度であり、登録している船 主も少なく、事務室のボックスに直接取りに来るのがほとんど。)
西日本魚市(株) 産地電子情報ネットワーク
(1)インターネットや市場内LANなど各種情報の提供や電子取引(※)ができる環境を整備するとと もに、生産者(漁船や荷主事務所)、仲買人、運送業者らとの間をネットワーク化することで情報の交 換ができる仕組み。
(2)利用者は、事前に登録し、パソコン、携帯電話 (当時はiモードであったが、現在はスマート フォンにも対応)、 携帯端末PDA(現在は利用されていない)から、 IDやパスワードを入力してwebサ イトにアクセスし、情報を閲覧できる。市場内には大型表示装置が設置。
(提供する情報の内容)
漁況 :本船名、運搬船名、操業海区、魚種、数量、向地、入船日時 入船情報:運搬船名、操業海区、魚種、数量、入船日時、水揚日時 相場情報:操業海区、船名、魚種、入り数、箱数、相場
(3)本システムは、「2000-2001年度産地電子情報ネットワーク化事業」(水産庁)として開発・導 入。西日本魚市、生産者(大中型旋網船団)と仲買人ら、関係漁協にサーバー、パソコンとプリンタが 導入された。現在、22船団、枕崎から境港までの各魚市場卸売業者9社、各市場の仲買人ら60社である が、西日本魚市がシステムを更新しながら、情報の収集と入力を行っている。
(4)松浦魚市場で取り扱う全ての魚類に対して、せり結果登録、仕切書・請求書作成、元帳作成、統 計表作成ができるせり後支援システムを構築。
(※)大缶のあじ・さば類を対象に、パソコン、携帯端末、 携帯電話 (iモード)を使って電子せりが 実施できるシステム開発や環境整備も行ったが、せり取引のやり方は電子取引になじまいことや従来の せり方法が迅速である等の理由でその後の利用には至らなかった。
〔背景〕情報のクローズにより水揚げ港が集中し価格が下がることを避け、正しい情報に基づく適正価格で取引すべきであるという考えで、市場の卸業者が旗 振り役としてICTを活用した産地情報の電子化とネットワークを構築した。生産者や仲買人らの排他的・閉鎖的なところがネックであり、当初は漁場や相場が明 らかになることに強い抵抗があったが、その効果を幾度と説明することでシステムや機器類の導入が実現。
〔課題〕漁獲資源や生産者が減少する中で、水産物流通の「量」から「質」への変化に対応し、現在整備中の高度衛生管理型の魚市場では、物流効率化を含め さらに高い次元のICT活用を検討。
女川町地方卸売市場
(女川漁港:3種)
石巻市水産物地方卸売市場
(石巻漁港:特3)
松浦市地方卸売市場
(調川港:地方港湾)
〔特徴〕産地情報の電子化とネットワーク化によりリアルタイムでの情報提供を行う。
(効果)アクセス件数が倍増(当初一日平均400件程度あったが、現在、一日平均1,000件を超えるアクセス)。公平にいつでも情報が得られることで、①漁場 の重複による捕り過ぎの回避と水揚港の集中の回避による魚価安定や、②入港時間や漁獲量に合わせたトラック等の準備の効率化と鮮度向上が寄与。
2002年 高度衛生管理型買荷保管積込 所の整備・供用 2016年 閉鎖型建物構造の高度衛生 管理型魚市場整備 2020年 完了予定
2017年4月
2015年9月
2002年4月
〔背景〕震災復興にあたり、施設や設備の整備だけでなく、市場における省力化と効率化等を図るべく、ICTを活用した衛生管理や市場関係者への情報提供のシ ステムも導入することになった。
〔課題〕市場関係情報のwebサイトの構築と公開。供用1年目での衛生管理システムを中心とした運営コストの評価。
〔背景〕国際水産都市の魚市場として、衛生管理の高度化、生産・流通の効率化とこうした取組を「見える化」。
〔課題〕市場取引システムの運用。
2011年3月 東日本大震災により被災 閉鎖型建物構造の高度衛生 管理型魚市場整備 2017年7月 整備が終わり、供用開始
〔特徴〕衛生管理に関する情報が集中管理された衛生管理統合とwebサイトによる情報提供。
〔特徴〕衛生管理に関する情報が集中管理された衛生管理統合とwebサイトによる情報提供。
2009年5月 閉鎖型建物構造の高度衛生 管理型魚市場整備 2011年3月 東日本大震災で被災し、整備 中断・再開
2015年9月 整備が終わり、供用開始
表1.7.2 各産地市場におけるシステムの内容及び特徴(2)
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情報の入力・発信・受信はパソコンや身近なスマートフォン、タブレットから行う。関 係者自身の取引に関わる情報は専用webサイトにログインしてアクセスすることになる が、それ以外の情報は、webサイトで公開することとしている。全面的に稼働し運用され ているのは、大船渡市魚市場である。他の魚市場では、段階的に可能なものから稼働・運 用している状況である。なお、後述する海外魚市場で一般に行われている電子せりは行わ れていない。大船渡市魚市場の電子入札の例があるのみである。せりについては、せり人 に随行している市場職員がせり結果をリアルタイムでタブレットから入力して記録してい る。
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