3 海外の養殖生産の事例
3.3 レロイ・シーフード・グループ(Lerøy Seafood Group ASA)
3.3.1 会社の概要
レロイ・シーフード・グループは、ノルウェー、ベルゲン市に本社があり、ノルウェー 沿岸の澄んだ水と冷たい水の中でのサーモン、トラウト養殖に加え、天然魚から付加価値 を付けた加工や流通・販売まで行う水産食品の生産・流通・販売の総合会社である。ノル ウェーでは主要なサーモン輸出業者でもある。生産量(2013年)は、16.1万トンと世界2 位である。
ノルウェーでサーモンとトラウトの養殖ライセンスを持つとともに、ヨーロッパ各地に 加工処理のライセンスも有する(図3.3.1)。孵化場・養魚場も所有する。
3.3.2 種苗生産・養殖生産から出荷・物流までの概要
中部・南部では約2年3か月かけて養殖するが、北部では海水温が中部・南部より低い
(真夏は中部・南部 15℃程度だが、北部は 11℃)ので出荷サイズになるまで2年半から3 年かけて養殖する。
https://www.leroyseafood.com/en/
Lerøy Seafood Group ASA Annual Report 2016
図3.3.1 レロイ・シーフード・グループの養殖会社、養殖場及び販売部門の所在地
192
https://www.youtube.com/watch?v=xWS58pogHkE Lerøy Aurora Salmon (2013)
図3.3.2 オーロラサーモンの養殖と加工
https://www.youtube.com/watch?v=FcLib7bbRdA
Lerøy Fish slaughterhouse (2011) http://www.leroy.co.jp/company/
図3.3.3 レロイ社の加工場
193
北部でのサーモン養殖は、10年程前になるが、サーモンの表面にシーライス(寄生虫)
が付くことから、その病気対策として北部での養殖を始めた。北部で脂がのり、身の引き 締まったサーモンが養殖される。そのサーモンがオーロラサーモンと呼ばれ、刺身用とし て日本に出荷している。サーモンの表面にシーライス(寄生虫)が付くことから、その病 気対策として北部での養殖を始めた。
ヨーロッパ向けについては、北部に空港がないこと、陸路では時間がかかりすぎ、鮮度 保持に支障が生じる(トロムソからドイツまで3日を要する)ことから、中部・南部産の ものを出荷している。
オーロラサーモンの養殖と加工の様子を図3.3.2、図3.3.3に示す。種苗生産・養殖・
出荷のプロセスは、後述する「3.3 ブロム・フィッシュ・ファーミング社」と同様であ る。
サーモンはラウンドで販売されるが、需要に応じて、さらにフィレやスモーク、その他 にすぐに食べることができる商品に加工される。
日本向けサーモンの輸送ルートと時間を図3.3.4に示す。日本向けの場合は、サーモン がノルウェーの加工場に搬入してから、一次加工、空輸(ヘルシンキ)、成田の加工場で 最終製品になるまで最短で35時間である。
日本向けサーモンの積替・通関時のクールチェーンのシームレス化を図3.3.5に示す。
北部加工場からヘルシンキ空港へ保冷車で運搬し、そこから関西空港へ空輸する。空港で は1時間半から3時間は留め置きされることから,通関までは空港の自社専用の低温倉庫 に保管するなど、シームレスなクールチェーンを確保した中で、加工処理してから日本に 到着するまで1日半程度を要する。
日本レロイ社・オーシャン貿易
http://www.leroy.co.jp/company/
図3.3.4 日本向けサーモンの輸送ルートと時間
194
参考までに、日本の産地から生鮮・冷蔵物を欧米の消費地まで輸送するのに要する時間
は、概ね1.5~2日である。空輸する場合の問題は、水漏れを防ぐため、吸水シートを入
れている(保冷材では温度が高くなってしまう)。
ヘルシンキからの空輸便では、一定のスペースを確保するためには、毎日安定した量の 貨物がなければならない。そこで、現在は70トン/日の貨物スペースを確保(実重量は4 分の1)している。
ヨーロッパでは、HACCPは当たり前であり、むしろ品質や持続的可能性の確保に動いて いる。本社は、生産から消費者までのバリューチェーン全体でASC認証を世界で最初に取 得した。 BRCも取得している。グローバルGAPも優先度の高いものから順次取得中であ る。衛生管理、生産履歴に加え、品質管理と持続的利用の水産食品の供給を目指してい る。ASC認証については、オーシャン貿易がヘルシンキルートで輸入し、イオンが扱って いる。
BRC Global Standards:
BRC Global Standard for Food Safetyは、英国小売業協会(British Retail Consortium)が発行している食 品安全のための規格で、同協会が第三者認証のスキームを運用しており、GFSI (Global Food Safety
Initiative)*のベンチマーク規格としてGFSIに承認されている。この規格は、文書化要求をともなうHACCP
とISO9001と共通するマネジメントシステムの要素を含み、食品の安全衛生管理、法律遵守、品質管理の3点
に焦点をあてている。 BRC規格は、食品安全規格のほか、消費財、梱包・包装材、保管・流通等の4種類の規 格がある。
梱包の箱に養殖場・加工・パレット・行先などの商品番号を記したバーコードが貼付され ており、これによって、トレーサビリティ情報を管理している。ASC認証のものは各個体に 振り分けて以降も貼付されることになっている。
図3.3.5 日本向けサーモンの積替・通関時のクールチェーンのシームレス化
http://www.leroy.co.jp/company/
日本レロイ社・オーシャン貿易
195