4 海外の産地魚市場における ICT 活用の事例
4.4 ドカペスカ社(Docapesca Portos e Lotas, AS)
100
101 (戦略)
・食品の安全・品質~会社の建物、施設や手続きにおいて食品の安全と品質の導入と強化
・経済性~需給バランスを考慮したせり市場と販売所のネットワークの構築
・漁獲物の差別化・ブランド化~市場で取り引きされる漁獲物を、小売業者や消費者らと差 別化やブランド化を図り、自国の漁船により自国水域で漁獲された水産物の販売促進
・近代化~人的資源、新たなマネジメントシステム、オンライン・webサイトでの漁獲物の 販売、環境効率、コンピュータ化、商業再編、コミュニケーション、顧客満足度評価
(Good Practice)
食品安全と衛生に関する規則が適用され、食品の安全は、会社や様々な分野の専門技術を 関与させながら、インフラや設備、装置の設計、施設、装置や職員の安全・衛生やせりの運 営を通じて行われている。
(HACCP)
食品安全に関する規制により、ここ数年の間に施設や手続きの近代化や改善を行ったと ころである。HACCP規則-人員、水や氷の品質、衛生、維持管理、冷蔵チェーン、魚箱、害虫 駆除や副産物など前提条件に関して-に基づき、大半の施設は食品の安全・衛生計画を実行 した。
4.4.2 魚市場の電子せりとオンライン・オークション
インターネットを介して漁獲物の販売を行うことから、魚市場のせり場にいなくてもリ アルタイムでせりに参加することができる。全魚市場で取り引きされる漁獲物の70%を占め る5市場を図4.4.2に示す。
5市場については、各々において同時に2つの魚市場に参加することができることになっ ている。魚市場のせり場にはビデオカメラが設置されており、販売に出されている水産物を 映し出す。オンライン販売画面を図4.4.3に示す。せりへの参加、購買は容易であり、キー を押すだけで操作ができる。こうしたシステムを導入したのは、魚市場のせり場から鮮魚の マーケティングを行うという新たなビジネス機会を創出するためである。
(図4.4.3の解説)
Buyer type: L – buyer at Lota; O – online; C – purchase order Total weight: total batch weight to be sold
Name of the vessel with hake for sale
Presentation of hake: whole, eviscerated, etc.
Upcoming batches to be auctioned Warning: various types of information
102
図4.4.2 オークションに場外からオンラインで参加できる5漁港・魚市場
http://www.docapesca.pt/en.html
103
(効果・便益)
バイヤーにとっては、インターネット環境があればどこでも水産物を買うことができる、
同時に複数の魚市場でのせりを見ることができる、市場分析ができる、低いコストで安全で 容易に幅広い供給ができるといったメリットがある。他方、生産者には、ケータリング、ホ テル、ハイパーマーケット(郊外型総合マーケット)、その他の分野の国内業者もアクセス が可能となることから、水産物の需要が増大する、国際市場にも開かれるというメリットが ある。
4.4.3 1998-2003年ごろの漁港・魚市場
1998年から2003年の期間にポルトガルの漁港を視察調査した結果では、HACCP対応の魚 市場施設も含め,漁港の施設は国(農林水産省港湾管理局)が整備し、国営企業ドカペスカ が引き継いで使用料等の収入により管理運営されていた。
EU 規則に基づき魚市場の新築及び改良が盛んに行われ、場内に害虫など有害生物が入り 込まない閉鎖型建物構造で洗浄装置、魚箱洗浄及び排水処理等衛生上の扱いが進められて いた。冷凍冷蔵施設は完備しており、ここには翌日のせりまで水産物を保管。冷凍冷蔵施設
図4.4.3 オンライン販売画面(Online Sales Panel)
Manual-Online(Docapesca)
104
がない魚市場が一部あるが、そこにはECの鮮度監視人が常駐し、せりにかける前に鮮度を チェックしていた。
せりは専用のせり場で行われ、コンピュータ化(電子せり)されており、ダッチ・オー クション方式であった。事例として2003年のセシンブラの魚市場の状況を図4.4.4に示 す。
全国漁港協会発行雑誌漁港「海外漁港調査団報告」(2003年調査)
図4.4.4 2003年のセシンブラの魚市場
105