1 漁場環境情報提供の事例
1.1 サロマ湖養殖漁業協同組合(北海道サロマ湖)
水質観測システム等
1.1.1 導入の背景・経緯
サロマ湖は北海道の北東部に位置し、1929年、1978年に人工的に開削されオホーツク 海とつながる2つの湖口を有する海水湖である。ホタテガイ養殖発祥の地であり、現在も ホタテガイとカキ養殖に利用されているほか、沿岸域ではカレイ刺し網、ウニ桁網、エビ 篭漁業などが行われている。またサロマ湖は外海へ放流するためのホタテ稚貝の生産漁場 となっており、外海のホタテ貝生産を支えている。
サロマ湖の環境を利用した養殖生産と漁業であることから、サロマ湖の漁場環境と漁業 資源を包括的に管理し、持続的に利用していくため、1948年にサロマ湖養殖漁業協同組合 が設立された。サロマ湖養殖漁業協同組合は、他に先がけて1979年に湖内のホタテ養殖 許容量を定め、十分な余裕を確保したうえでの養殖筏の数量規制を行っている。毎年実施 状況を確認しながら漁場管理し、10年おきに許容量の見直しを行っている。
図1.1.1 ホタテ養殖の概要と観測及び現地調査結果の活用
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ホタテ養殖の概要と観測及び現地調査結果の活用の状況を図1.1.1に示す。許容量の設 定や日々の養殖作業を適正に行えるように、湖内の環境を継続的に観測及び計測し、その データや分析結果を組合員へ提供するシステムの原型は、ICTの活用は別として、1974年 ごろから運用されている。
1.1.2 システムの概要
システムは、①水質観測システム、②養殖センターだより・調査報告書の提供システム から構成されている。持続的な利用のため、生産者(組合)自ら観測・分析、共有し、適 正な養殖計画に反映させている。
① 水質観測システム(図1.1.2)
観測ブイにより、水温・塩分・DO・比重・風向・風速・流向・流速を計測する。
② 養殖センターだより・調査報告書の提供システム
観測ブイからのデータや、現場での採苗調査、付着ラーバの出現調査、大型底生動物調 査の結果、流氷・結氷のカメラモニタリング及び人工衛星画像解析等の結果をwebサイ トで公開し提供する。
図1.1.2 水質観測システムの概要
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サロマ湖の水質については、4地点に設置した観測ブイにより、水温、DO、塩分濃度、
クロロフィル水深方向に3層(-0.5m、-4m、海底から1~2mの高さ)で毎時計測し、デー タを無線通信で民間サーバーに送信している。そこにインターネットでアクセスし、デー タを入手する。観測ブイは、2001年に、沿岸漁業構造改善事業により設置し、その後更新 しながら使用している。大きいブイは曳航して設置するが、小型のブイは漁船に載せて運 び、観測地点で釣り上げて設置する。これらの電源は太陽電池である。
かつては流氷が湖内に入り、養殖施設や湖内の漁業への影響が懸念されたがアイスブー ムを整備して以降はそのような恐れがなくなった。湖内の結氷は、養殖の餌料の発生に影 響を与えることや結氷するときは養殖筏をあらかじめ沈めておく必要がある。このため、
人工衛星画像も使いながら湖内の結氷状況をモニタリングしている。サロマ湖の潮位は、
調和分解して潮位表を作成し、漁船の湖口からの出入港に役立てている。
ラーバは量とともにその大きさを把握することが重要である。これを調べることで、い つ頃採苗したらよいのかがわかる。観測ブイでの計測の他、実際に現場調査して計測して いる。これは、可能なかぎり現地を見て環境の状況を把握することが重要との認識に基づ くものである。
1.1.3 情報の提供方法
水質観測データや養殖センターだより・調査報告書などの情報は、Webサイトで公開
(図1.1.3)しており、パソコンやスマートフォンでアクセスすることで入手できる。
図1.1.3 観測結果(事例)
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