• 検索結果がありません。

ベルギー王国

ドキュメント内 H25_trend_report (ページ 72-86)

第2章 各国(地域)の電波防護規制の状況

2.3 欧州西部

2.3.2 ベルギー王国

2.3.2 ベルギー王国

2.3.2.1 連邦政府における電波防護規制

(1)電波防護規制の経緯(規制の根拠を含む)

ベルギーでは、連邦政府の管轄下で高周波帯における公衆ばく露電磁界防護の下記(a) と(c)の王令により、2009年1月まで実施された。

(a)「10 MHz~10 GHzで電磁波を放射するアンテナの基準制定の王令」128

(2001年4月29日、2001年12月21日修正)

(b) 「10 MHz~10 GHzで電磁波を放射するアンテナの基準制定に関するBIPT通達」129

(2005年1月26日)

(c)「10 MHz~10 GHzで電磁波を放射するアンテナの基準制定の王令」130

(2005年8月10日)

(a)と(c)の王令で、周波数範囲10 MHz~10 GHzの全てのアンテナからのばく露制限値(累

積値)が規定された。1998年ICNIRPガイドラインの制限値と比較すると、電力密度では 1/4倍、電界強度では1/2倍の低い制限値である。例えば、周波数900 MHzの場合、電力 密度は1.1 W/m2(ICNIRPは4.5 W/m2)電界強度は20.6 V/m(ICNIRPは41 V/m)である。

この周波数範囲10 MHz~10 GHz以外では、ICNIRPガイドラインの参考レベルが適用され た。この低い制限値は、2001年の王令の基準値策定当時、諮問委員会の検討結果に基づき 設定されたものである。

しかし、手続き上の間違いから、(a)の王令は 2004年12 月15 日にベルギー最高行政裁 判所である国策会議 131 の判決よって取消された。そのため、電気通信機器の許認可等の 規制監督を担うベルギー郵便事業・電気通信庁(BIPT)132 は、上記(b)の通達によって、新 基準制定まで (a)の王令の基準に基づき監査を続けた。結局、2005年8月10日に、(a)の王 令と主要内容が同じである上記(c)の王令が制定された。

その後、2007年3月1日にブリュッセル地域政府は、電磁界防護の条例(発効日は2年 後と規定)を制定したが、それに対し、ブリュッセル地域のアンテナに関わる携帯電話通 信事業者3社(Belgacom Mobile, Mobistar, Base)は、電気通信と健康保護は連邦政府の管

128 Royal Decree setting the standard for the antennas emitting of the electromagnetic waves between 10 MHz and 10 GHz (29 April 2001, modified by 21 December 2001).

129 Communication of the Council of the BIPT of 26 January 2005 concerning the Royal Decree setting the standard for the antennas emitting of the electromagnetic waves between 10 MHz and 10 GHz.

130 Royal Decree setting the standard for the antennas emitting of the electromagnetic waves between 10 MHz and 10 GHz of 10 August, 2005.

131 The Council of State

132 BIPT: Belgian Institute for Postal services and Telecommunications

2.3.2 ベルギー王国

轄であり、ブリュッセル地域政府の条例は企業の自由を侵害するとして、地域政府の条例 の無効を訴えた。連邦政府も地域政府の条例を無効と訴えた。

2009年1月15日に、憲法裁判所はこれら告訴を棄却する判決を下した(判決No.2/2009)。

判決によると、1993年 7月16日の特別措置法から、環境関連事項はもはや連邦政府の管 轄下にはない、電気通信分野は従来通り連邦政府の管轄下にある、というものであった。

2009年1月以降、環境保護政策は3地域政府(ブリュッセル首都圏地域、フランドル地 域、ワロン地域)それぞれの管轄になり、電磁界ばく露防護の条例が制定されている。

他方、連邦政府は製品と保健の分野を担当する。店頭の製品、各地域の固定アンテナ設 備製品を管轄する。携帯電話端末製品については、王令を制定し規制している。

なお、2001年および 2005年の王令の制限値は、現在のフランドル地域における複数ア ンテナの場合の累積制限値と同じである。

(2)電波防護規制の内容

ベルギーでは、電磁界ばく露の製品規格と職業ばく露の分野は、EU指令の規則を受け 入れている。拘束力のない電磁界公衆ばく露の EU理事会勧告 1999/519/EC には準拠して いるが、連邦レベルでの規制の法律は存在しない。

連邦政府では、最近次の2つの王令を制定した。

「幼い子供向けに特別に設計した携帯電話の販売禁止の王令」133 (C-2013/24306)(2013年7月30日)

「携帯電話のSARおよび携帯電話の広告に関し、消費者向け情報提供の王令」134 (C-2013/24307)(2013年7月30日)

上記子供向け携帯電話の販売禁止の王令は、公布日から6ヵ月後の2014年3月1日に発 効し、7 歳未満の子供向けに適すよう特別に設計した携帯電話の製品はベルギー市場での 販売は禁止される。ボタン数を減らしたり、子供の注意を引く形状等の端末は販売禁止と なる。さらに、その発効日から、その同じ年齢層での携帯電話の使用について、宣伝して はならない。

また、携帯電話の販売店はどこでも、携帯電話製品のSAR値を店頭で情報開示すること が要求される。個々の製品にSAR値を表示するのではなく、製品以外のところで一覧表等 で表示しなければならないと規定された。

133 Arrêté royal relatif à l’interdiction de mise sur le marché de téléphones mobiles spécifiquement concus pour les jeunes enfants. (30 Juillet 2013) [C-2013/24306].

http://reflex.raadvst-consetat.be/reflex/pdf/Mbbs/2013/08/30/125090.pdf

134 Arrêté royal relatif à la disponibilité d’informations à l’attention des consommateurs concernant le débit d’absorption spécifique de téléphones mobiles et à la publicité pour les téléphones mobiles. (30 Juillet 2013) [C-2013/24307].

http://reflex.raadvst-consetat.be/reflex/pdf/Mbbs/2013/08/30/125092.pdf

2.3.2 ベルギー王国

なお、すべてのEN規格はベルギーで実施されており、身体装着型機器のSARも既に実 施されている。135

子供向け携帯電話の販売禁止措置は、用心のための原則(precautionary principle)の考え 方に基づき実施されたものである。その考え方の適用の根拠として下記が示されている。

第一の根拠は、子供の吸収する放射量の多さに対する懸念がある。子供たちは既に非常 に幼い頃から携帯電話に触れるようになっている。彼らの全生涯で受けるばく露は、従っ て現在の大人達よりも大きくなるであろう。さらに、子供達は、成人よりも携帯電話から の放射をより多く吸収する。脳では2倍、狭い頭骨では10倍である。

第二の根拠は、IARCが無線周波電磁界をグループ2B(possible carcinogenic:ヒトに対 して発ガン性があるかも知れない)と分類したこと、電磁界の健康影響まだ科学的に不確 定であること、これらに留意して携帯電話を使用するのが望ましい。

(3)規制制定の関連機関

保健・フードチェーン安全・環境の連邦公共サービス(FPS)136 には、電磁界ばく露防 護関係では、非電離放射線の担当部署、製品政策の担当部署等がある。また同 FPS には、

諮問委員会の役割を担う、ベルギー高等保健評議会(SHC)137 があり、放射電磁界のば く露の健康影響についての提言も行っている。その提言や報告は、後述する地域政府(ブ リュッセル首都地域、フランドル地域)の電磁界ばく露制限値の策定に寄与している。

上記FPS内の連邦公衆衛生省は、経済・中小企業・自営業・エネルギーFPS138 内の連邦経 済省とともに、EN製品規格で規定される製品を管轄する。

雇用・労働・社会対話FPS139 内の連邦労働省は、電磁界職業ばく露のEU指令2013/35/EC に準拠した、ばく露防護政策を担当する。

ベルギー郵便事業・電気通信庁(BIPT)140 は、周波数の規制管理当局であり、電気通信 機器の規制を担当している。

135 http://www.nbn.be

136 Federal Public Service of Health, Food Chain Safety and Environment:連邦政府の公衆衛生 大臣、地域環境大臣、農業大臣、北海担当大臣を抱くFPS(Federal Public Service連邦 公共サービス)http://www.health.belgium.be/ ベルギーでは省(Ministry)に代わり、

複数の省を統合したFPSの名称を2000年以来使用している。防衛省のみMinistry of

Defence。FPS名称を略し、担当大臣の省名で個別の省を説明する場合もある。連邦公

衆衛生省、連邦経済省、連邦労働省など。

http://www.belgium.be/en/about_belgium/government/federal_authorities/federal_and_plannin g_public_services/

137 SHC: Superior Health Council

http://www.health.belgium.be/eportal/Aboutus/relatedinstitutions/SuperiorHealthCouncil/?fodn lang=fr

138 Economy, SMEs, Self-Employed and Energy FPS

139 Employment, Labour and Social Dialogue FPS

140 BIPT: Belgian Institute for Postal services and Telecommunications http://www.ibpt.be/en

2.3.2 ベルギー王国

2.3.2.2 ブリュッセル首都地域における電波防護規制

(1)電波防護規制の経緯(規制の根拠を含む)

ブリュッセル首都地域政府は、2007 年にアンテナからの放射電磁界の防護規制として、

周波数範囲100 kHz~300 GHzについて、下記(a)の環境保護の条例を制定し、その公布日 から2年後に発効すると定めた。

(a)「非電離放射線により生じ得る悪影響や有害性に対する環境保護の条例」141

F. 2007-1165(S-C-2007/31104)(2007年3月1日)

本条例はベルギー官報(MB: Moniteur belge)掲載から2年後に発効すると規定。

(b)「特定アンテナの放射電磁界の測定方法・条件を規定するブリュッセル首都政府の 条例」F. 2009-3562(C-2009/31518)(2009年10月8日)142

(c)「特定の電磁波送信アンテナに関するブリュッセル首都地域政府の条例」143

F. 2009-3787(C-2009/31544)(2009年10月30日)

(d)「特定の電磁波送信アンテナに関する条例(2009年10月30日)を修正するブリ

ュッセル首都地域政府の条例」(C-2012/31047)(2012年1月12日)144

(a)の条例に従い、2009 年に(b)、(c)の条例が制定された。実質的には、アンテナに対す

る電磁界公衆ばく露防護の条例(c)は、2010 年 9 月から適用されるに至った。2007 年の環 境保護の条例(a)では、例えば、周波数900 MHzの場合、全てのアンテナからの累積値で電力

密度 0.024 W/m2以下と規定される。これは 1998年の ICNIRP ガイドラインの制限値 4.5

W/m2の約1/200に相当する。

この規制値の根 拠は 、ベルギー高等保 健評 議会(SHC)の報告と 用心のための原則

(precautionary principle)の概念をもとにしており、3 V/mが適切であると結論付けられた。

141 Ordonnance relative à la protection de l’environnement contre les éventuels effets nocifs et nuisances provoqués par les radiations non ionisantes. (1er Mars 2007) F. 2007-1165 [S-C- 2007/31104]. http://reflex.raadvst-consetat.be/reflex/pdf/Mbbs/2007/03/14/103579.pdf

142 Arrêté du Gouvernement de la Région de Bruxelles-Capitale fixant la méthode et les conditions de mesure du champ électromagnétique émis par certaines antennes. (8 Octobre 2009) F. 2009 - 3562 [C-2009/31518].

http://reflex.raadvst-consetat.be/reflex/pdf/Mbbs/2009/10/20/114619.pdf

143 Arrêté du Gouvernement de la Région de Bruxelles-Capitale relatif à certaines antennes émettrices d’ondes électromagnétiques. (30 Octobre 2009) F. 2009-3787 [C-2009/31544].

http://www.leefmilieubrussel.be/uploadedFiles/Contenu_du_site/Particuliers/02_Th%C3%A8 mes/Ondes_%C3%A9lectromagn%C3%A9tiques/MB_20091030_AGRBC_classement.pdf?lan gtype=2060

144 Arrêté du Gouvernement de la Région de Bruxelles-Capitale modifiant l’Arrêté du Gouvernement de la Région de Bruxelles Capitale du 30 octobre 2009 relatif à certaines antennes émettrices d’ondes électromagnétiques. (12 Janvier 2012) [C-2012/31047].

http://reflex.raadvst-consetat.be/reflex/pdf/Mbbs/2012/02/06/120667.pdf

2.3.2 ベルギー王国

これは子供や弱者などの受けるばく露も考慮されている。

ブリュッセル首都地域では携帯電話基地局アンテナは 2G、3Gを経て、現在は 4G が主 流になってきている。この状況下で現行の900 MHzの制限値3 V/mに対し、産業界から苦 情があり、また連邦政府からの要請もあり、6 V/mに引き上げる法案が2014年1月末にブ リュッセル地域政府の議会で評決された。しかし、まだ官報での発表には至っていない。

(2)電波防護規制の内容

(ア)公衆ばく露の制限値

2007年の条例(S-C-2007/31104)およびその後のいずれの条例でも、SAR等の基本制限 は規定されていない。

周波数範囲0.1 MHz~300 GHzの電磁放射する全てのアンテナ(対象範囲:電気通信事業 者、インターネット通信事業者、警備警察等のアンテナ)に対する累積制限値として、一 般公衆が立ち入る場所における電力密度は、上記条例、特に(a)の環境保護の条例、(c)の電 磁波放射アンテナの条例、および(d)の電磁波放射アンテナ条例の修正条例により、下表の ように規制される。

表 2-16 公衆ばく露の制限値(累積制限値)

(0.1 MHz~300 GHzの電磁波放射アンテナ) 周波数 電力密度(W/m2

0.1 MHz~400 MHz 0.01

400 MHz~2 GHz f/40000

2~3 00GHz 0.05

fの単位はMHz

f = 900 MHzでの電力密度0.024 W/m2

(電界強度3 V/m)を条例第3条で例示。

出典:2007年条例(S-C-2007/31104)第3条

ただし、下記項目における電磁放射アンテナおよび放射電磁界は、同条例の適用から除外 される。

・自然の非電離放射線や個人の使用する機器から発生する非電離放射線

GSM携帯電話端末機、WiFiやルータ、DECT型電話システム

(これらの製品は連邦政府の管轄)

・87.5~108.0 kHz、153~261 kHz、174~223 MHz、470~830 MHzの放送(テレビやラジ オ放送等を含む)

・EIRP(等価等方放射電力)が800 mWまたは 29.031 dBmより低いアンテナ

ドキュメント内 H25_trend_report (ページ 72-86)