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スウェーデン王国

ドキュメント内 H25_trend_report (ページ 52-58)

第2章 各国(地域)の電波防護規制の状況

2.2 欧州北部

2.2.2 スウェーデン王国

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電磁界の公衆ばく露規制では、EU理事会勧告1999/519/ECに準拠した規則を国内勧告と して 2008 年に(g)で定めている(2002 年の(e)は前組織の制定)。スウェーデン特有の室内 乾燥に使用されるマイクロ波に関する規則は、それ以前から実施されていたが、上記(c)、

その修正(f)を経て(h)で規定されている。

2008年7月1日に環境省配下のスウェーデン放射線防護庁(SSI)74 とスウェーデン原 子力発電検査局(SKI)75 とが統合され、スウェーデン放射線安全庁(SSM)76 が発足し た。統合前の放射線防護庁の定めた電磁界関係の規則は、放射線安全庁の規則として2008 年以降、改めて順次制定されている。従来のSSI規則(FS)の(e)と(f)は、SSM規則(g)と(h) として制定された。公衆ばく露制限の一般勧告(g)は従来の(e)と同じである。マイクロ波乾 燥の規則(h)は従来の(f)と基準は同じではあるが、規則適用の一般的ガイドラインが追加さ れている。

職業ばく露の電磁界規制に関し、雇用省管轄下のスウェーデン労働環境庁 77 は、労働 環境法(SFS1977:1160、修正版SFS2003:791)78 に基づき、(i)の規則を定めている。

(2)電波防護規制の内容

スウェーデンでは電磁界公衆ばく露のEU理事会勧告 1999/519/EC(1999 年7月)に準 拠した国内向けの一般勧告が、2002 年に放射線防護庁(SSI)により発表され、放射線安 全庁(SSM)により継承されている。

この一般勧告は、ICNIRPガイドラインの参考レベルと同じ制限値(電界強度、磁界強度、

磁束密度、等価平面波電力密度)および比吸収率(SAR)を含む基本制限(SAR、電流密 度、電力密度)を適用するよう勧告している。この一般勧告は、企業などの自主規制を勧 告するものであって法的強制力を持つものではない。

この一般勧告の文書には「放射線防護法(1988:220)第6条適用のためのガイドライン として供することを意図している」と記述され、その第6条には下記の記載がみられる。

「第6条 放射線に関係する行動(action)を行う人は、活動の本質と実施状況に応じ て、次を行うこと。1. 人々や動物に対する傷害および環境に対する損害を防止する、

または無効にするのに必要な対策および用心策(precautions)を取ること。2. 放射の 生じているサイト内、構内または他の区域内において、放射線防護を管理しこれを継 続すること。3. 行動において使用する技術的装置、測定装置および放射線防護装置を 適切に望ましい状態に保つこと」

74 SSI: Swedish Radiation Protection Authority

75 SKI: Swedish Nuclear Power Inspectorate

76 SSM: Swedish Radiation Safety Authority

77 Swedish Work Environment Authority

78 Work Environment Act (SFS1977:1160).

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一般勧告に記述された基本制限および参考レベル(以下では制限値)、スウェーデン特有 のマイクロ波による乾燥に関する規則の制限値を以下に掲げ、さらに携帯電話使用の際の 用心のための原則(precautionary principle)について述べる。

(ア)比吸収率(SAR)等の基本制限

表 2-7 公衆ばく露の基本制限

周波数範囲

磁束 密度 (mT)

電流密度

(mA/m2

SAR (全身平均)

(W/kg)

局所SAR (頭部と胴体)

(W/kg)

局所SAR (四肢)

(W/kg)

電力 密度

(W/m2

0 Hz 40 - - - - -

0 ~1 Hz - 8 - - - -

1~4 Hz - 8/f - - - -

4 Hz~1000 Hz - 2 - - - -

1000 Hz~100 kHz - f/500 - - - -

100 kHz~10 MHz - f/500 0.08 2 4 -

10 MHz~10 GHz - - 0.08 2 4 -

10 MHz~300 GHz - - - - - 10

fはHzを単位とした周波数

(上表の制限値は1998年のICNIRPガイドラインに準拠)

出典:放射線防護庁の規則SSI FS 2002:3と放射線安全庁のSSM FS 2008:18

(イ)公衆ばく露の制限値

① 公衆ばく露EU理事会勧告1999/519/ECの制限値

表 2-8 公衆ばく露の制限値

周波数範囲 電界強度 E(V/m)

磁界強度 H(A/m)

磁束密度 B(μT)

等価表面波電力密度 Seq(W/m2

0~1 Hz - 3.2×104 4×104

1 ~8 Hz 10,000 3.2×104/f2 4×104/f2

8~25 Hz 10,000 4,000/f 5,000/f -

0.025~0.8 kHz 250/f 4/f 5/f -

0.8~3 kHz 250/f 5 6.25 -

3~150 kHz 87 5 6.25 -

0.15~1 MHz 87 0.73/f 0.92/f -

1~10 MHz 87/f1/2 0.73/f 0.92/f -

10~400 MHz 28 0.073 0.092 2

400~2000 MHz 1.375f1/2 0.0037f1/2 0.0046f1/2 f/200

2~300 GHz 61 0.16 0.20 10

fは対応する行の周波数範囲に記載の単位の周波数

(上表の制限値は1998年のICNIRPガイドラインに準拠)

(出典:同上)

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②マイクロ波による乾燥に関する規則の電磁界制限値

マイクロ波による乾燥は、アパートや建物内の湿気や水分を除去し、コンクリートやレ ンガ造りの壁や床材なを乾燥させることができ、拭き掃除やファンだけより早く効率的で あるという。使用法を誤ると健康を害することがあるためこの規則が制定されている。

放射線安全庁は、乾燥作業実施の許認可、乾燥作業中の検査、測定評価を担当する。労 働環境庁は、労働者保護の視点からこれらの問題を管轄する。

表 2-9 乾燥用に使用するマイクロ波の電磁界制限値 周波数範囲

(MHz)

電界強度

(V/m)

磁界強度

(A/m)

電力密度

(W/m2

10~400 28 0.073 2

400~2000 - - f / 200

2000~150000 - - 10

fはHzを単位とした周波数 電界強度、磁界強度:6分間の実効値

電力密度:6分間の平均値

出典:放射線安全庁の規則SSM FS 2012: 1

③ 携帯電話使用に関する用心のための原則

2005 年にスウェーデン放射線防護庁(SSI)は、携帯電話の使用に関して用心のための 原則 79 を適用すると決めたと発表し、携帯電話を使うときには不必要なばく露を避ける ようにと勧告した。放射線安全庁(SSM)でも、携帯電話使用不可とすべき科学的証拠は ないが、長期影響が不確定であるとして、SSIと同様の勧告を次のように発表している 80

ハンドフリー装置または携帯電話のスピーカー機能を使用する。通話中は携帯電話を身 体から遠ざける。基地局からの電波の受信感度が良好な場所で通話する。受信感度の低い 場所(例えば、携帯電話通信網が希薄な場所、外部に携帯電話アンテナを備えていない車・

電車などの車内、エレベータ内や地下室等)では使用を避ける。

(ウ)職業ばく露の制限値

① 労働環境法(SFS1977:1160、最近の修正はSFS 2013:610)81

政府は、現段階での科学的根拠のある健康影響についてのみ、電磁界ばく露防護規制の 対象としている。労働環境法は、電磁界の職業ばく露に関する規制の基礎となるものであ り、労働環境の改善を実施していく上でのさまざまな労働内容の規定が含まれている。具

79 Försiktighetsprincipen(= Precautionary Principle)

80 http://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/start/Magnetfalt--tradlos-teknik/Mobiltelefoni/Mobilrad/

81http://www.riksdagen.se/sv/Dokument-Lagar/Lagar/Svenskforfattningssamling/Arbetsmiljolag-1 9771160_sfs-1977-1160/

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体的には、1)病気や事故からの予防、2)質の高い労働環境の達成である。2)の達成によ り、仕事の多様化を促し、仕事の満足度を高め、社会参加や個人の能力開発に寄与するよ うな良い成果を生み出すことを目的としている。

② 高周波電磁界(職業ばく露の規則)(AFS1987:2)の制限値

規則の目的は、電磁界の知られている熱作用による健康影響の防護であり、職業ばく露 防護の規制値が定められている。規則の範囲は3 MHz~300 GHzであり、制限値は未擾乱 の電界および磁界において1秒と6分間で測定された数値を設定している。

この職業ばく露の規則の関与する作業は、例えば、プラスティックフィルムの溶接、木 材や木工ボンドの乾燥、短波やマイクロ波ジアテルミーなどの医療熱処理、レーダー送信 機、無線通信、ラジオやテレビ放送、監視システム(防犯アラーム、デパート内の自動ド ア等)などである。

電気的に接地した物体と接触する作業で、身体の一部と高周波の接地金属(金属機械構 造物や金属床など)との間の距離が10 cm未満の場合には、周波数範囲3~60 MHzでは下 記表の制限値の3分の1に規定される。また、周波数範囲3 MHz~1 GHzで放射電力が7 W 未満の移動無線アンテナまたは同様の送信用拡張アンテナから放射される電磁界には、下 記表の制限値は適用されない。

表 2-10 職業ばく露の制限値(1秒間の実効値)

周波数範囲 電界強度

(V/m)

磁界強度

(A/m)

等価平面波電力密度

(W/m2

3 MHz~300 MHz 300 0.80 250

300 MHz~300 GHz 300 ― 250

※ 遠方界(far field)のときに相当するおよその値。

出典:高周波電磁界(職業ばく露の規則)AFS1987:2

表 2-11 職業ばく露の制限値(6分間の実効値)

周波数範囲 電界強度

(V/m)

磁界強度

(A/m)

等価平面波電力密度

(W/m2

3 MHz~30 MHz 140 0.40 50

30 MHz~300 MHz 60 0.16 10

300 MHz~300 GHz 60 ― 10

※ 遠方界(far field)のときに相当するおよその値。

(出典:同上)

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(3)規制制定の関連機関

電磁界防護規制の政策制定に関しては、環境省、雇用省、企業・エネルギー・通信省が関 係するが、具体的な実務は各省の外郭機関が担当する。

スウェーデン放射線安全庁(SSM)は、放射線防護法に基づいて、低周波から高周波の 全領域にわたる電磁界ばく露防護の業務を担当し、関連する規則作成に関わる。

スウェーデン労働環境庁は、労働環境に関する規則を作成し、労働環境法および関連す る労働規則等に対して実際の職場の適合性を監督し、必要に応じて労働条件の改善を指摘 することが主要業務となる。

郵便・通信庁(PTS)82 は、電話、インターネット、無線を含む電気通信と郵便を監督し ており、周波数の配分管理、無線通信設備の許認可を担当する。

スウェーデン放射線安全庁は、北欧5ヵ国の共同声明「携帯電話、基地局、無線ネット ワークからのばく露」(2013-12-17)83 の一機関として名を連ねている。節「2.2.1 フィン ランド共和国」の項「(4)北欧5ヵ国の共同声明」参照。

(4)地方レベルの電波防護規制

スウェーデンでは地方レベルでの規制は行われていない。

82 PTS: Post-och telestyrelsen.(= National Post and Telecom Agency)

83 Exposure from mobile phones, base stations and wireless networks (A statement by the Nordic radiation safety authorities, 2013-12-17).

http://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/Global/Bildarkiv/Ovrigt/emf-statement.pdf

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