1.4 ベトナム語に おける bắt 、 cho 、 để 、 làm 、 khiến 使役 文について
1.4.2 cho 使役構 文
1.4.2.1
社会慣習によっ て何らかの 行為をさせる意 味
ベト ナム 語で は、 程 度の 軽い 使役 を表 す場 合、cho を使 う。 使 役者 が被 使役 者に 何ら か の ことを する よう に仕 向け る 。cho は bắt程、無理 やり 、強制 的な 命令 が含意 さ れず 、や や軽 い 使役構 文で ある 。 あ るい は、 使役 者が 機械や もの に力 を入 れ、 ある いは 何か に関与 して 、出 来事を 引き 起こ す。
(3) Chúng tôi sẽ cho người đến sửa ngay.
私達 [未来] させる 人 来る 修理す る すぐ
(すぐ 係の 者を 修理 に来 させ ます。)
(3) では 話し 手が 、自分 の部 下、 会社 の技術 者、 関係 者な どに 修理 に行 かせ るので ある が、
夫婦、 親子 、会 社の 上司 、部 下な ど、 その社 会的 な立 場に よっ てお 互い に様 々な事 柄を 指示 したり 、依頼 した りでき ると いう 一定 の社会 習慣 的な 制御 力を 持っ てい る。そして 、「 修理 に 行かせ る」被使 役者 は、指示・依 頼さ えすれ ばや って くれ る。そして NP2に とって は、行為 を行う こと によ って 自分 には 利益 が発 生した りを 被害 受け たり する わけ では なく、 頼ま れた ら行為 を行 うこ とに なる 。そ こに 責任 がある ため 、あ るい は、 自分 の業 務 と して行 為を 行う 意味を 表す 。
cho 使役 構文 では 普通 NP1は NP2よ り 社会的 地位 が高 いの で、NP2が社 長、親など 、発話 者より 社会 的地 位が 高い 場合 、cho使 役構文 を用 いる こと はで きな い。NP2 が NP1より 社会 的地位 が高 い場 合は 、nhờ 使 役構 文を 用いる のが 一般 的で ある 。上 に述 べた ように 、会 社の 上司部 下の 間、 親子 間、 夫婦 間で よく 使われ るが 、夫 婦の 場合 では 、tôi sẽ cho vợ tôi「 私は 妻に~ させ る」とい うよう に夫 が妻 に何 かをさ せる 表現 のみ が用 いら れる。それ とは反 対に 、 tôi sẽ cho chồng tôi「 私は 主人 に~ させ る」と いう よう に妻 が夫 に何 かを させ る表現 は不 自然 である 。(3)では NP1も NP2も 両方 有 生物で ある 。一方(4)の よう に、NP1 は有生 物で NP2 は無生 物の 場合 でも 用い られ る。
(4) Giám đốc đã cho cuộc họp bắt đầu/kết thúc.
社長 [既然] させる 会議 始まる /終 わる
(人事 部部 長は 会議 を始 めた /終 わっ た。)
(4) では NP2の 位置 に来 るの は人間 ではな く「 会議 」で ある ので 、NP1と NP2の 関係 も明 白では ない 。こ の文 は使 役者 は被 使役 者に命 令な どし て被 使役 事象 を行 うよ うに強 制す るの ではな く、 使役 者は 何か を意 図的 に行 い、被 使役 者に 何ら かの 作用 をも たら したり 状態 を変 化させ たり する とい う意 味を 表す 。
1.4.2.2 被使役者に何 かをする機 会を与える意味 (「許可」 の意味 )
この意 味で は、 使役 者は 被使 役者 の意 志に従 って 許可 を出 すと いう 意味 を表 す。つ まり 、 被使役 者に は何 らか の出 来事 を引 き起 こす願 望が あり 、そ れに 対し て、 使役 者はそ の願 望の 実現に 向け て許 可を 与え るこ とを 表す 。この 使役 構文 では、NP1と NP2の関 係は 統 制と 被統 制の関 係で ある 。使 役者 は被 使役 者が 主体と なる 出来 事の 発生 に許 可を 与え るとい う形 で積 極的に 関与 する 。
(5) Con gái tôi thích Piano nên tôi đã cho con gái học
娘 私 好き ピアノ だから 私 [既然] させる 娘 習う
(娘は ピア ノが 好き なの で、 私は 彼女 にピア ノを 習わ せた 。)
(5)で は被 使役 者に「 ピア ノを 習う」という 願望 があ り、そ の実 現に 向け て 支配的 立場 に
ある使 役者 が許 可を 与え るこ とを 表す ので、「 許可 使役」と呼 ぶ。この使 役で は、使 役者 と被 使役者 間の 関係 は統 制と 被統 制関 係で ある。 一般 的に 、被 使役 者の 願望 の実 現に向 けて 使役 者が許 可を 与え ると いう こと は 、利害 授受的 観点 から 言え ば「好 意」を表 す 。言いか えれ ば、
この構 文では NP2 にと って は利 益を 得 られる と捉 えら れや すい 。
また 、cho 使 役構 文 では 被使 役者 が望 まな くて も、 使役 者 が善 意で 、被 使役 者に とっ て 良 い と 考 え ら れ る こ と に 関 し て 、 被 使 役 者 に 何 ら か の こ と を す る チ ャ ン ス を 与 え る 。 ま た は 、
「「NP1 cho NP2 V」 構文 には 、被 使役 者に『 ・・ ・し ても よい 』と いう 恩恵 /好意 的な 許可 を与え る 」とい う用 法が ある 。(19)で は、花子 は何も 望ん でい なか った が、花子の 様子 を見 て太郎 は彼 女を 休ま せた 、と いう 解釈 になる 。
(6) Thấy Hanako sắp kiệt sức, Taro đã cho cô ấy nghỉ ngơi.
見える 花子 もう直 疲れ果 てる 太郎 [既然] ~与え る彼 女 休む
(疲れ 果て た花 子を 見て 、太 郎は 花子 を休ま せて あげ た。)
1.4.2.3 何かをする機 会を与える よう求める意味 (「許可」 を求め る意味)
ベトナ ム語 では 、許 可を 求め る際 に「(NP1) cho /cho phép NP2 V」 構文 を 用いる 。こ の 構文で は NP2は発 話者 であ ると 同時 に 動作主 であ る。
(7) Cụ cho phép cháu bày tỏ cùng cụ vài điều.
お爺さ ん 許可 する 私 話す 一緒 お爺さ ん いくつ こと
(お爺 さん とい くつ かお 話し たい こと がある んで すが 、話さ せて いた だけ ま せんか 、)
(Khái Hưng- Nửa chừng xuân)
(7) では NP1は NP2に 何ら かの こと をする 許可 を与 える 意味 を表 す。cho/ cho phép使 役構 文では 発話 は使 役者 であ るか 、 あ るい は被使 役者 であ るか によ って 許可 を出 す文な のか 許可 を求め る文 なの かが 決ま る。
「NP1 cho/ cho phép NP2 V 」構 文 では 発話者 は NP1であ れば 、許可 を出 す文 である のに 対 して、 発話 者は NP2で あれ ば、 許可 を 求める 文で ある 。
(8)a. Hôm nay, tao cho chúng mày nghỉ sớm.
今日 俺 させる お前た ち 休む 早く
(今日 、お 前た ちを 早く 帰ら せて やる よ。)
b. Hôm nay, anh cho chúng em nghỉ sớm nhé.
今日 あなた させる 私たち 休む 早く ね
(今日 、早 く帰 らせ て下 さい ね。)
(8)aは 許可 を出 す表 現で ある が 、発 話者は 使役 者の NP1で ある。一方 、(8)b は許可 を求 める表 現で ある が、 発話 者は 被使 役者 の NP2である 。
一方、 許可 を求 める 表現 では 、cho phépを用い ると 非常 に礼 儀正 しい表 現で ある。 許可 を 求める 人の 謙虚 な態 度を 表す 。
(9)a.Anh cho em giải thích lý do.
貴女 させる 私 説明す る 理由
(理由 を説 明さ せて 下さ い。)
b. Anh cho phép em được giải thích lý do.
貴女 させる 私 できる 説明す る 理由
(理由 を説 明さ せて いた だけ ませ んか。)
許可を 求め るcho使役 構文 では 許可を 出すcho使役 構文 と違 って 構文 が二つ しか存 在し ない 。 以上考 察した cho 使 役構 文の 三つ の用 法をま とめ てお こう 。
意味 使役者 の役 割 被使役 者の 役割 あ る 出 来 事 に 新 た な 使 役 者 が
関与し て、その 出来 事を 引き起 こす。
社 会 習 慣 的 な 制 御 力 に よ る 指 示・依 頼
抵抗な し
使役者 が機 械や もの に力 を入 れ、あ るい は何 かに 関与 して、
出来事 を引 き起 こす 。
直接操 作を 行っ て、機械 を動 かし たり、 止め たり する 。
あるい は 、会議 など を始 めさ せた り終わ らせ たり する 。
機械、 会議 など
「許可 」を 出す 被 使 役 者 の 願 望 の 実 現 に 向 け て 許可を 与え る。
願望、 希望 があ る
使役者 は自 分の 善意 で、被使 役者 にとっ て良 いと 考え て、被使 役者 に 何 ら か の こ と を す る チ ャ ン ス を与え る。
願望、 希望 がな い
「許可 」を 求め る 許可を 出す 。 願 望 、 希 望 が あ る 。 許 可を求 める