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と NP2 と が 密接 に 結 び つ い て 単一 の 事 態 を構 成 す る も の であ る こ と を 挙 げ て い る。 つ ま り NP1が 何ら かの 行為 を行 った 結果 、NP2の状態 か位 置等 を変 化さ せる 意味を 表すと いう 事実 にある 。

この指 摘は 、日 本語 との 対照 を行 う上 で有益 なも のと 言え る。Nguyễn Thị Quyの 発話 行為 構 文 と 使 役 構 文 の 区 別 か ら 見 る と 、 発 話 行 為 構 文 は 日 本 語 の 「~さ せ る 」 を 用 い る 使 役 構 文 と同様 であ る。そ のう ち、「 言う」とい う意味 を持 つ使 役動 詞の 場合 は日 本語 の「~ よう に言 う」、「 ~て もら う」 に対 応す る。 そし て、「 言う 」の 意味 を持た ない 使役 動詞 は「~ させ る」

に対応 する 。 こ こか ら、 ベト ナム 語の 使役構 文は 日本 語の 語彙 使役 構文 に対 応する とい う仮 説をた てる こと がで きる 。実 際、3 章 以下で は、 主に 日本 語に おけ る使 役構 文とベ トナ ム語 におけ る発 話行 為構 文と 使役 構文 の相 違点と 類似 点を 検討 して いく 。

Diệp Quang Ban は使 役構 文で 用い られ る述語 動詞 は使 役的 な動 詞で あり 、使 役者は 被使 役

者に 命令 や指 示を 出 した り、 何ら かの こと をす るよ うに 仕 向け たり する と述 べて いる 。Diệp

Quang Ban の定 義は 使役 文の 基本 的な 特徴と 一致 する 。ま た、 使役 構文 に非 常に近 い原 因結

果構文 も存 在す る。 それは NP1 と NP2 の間で 、NP1が 原因 とな って NP2 が 生じる とい う原 因結果 を表 す構 文で ある と述 べて いる 。西村(1998)に よる と、X が 原因と なって Yが 生じ るのが 因果 関係 であ り 、こ のよ うな 因 果関係 を表 す 構 文を “causative”(「 使役 的」)ま たは「 使 役構文 」(causative construction)と 呼ぶ のが適 切で あろ うと 述べ た 。し たが っ て 、Diệp Quang Banが述 べて いる因 果関 係構 文も 使役 構文と 呼 ぶ こと がで きる と思 われ る 。

以上 のよ うに 、 先 行研 究か ら見 ると 、ベト ナム 語に おけ る使 役構 文は Nguyễn Kim Thản、

Nguyễn Thị Quy、Diệp Quang Banが述 べてい る使 役構 文以 外に 、Nguyễn Thị Quyが 述べ た発 話行為 構文と Diệp Quang Ban の 因原 因 結果構 文も 含ま れる と思 われ る。

なる。 意味 の面 にお いて も様 々な 見方 が可能 であ る。 日本 語に おけ る使 役構 文では 、語 彙的 使役表 現以 外に は、「さ せる 」を 用い る 迂言使 役も 存在 する のに 対し て、孤立 語であ るベ トナ ム語で は日 本語 のよ うな 「~ させ る」 形態素 が存 在せ ず、 語彙 的な 使役 しか ない。 そし て、

Nguyễn Kim Thản(1978)が 述べ てい る ように 、ベト ナム 語で は使役 表現 を表 すいく つか の真

正 使 役 動 詞 が あ る 。 ベ ト ナ ム 語 で は 使 役 表 現 に つ い て の 定 義 は ま だ 確 立 さ れ て お ら ず 、1.2 で述べ たよ うに 研究 者ご とに 異な った 構文が 使役 とし て扱 われ てい る。 例え ば、NP1が NP2 に何か をす るよ うに 直接 に命 令を 出し たり頼 んだ りす る「発 話行 為構 文」、NP1が何ら かの 働 きかけ で NP2があ る状 態、地位 を変 化 させる「 使役構 文」、ま た、NP1が原 因 となっ て 、NP2 がある 状態 、位 置な どが 変化 する 「原 因結果 構文 」な どで ある 。従 って 、本 研究で は、 使役 につい ての 通言 語的 な 定 義を 確認 し、 ベトナ ム語 の 様 々な 使役 表現 の位 置づ けを行 うこ とで 研究対 象を 絞る と と もに 、日 本語 との 使役表 現の 構文 上、 主に 意味 上の 相違 点と類 似点 を考 察した い。

西村(1998)によ ると 、使 役構 文と は 使役動 詞を 述語 動詞 とす る(「使 役」の 意味が 述語 動

詞によ って 表現 され る)構 文で ある 。西村は 英語の causation の意 味を 含む と 考えら れる 種 類 の動詞 を使 役動 詞と 呼ん でい る。

(1) a.Mary killed John.

b.花子 は太 郎を 殺し た。

例文(1)では 、普 通の 解釈 では 、花 子 の行為 の結 果( 太郎 を銃 で撃 つ、刃物 で刺す など の

行為)、太 郎が 死ぬ という 事態 が生 じる 意味を 表す 。

英 語 の“causation”に 「 因果 性 」 あ る い は 「 因 果関 係 」 と い う 意 味 が ある 。 そ の 因 果 関係 を 詳しく 考え てみ ると 、事 態 X と事 態 Y の間 に、X が原 因と なっ て Y が生 じ るとい う因 果関 係が成 立し てい る。 つま り、(1) では kill( 殺す )は CAUSE TO DIE とい う 意味を 表す 。

(2) a.They made me repeat the whole story.

b.彼ら は私 にそ の話 を全 部ま た繰り 返 させた 。

(3) a.Let me introduce myself.

b.自己 紹介 させ てく ださ い。

上の(2)(3) の例 文にお いて 、英 語で は make と let とい う異な る使 役動 詞が 使われ て い るのに 対し 、日 本語 では 同じ 「さ せ」 の形式 が用 いら れて いる 。ベ トナ ム語 は英語 と同 じく 異なる 動詞 を用 いる 。す なわ ち、 以下 のよう に(4)の bắt構 文と (5) の cho構文に なる 。

(4) Họ bắt tôi kể lại toàn bộ câu chuyện.

彼ら させる 私 繰り返 す すべて 話

(彼ら は私 にそ の話 を全 部ま た繰 り返 させた 。)

(5) Cho phép tôi tự giới thiệu.

させる 私 自己紹 介す る。

(自己 紹介 させ てく ださ い。)

例(4)の bắt 構文 は NP1 が NP2 に働 きかけ 無理 やり 何ら かの こと をさ せる 意味を 表す 。 そして 例(5) の cho構 文は許 可を 求め る・許 可を 出す 意味 を表 す。 西村 (1998)は (2) や

(3)の 文も、何ら かの 因果 関係( この 場合に は、主語に よる 命令 や許 可な ど が原因 で補 文の 表す行 為が 結果 )を 表し てい るの で、 使役文 と呼 ぶこ とに 問題 はな いと 述べ ている が、 その 点では (4)や (5) のベ トナ ム語 の文 も使役 文と 呼べ るだ ろう 。

そして 、西 村(1998)は 使役 構文 を表 す因果 関係 の性 質に つい ては 以下 のよ うに述 べて い る。

〈1〉原因 は主 語の 行為 であ るが、〈2〉それが いか なる 行動 であ るの かは 明示 されず 、〈3〉

結果の 部分 のみ を取 り出 して、 単独 の 文とし て表 現で きる とい うこ とで ある。〈4〉主語 が 〈1〉 の 行 為 を 行 う の は 、〈3〉 の 結 果 を 生 じ さ せ る た め で あ る ( 換 言 す れ ば 、 こ の 場 合の因 果関 係は 手段 ・目 的関 係で もあ ると述 べて いる )。( 西村 1998: 121)

この西 村の 観点 から 見る と、 ベト ナム 語の他 動詞 文(Diệp Quang Ban が 使役 構文と 呼ぶ も の)、NP1 が NP2 に 命令 ・指 示を 出し て何ら かを させ る「 発話 行為 」構 文、 そして 、因 果関 係を表 わす 構文 はす べて 使役 構文 と呼 ぶこと は問 題で はな いだ ろう 。使 役構 文の因 果関 係の 性質に つい て 言 えば 、ベ トナ ム語 では、(6)、(7) のよ うに 「NP1 khiến NP2 V」の khiến使 役構文 と「NP1 làm NP2 V」 の làm使 役構文 は主 語の NP1が 原因 で、 後続 に 来る事 象の NP2

(6)Anh ấy làm mọi thứ rối tung.

彼 させる すべて 混乱す る

(彼は すべ ての こと を混 乱さ せた。)

(7)Tiếng súng đã khiến cho mọi người hoảng sợ.

銃の音 [既然] させる 皆 怖がる

(銃の 音は 皆を 怖が らせ た。)

したが って 、khiến と làmは原 因的 な使 役表現 であ り、それは 西村(1998)の 因果関 係の 規定 に当て はま って いる 。

日本語 にお ける 使役 構文 も、 仁田 (2009)に よる と「 因果 的な使 役文 とは ある 事態が 原 因 やきっ かけ とな って 別の 事態 が引 き起 こされ るこ とを 述べ るも の」 であ ると されて いる 。あ る事象 が起 き、 その 事象 が原 因と なっ て後続 する 事象 が直 接的 に引 き起 こさ れた意 味で 、二 つの事 態は 強い 因果 関係 で結 ばれ てい る。因 果的 な使 役文 の主 語に は、 事柄 がくる 場合 と、

人がく る場 合と があ ると 述べ てい る。 つまり 、日 本語 にお ける 使役 構文 でも ベトナ ム語 にお ける使 役構 文で も原 因的 使役 文が 存在 すると いう こと は共 通点 があ る。

また、 使役 構 文 のプ ロト タイ プに つい て、西 村(1998)は 以下 のよ うに 述べ ている 。

A. 行 為 者( 人間 )は行為 対象 に(位 置 、状 態な どに おけ る)何ら かの 変化 を 生じさ せる ことを 目標 とす る。

B. 行為 者は A の 目 標を 達成 する ため に、何 らか の身 体的 な動 作を 行為 対象 に対し て行 う。

C. 行為 者は その 身体 的動 作を コント ロ ールし てい る( 他者 など に強 制さ れて いるわ けで はない 。)

D. B の動 作に よっ て、行為者 から 行為 対象に エネ ルギ ーが 伝達 され た結 果、後者に A の 目標通 りの 変化 が直 ちに 生じ る。

E. Bの 動作 の実 行およ びそ の結 果行 為 対象に 生じ るDの 変化の 主た る責 任は 行為者 に帰 せられ る。(西村1998:124)

すなわ ち、〈(使 役) 行為 者〉 のプ ロト タイプ は自 らの 力な いし エネ ルギ ーを 、意図 的に か つ自ら の責 任に おい て用 いる こと によ って、〈 対象 〉の 位置 ない し状 態に 何ら かの変 化を 生じ

させる とい う目 標を 達成 する 人間 であ る。

このよ うな 使役 構文 のプ ロト タイ プの 定義か ら見 た場 合、 ベト ナム 語に おけ る使役 動詞 を 用いる 使役 構文 がそ れに 該当 する 。

(8) Tên cướp đó đã giết chết Hanako.

強盗 あの [既然] 殺す 花子

(あの 強盗 は花 子を 殺し た。)

(9) 太郎は パソ コン を壊 した 。

上記の 例文 から 見る と、 ベト ナム 語の 他動詞 文の 例(8) では行 為者 の NP1 が「銃 で花 子 を撃つ 」あ るい は「 刃物 を使 って 花子 を 刺す 」な どの 身体 的動 作を 行 う 。そ の結果 、NP2が ある状 態(「花 子が 死んで いる 」) に変 化する 。そ して 、例 (9) では NP1 の 太郎は ある 目標 をもっ て NP2に働 きか けて 、そ の結 果 、NP2が「壊れ てい る」とい う状 態に 変化 す る。つま り、日 本語 もベ トナ ム語 と同 様で 、使 役文で は行 為者 は行 為対 象に (位 置、 状態な どに おけ る)何 らか の変 化を 生じ させ るこ とを 目標と する 。

ベトナ ム語 にお ける giết chết「 殺す」、đốt cháy「 燃や す」、di chuyển「動 かす」、xé rách「 破 る」、phá hỏng「 壊す」、bẻ gãy「 折る 」等の使 役動 詞を 用い る使 役構 文、そ し て日本 語に おけ る他動 詞構 文は プロ トタ イプ の使 役構 文の条 件 A、B、C、Dと 一致 する 。ベ トナム 語で は単 独の他 動詞 は一 般的に NP2の位 置、状 態など を変 化さ せる こと まで 表わ さず 、NP1の動 作を 表わす こと が多 いが 、他 動詞 +自 動詞 から形 成さ れる 複合 動詞 は NP1 の動 作と同 時 に NP2 の位置 、状 態変 化を 表わ す。 一方 日本 語では 、単 独の 他動 詞の みで も、NP1 の動作 、同 時に NP2の 位置、状態 変化 も表 わす。この 点 につい ては 日本 語と ベト ナム 語は 異な る。すな わち 、 日本語 では 他動 詞文 はプ ロト タイ プ使 役の条 件 Dも満た すの に対 して 、ベト ナム語 にお ける 単独の 他動 詞文 はこ の条 件を 満た さな い。 こ の点 につ いて は、第 2章で 詳述 する。

次に日 本語 にお ける 「さ せる 」表 現と ベトナ ム語 にお ける 真正 使役 動詞 を用 いる構 文に つ いて見 てみ る。