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1.2 ベトナム語の 使役に関 する研究

1.2.3 Diệp Quang Ban の主 張

Diệp Quang Ban (2004)は 、使 役構 文で 用いら れる 述語 動詞 は使 役的 な動 詞で あり、 文の 主 語は発 動体 (使 役者 ) と して 、被 使役 者に命 令や 指示 を出 した り、 何ら かの ことを する よう に仕向 けた りす るこ とが 可能 であ ると 述べて いる 。目 的語 は使 役行 為や 命令 などを 受け る対 象で、 同時 に使 役行 為や 命令 の内 容と の関係 では 動作 の主 体で ある とい う。

使役構 文で よく 用い られ る使 役動 詞は bắt ép「 強制 する 」、cho phép「許 可す る」、đề nghị

「 請 う 」、cấm「 禁 止 す る 」、giục「 促 す 」、khuyên「 勧 め る 」、mời「 招 く 」、sai「 命 ず る / 言 いつけ る」、xin「 願う /要請 する 」、yêu cầu「要 求す る」等 であ る。

(16) Giám đốc buộc nó nghỉ việc.

社長 させる 彼 辞める 仕事

(社長 は彼 に仕 事を 辞め させ た。)

Giám đốc 社長

buộc

~させ る

Nó 彼

nghỉ việc 仕事を 辞め る

統語構 造 主語 述語 目的語 補語

表現意 味構 造 発動体 働きか け 仕向け る ⇒

目的体 動作主 体

⇒事柄

使役構 文で は、 描写 的な 要素 や量 を表 わす要 素が ある 場合 、NP2 と V2 の位 置を交 換す る のは可 能で ある 。(16)で は以 下の(17)のよう に NP2と V2を置 き換 える こと が可能 であ る。

(17) Giám đốc buộc nghỉ việc người chưa thạo việc.

社長 させる 辞める 仕事 人 まだ 熟す 仕事

(社長 は仕 事に 慣れ ない 人を 辞め させ た。)

上に述 べた 使役 構文 では 、主 語は 発話 者(つ まり 第一 人称 )そ して 発話 する 時に命 令を 出 す場合 、そ の使 役構 文は 発話 行為 構文 になる と述 べて いる 。

(18) Tôi mời em Giáp đọc bài.

私 請う ~さん Giap 読む。

(Giap さん に教科 書の 文を 読ん でも ら います 。)

この文 は、先生 が教 室で学 生に 教科 書の 文を読 んで ほし い時 に直 接学 生に 話す 表現で ある 。 また、 ある 人が もう 一人 の人 に何 か頼 むとき にも 以下 のよ うな 表現 を用 いる ことが でき る。

(19) Tôi không ép anh phải làm điều đó.

私 ない 強要す る あなた しなけ れば なら ない こと その

(私は あな たに その こと を強 要し はし ない。)

Diệp Quang Ban (2004)によ ると、ベト ナム語 では 使役 構文 に非 常に 近い 構文 も存在 する 。 それは NP1が 原因 とな って NP2が 生じ るとい う 原 因結 果を 表す 構文 であ る。以下 、こ れを 因 果関係 構文 と呼 ぶ。 この 構文 では 主語 は原因 、述 語は 結果 、両 者は 因果 関係 にある こと を表 す。

因果結 果構 文で は必 ず二 つの 出来 事が 表され る。 出来 事 ① は原 因を 表し 、出 来事 ② は結 果 を表わ す。 この 二つ の出 来事 が因 果関 係を表 わす ため には 、以 下の 条件 を満 たさな けれ ばな らない

 原因を 表す 事態 ①は 必ず 結果 を表 す事 態 ②よ り先 に起 きる こと 。

 事態① は事 態② が出 現す るま で効 果が あるこ と。

 事態② が起 こる のに 、事 態 ① は必 要条 件 であ るこ と。

 事態② が起 こる のに (具 体的 な場 合 ) 事態① 十分 条件 であ るこ と 。

原因を 表わ す主 語は 単一 の名 詞で も必 ずある 事態 を表 す、 ある いは 、主 語自 身が出 来し た 事態で ある 。も しく は間 接的 に事 態を 表す。 次の 例を 見て みよ う。

(20) a.Gió tắt đèn.

風 消す ランプ

(直訳 :風 はラ ンプ を消 した。)

(風で ライ トが 消え た。)

b. Giáp tắt đèn.

Giáp 消す ランプ

(Giap は ラン プを 消し た。)

(20)aでの「 風」はた だ「 風」を意 味 する名 詞で はな く、出来 事( この 場合 は空気 の動 き)

を表す 。「 風が 吹く 」とい う事 態が ある からこ そ、「ラ ンプ が消え る」 とい う事 態が引 き起 こ された 。つ まり 、(20)aは 因果 関係 構 文と呼 ぶこ とが でき る文 であ る。

であ る。 この 構文 は 「Giap さ んは ラ ン プを 消し た」 とい う 一つ の事 態し か表 わさ ない ので 、 原因関 係と は言 えな い。

(20)bに làm「 ~さ せる 」を入 れれ ば、因 果関 係を 表す 構文 にな る。

(20)c. Giáp làm tắt đèn.

Giáp させる 消す ライト

(Giap はラ イトを 消え させ た。) 直訳

(Giap は電 気を消 した 。)

(20)c では 「Giapは何 らか をし た」、 そして 、「 ラン プが 消えた 」二 つの 出来 事を表 す。

Diệp Quang Ban(2004)に よる と、 マ ークさ れる 因果 関係 構文 では 、làmは 間接的 に NP2 に働き かけ てあ る結 果を 引き 起こ すと いう役 割を 持つ 。この làm は 二つ の目 的語を 必要 とす る。こ の定 義か ら見 ると 、使 役構 文の 定義に 近い 。し かし 、使 役構 文と の区 別は因 果関 係構 文では 、làm、khiến など の使 役動 詞の 後に cho「 与え る」 を取 るこ とが でき るが、 使役 構文 では使 役的 動詞 làm、khiến、buộc、bắt等の後 には 、cho を取 るこ とが できな い。

(21) a.Ông ấy bắt hai người kia nghỉ việc

彼 させる 二人 人 あの 辞める 仕事

(彼は あの 二人 に仕 事を 辞め させ た。)

b.*Ông ấy bắt cho hai người kia nghỉ việc

彼 させる 二人 人 あの 辞める 仕事

(彼は あの 二人 に仕 事を 辞め させ た。)

(21)b では 動詞 の後 に cho が来 るこ とが不 可能 なた め、 因果 関係 構文 では なく使 役文 だと Diệp Quang Ban は主 張し てい る。

また Diệp Quang Banは(22)、(23)の ような 文も 因果 関係 構文 では なく 、他 動詞文 であ る

と述べ た。

(22) Giáp uốn cong cây sắt.

Giáp 曲げる 曲がっ てい る 鉄棒

(Giap は 鉄棒 を曲 げた。)

(23) Giáp bẻ gãy thanh gỗ.

Giáp 折る 折れて いる 木

(Giap は木 を折っ た。)

(22) では cây sắt「鉄 棒」は uốn「 曲 げる」 の目 的語 で、NP1の uốn「 曲げ る」動 作を 受け て、 結果 は「 曲が っ てい る」 状態 にな る。cong「曲 がっ てい る」は uốn「 曲げ る」 の結 果で あ る。(23)も同 様で giapは uốn「 折る 」という 動作 を行 って 、そ の動 作を 受け た結果 、木が折 れたこ とを 表わ す。Diệp Quang Ban に よると (22)、(23) は因 果関 係構 文で はなく 、他 動詞 構文で ある と主 張す る。

上の(22)、(23)は 以下 の (24)、(25)に置 き換 える こと が出 来る 。

(24) Giáp uốn cây sắt cong.

Giáp 曲げる 鉄棒 曲がっ てい る

(Giap は 鉄棒 を曲 げた。)

(25) Giáp bẻ thanh gỗ gãy.

Giáp 折る 木 折れて いる

(Giap は木 を折っ た。)