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は対応 する 使役 表現 が存 在し ない 。こ のよう な場 合は 、ベ トナ ム語 では 自動 詞その ま ま であ る。

上に述 べた よう に、 日本 語で は一 般的 に所動 詞は 「さ せる 」と 共に 用い られ ないが 、ベ ト ナム 語 では để(cho) 使役 動 詞と 共 に 用い ら れる もの と 、用 い られ ない も の もあ る とい うこ とがい える(勿論 bắt/cho/khiến(cho)/làm(cho)使 役動 詞と は結 合でき ない)。先 に見 たよう に、để(cho)と 用い られる とい っても 、意 味的 には NP2 の動 作の 目 的の結 果、 ある いは NP2 の状 態変 化の 実現 をめ ざすた めに、NP1 は何 らか の行 為を 行わな け ればな らな い。

NP2の 動作・作用・変化 など はま だ実 現 してい ない 場合 に用 いら れる。実現 さ れた場 合に は、

用いら れな い。

(1) あいつ にも 使わ せて やっ た。

使役者 が聞 き手 で、 動作 の主 体が 使役 者に許 可を 求め る際 にも 、受 容的 使役 文が用 いら れる ことが 多い 。

(2) 明日は 休ま せて くだ さい 。

被使役 者が 実現 を望 んで いる 行為 に対 して、 使役 者が その 実現 を妨 げな いと か、被 使役 者 の意志 に任 せる とか いっ た態 度を とり 事態を 実現 させ る場 合に も、 受容 的使 役文を 用い るこ とがあ る。 この 場合 は放 任的 な意 味を 持つ。

(3) 子供を 自由 に公 園で 遊ば せた 。

一方、 すで に起 きて いる 事態 をそ のま まにし てお く場 合に は、 放置 的な 意味 になる 。

(4) 疲れて いる よう なの で、 妻を 眠ら せて おいた 。

本稿で は 、これ らの 研究 を踏 まえ 、以 下で許 容使 役を「許 可を 与え る」使役 と、「 許可 を 求 める」 使役 と放 任使 役、 放置 使役 に分 けて 考 察す るこ とに する 。

3.6.1 許可を与える 使役文

まず、 許可 を与 える 使役 文を 考察 して みよう 。

「許可 を与 える 」使 役文 は、 被使 役が ある出 来事 を引 き起 こそ うと いう 願望 があり 、そ の 実現に 向け て、 使役 者が 許可 を与 える 意味を 表す 。次 の例 文は 許可 を与 える 使役文 であ る。

(5) 花子が 一日 休み たい と言 った ので 、太 郎は彼 女を 休ま せた 。 (6) 娘がど うし ても 留学 した いと 言っ たか ら、仕 方な く留 学さ せた 。

る「さ せる 」は 使役 を表 す形 態素 であ るが 、「誘 発」「 原因 」「許 可」「強 制」 等の意 味を 表す 要素は 「さ せる 」自 身で はな く、 その 使役の 中の 補文 の意 味か らで ある 。例 (5)、(6) で許 可を出 す意 味を 表す のは 、補 文の 「花 子が一 日休 みた いと 言っ た」 と「 娘が どうし ても 留学 したい と言 った 」で ある 。

一般的 に、 許可 を与 える 使役 文は 二つ に分け られ る。 一つ 目は 上に 述べ た例 (5)、(6) の ように 被使 役者 の願 望の 実現 に向 けて 使役者 が許 可を 与え るも ので ある 。も う一つ は以 下の

例(7)、(8)の よう に、 被使 役者 が何 も願望 せず に、 使役 者が 自分 の善 意で 、被使 役者 にプ

ラス的 影響 を及 ぼす ため に、 許可 を与 えるも ので ある 。

(7) 疲れ果 てて いる 花子 を見 て、 太郎 は彼 女を休 ませ た。

(8) よく頑 張っ て受 験勉 強を した 息子 に、 気分転 換で 一日 遊び に行 かせ た。

ベトナ ム語 では 、許 可を 与え る使 役文 には cho/cho phép 使役 動詞 を用 いる 。日本 語と 違 って 、ベ トナ ム語 にお ける cho/cho phép 使役 動詞 自体は「 ~許 可を 与え る」意味を 用い る。

ベトナ ム語 の cho/cho phép 使役 構文 では使 役者 は被 使役 者の 意志 に従 って 許可を 出す とい う意味 を表 す。 つま り、 被使 役者 には 何らか の出 来事 を引 き起 こす 願望 があ り、そ れに 対し て、使 役者 はそ の願 望の 実現に 向け て 許可を 与え たこ とを 表す 。cho/cho phép 使役構 文で は 発話は 使役 者で ある か、 ある いは 被使 役者で ある かに よっ て許 可を 出す 文な のか許 可を 求め る文な のか が決 まる 。発 話は は使 役者 である 場合 、許 可を 与え る意 味を 表す 。発話 者は 被使 役者あ るい はそ の他 の人 間で ある 場合 は、必 ず陳 述的 用法 のみ であ る。

(9) Con gái tôi thích Piano nên tôi đã cho con gái học 娘 私 好き ピアノ だから 私 [既然] させる 娘 習う ( 娘は ピア ノが 好き なの で、 私は 彼女に ピア ノを 習わ せた。)

例(9)で は被 使役 者に「ピ アノ を習 う 」と いう 願望が あり 、その実 現に 向け て支配 的立 場 にある 使役 者が 許可 を与 える こと を表 す。一 般的 に、 被使 役者 の願 望の 実現 に向け て使 役者 が許可 を与 える とい うこ とは 、利 害授 受的観 点か ら言 えば 「好 意」 を表 す。 言いか えれ ば、

この構 文では NP2 にと って は利 益を 得 ると捉 えら れや すい 。

また、cho 使 役構 文で は、 被使 役者が 望まな くて も、 使役 者が 善意 で被 使役 者にと って 良 いと考 えら れる こと に関 して 被使 役者 に何ら かの こと をす るチ ャン スを 与え る場合 もあ る。

または 、「「NP1 cho NP2 V」構文 には 、被使役 者に『・・・しても よい 』と い う恩恵 /好 意的 な許可 を与 える 」と いう 用法 があ る。(10)では 、花 子は 何も 望んで いな かっ たが 、花 子の様 子を見 て太 郎は 彼女 をア メリ カに 行か せた、 とい う解 釈に なる 。

(10) Taro cho Hanako đi tu nghiệp ở Mỹ

太郎 させる 花子 行く 研修 に アメリ カ

(太郎 は花 子を アメ リカ に研 修に 行か せた。)

日本語 では 、こ のよ うな 表現 は恩 恵の 授受を 表す 「~ てあ げる 」と いう 補助 動詞 を 使う の が一般 的で ある が、ベト ナム 語の cho の意味 は元 々「 ~あ げる 」であ り、日本 語のよ うに「~

休ませ てあ げる 」と 表現 した い場 合も cho nghỉ「~ 休ま せる 」で 文を 終わら せる。 この 点が 日本語 とベ トナ ム語 では 異な る。

また 、ベ トナ ム語の cho使役 構文 が発 話行為 を行 う文 とし て 使 われ る時 、NP1は NP2に 直 接許可 を与 える 意味 を表 す(こ の用 法に ついて は、第 4 章で 詳しく 議論 する )。こ の用法 では 、 使役者 は被 使役 者の 願望 の実 現に 向け て許可 を与 えた こと を表 す場 合も ある し、被 使役 者が 何も望 んで いな くて も使 役者 が被 使役 者に良 い こ とだ と考 えて 、何 らか の許 可を与 える 場合 も用い られ る。

(11) Mẹ cho con đi chơi đấy.

母 させる あなた 行く 遊ぶ よ

(お母 さん は貴 女を 遊び に行 かせ てあ げるよ 。)

(12) Tôi cho anh nghỉ việc một tuần để suy nghĩ.

私 させる あなた 休み 仕事 一週間 ため 考える

(考え る時 間を 作る ため 、一 週間 仕事 を休ま せて あげ るよ 。)

3.6.2 許可を求める 使役文

動作の 主体 が使 役者 であ る聞 き手 に許 可を求 める 際 、日 本語で は「~ させ て くださ い」「~

させて もら う」「~ させて いた だく 」と 言う表 現が 用い られ るこ とが 多い 。

(13) やら せて くだ さい 。 (14) 説明 させ てく ださ い。

ベトナ ム語 では 、許 可を 求め る際 に「(NP1)cho /cho phép NP2 V」 構文 を用 いる。 こ の 構文で は NP2は発 話者 であ る。

(15) Hôm nay, anh cho em về sớm nhé.

今日 あなた させる 私 帰る 早く ね

(今日 、早 く帰 らせ て下 さい。)

(16) Bố cho con tổ chức tiệc sinh nhật nhé!

父 させる 私 行う 誕生日 パー ティ ー ね

(誕生 日パ ーテ ィー を行 わせ てく ださ い。)

日本語 でも ベト ナム 語で も、許 可を 求め る表現 では NP2より NP1のほ うが 社会 的な地 位 が 高く、 両者 の関 係は 統制 と被 統制 の関 係であ る。 一方 両言 語に おい て、 許可 を求め る表 現は 実際許 可を 求め る以 外に、( 一方 的に で はある が )相 手に 対し て自 分が これか らする つも りの 行為に つい て丁 寧に 表現 する 場合 に用 いるこ とに よっ て 、日本 語は「 ~さ せ てもら う」「~ さ せてい ただ く」、ベ トナム 語で は「cho phép」 のよ うに 謙譲 語と して 使わ れる 。

(17) a. Cho phép tôi được trình bày.

許可を 与え る 私 できる 述べる b. 述 べさせ てい ただ きま す。

(18) a. Cho phép tôi được giới thiệu.

許可を 与え る 私 出来る 紹介す る b. 紹 介させ てい ただ きま す。

例(17)、(18)では 、được「 出来 る」を入れ なく ても 意味 は通 るが、đượcを 入れる と自 分 への恩 恵の 気持 ちが 追加 され る。

許可使 役で は、NP1はあ るこ とを しよ うとす る NP2に対 し、許可 を下 す意 味 を表す 。つま り、NP2の 動作は NP1の元 で行 われ る もので ある 。