:の両名に関する事例研究をあつかった。
167
A .N児(男)に関する事例研究
1. まず,高学年の時期に行なった各種の言語能力テスト.および要因調査 の,学級内で評点化したものから,きわめて大づかみにN児の読み書き能力の
問題をさぐってみることにする。(1)高学年の言語発達と要因の評価
穫字読字⁝22333.︑ 黙読理解⁝231332
一.:τ−⁝−漢掌書字⁝222222
茄只中の数字は5段階評点を示す。5点が最もよく,
れる人数は正常分配率をとった。以下の各表の評点はすべてこれに準ずる。
構表中,Bとあるのは,5段階評価が濁難なためにA,
の。
上表のほかに,6年1.学期末には,読宇付帯語いテストを行なっているが,
それの評点は〈3>になっている。
上表からわかることは,
・N児の言語能力は学級内で,上,中,下の3段階にわけるならば,〈下の上〉
にぞくする。
・いちばん劣る言語能力は黙読速度である。
.・
ソ字の読み書き能力では,やや読字力の方が書字力よりもすぐれている。
・作文能力ではAテストよりBテストの方が成績がよい。(Aテストは生活作 文,Bテストは生活作文以外のもの)
などの点である。
つぎに,言語能力を規定する要因と考えられるものについて,高学年の時期 168
難阿て漸誌膝囲
い 法:く す}〈{}i巳i 度i
ぎ一
噤Di 5 3 2 4』r…2……至』.
1:;1;i二{li:i
11311i2iBi212} 1_1.;一∴三ご二量3、
1点カミ最iも低iい。餐評点}こ含ま
B,Cの3段階評価をしたも
に各種のテスb・調査をしたが,それらでえたN児の評点をみると,つぎのと
おりである。[知能身旧.振錘一二郵1姪塵遜醗瞬鰯li 』趣蜜1
・一⊥.一?…一∴葱.{_.4…一.1一..一21i、j
この表によると,
・いちばんすぐれている要因としては身体・運動能力であり,祉会性の発達が
これについでよい。・いちばん劣る要因は適応性と:友人関係である。、
・知能と環境,および読書生活は〈2>の評点であるから,これらはだいたい
言忌能力テストの評点にひとしい。などの点である。
いっぱんに相関係数の上からみると,適応性と友人関係とはよく対応し,知 能と読書生活ともまたよく対応するものである。また,身体・運動能力と言語
能力とは逆にほとんど対応しないものである。さて,ここで醤語能力の診断をきわめてあらく考えるならば,
・N児の高学年の読み書き能力は学級で〈下〉の段階にある。そのうち,読書
速度がとくに劣ることが特微である。・なぜ,学級で〈下〉の段階にあるか,ということについては,知能,読書生
活についてみれば,当然のように思われる。・しかし,なぜ,読書灌度がとくに劣るのかについては,適応性,:友人関係が
悪いからだ,ということになるが,それだけの説明では十分ではない。
ということになろう。
ふつう,このような事例で読書速度が劣る場合には.
・中学年までの国語学習において,基礎i的な読み霧き能力に欠けていること。
・情緒の安定性に欠けていること。
などがある。これらの点については,さらに以下の具体酌資料から吟味してい
くことにするo(2)中学年までの言語発達
N児の低学年のころの言語発達はつぎのように診断された。*
・言語能力の学級内での位置
言語能力を全体としてみると,最下位を低迷していた。
言譜能力の中で,とくに劣る能力は,
作 文,発 音
比較的よいというもの,話 す,語 い
もっとも,よいといっても,学級の中でふつうの能力がついているという程
度である。概して,基礎的な:文字の読み書き能力が劣り,それが文,文章:の読i解とか,
作文が書けないという原因になっている。
・言語発達の条件
知能は学級の中でふつうであり,身体,性格ともに良妊である。
家庭i読書,学校生活はともに悪い。
新聞,ラジオに興味をもたない。本は慮分で読むだけで家族の協力を求めな い。学校生活では学級のものから乱暴をするといってきらわれており,本人も
学校がおもしろくないようである。家族の訓導とか,文化環境も十分でない。
・君恩発達の診断
N児は末子であるため,甘やかされて育てられ,乱暴する子どもになった6 そのため,グループ意識がわかず協調的でない。言語能力では,内閉的な子に
くらべて語い,話す面に得をしている。しかし,家庭で指導を十分にせず,め ぐまれた文化環境にいないために,文字の読み書き能力が学級の人なみにっか なかった。その結果が,文章を読むとか,文章を読解するとか,文章をつくる
力がつかなかった。卑以上は,昭瀦28年,N児が1年終了時に筆者カミ診断した記録メモによる。
ここで,もう少しN児の高学年にいたるまでの各学年での署語能力を参考ま
でに調べてみることにする。170
逸≡幻一昌.一L巽隆1凱1匪ぜ壕li
et・第1学年での言語能力の評点は省略。
上表のほかに,4−1,4−2,4−3には音読速度テストを行なっている カ㍉N児の評点は4−1<2>.4−2〈1>.4−3〈エ〉となっている。
このようにみてくると,
・言語能力が学級の中で〈下〉の段階にある状態は低学年,中学年でもそうで
ある。・読解力にくらべて,読書速度が劣る。とくに,中学年までの成績からみる:と 黙読遮度より音読能力に劣る。
・:晶晶の読み書き能力では,漢字の書字力の方が劣る。
・黙読理解,文法,漢字読字力などは比較的よく,学級で中位にある。
などの点をあげることができる。したがって,高学年にみるN児の書語能力の 特徴は低学年,中学年からすでにあらわれていたものとしてみなければならな
い。
その点,先にのべた読書速度が劣るのは,高学年までの基礎的な文字力が劣 ることがつもりつもって高学年になって,読書速度が劣るようになったという ことはだいぶ修正が必要になってくる。もちろん,基礎的な交字配が十分でな いことも確かであるが,それ以上に基礎的な読みかたなり,もっと深く情緒性
の問題なりに結びつくのではないかと思われる。いまひとつ,N児㊧中学年までの言語能力と高学年の雷語能力とくら尽たと
きに,特徴としてあげられるのはつぎの点である。
・高学年になって,中学年までより学級での成績が全体的によくなった。