日本船の場合、岸壁にテントを設けてB
級グルメを振る舞っている。ダイヤモンド・プリン セスだと、多い時には2000
人程の乗客が乗っているため、食数が用意できない。そのため、日本船のみ振る舞いを実施している。
お土産や物産販売を地元の会社に頼んで、プレハブやテントで売っている。これは外国船で も実施しており、すごい売り上げになっている。物産に関しては、市が知っている業者に依 頼しており、これは道の駅に入っている業者なので、道の駅で売っているものと被らないも のを売るように要望している(写真-6-4-9)。
入港セレモニーに関しては、参加者が30
人程度。多くは市の関係者で、岸壁で市長と船側の 重役がセレモニーを行う場合と、船内で表敬訪問するという形の2
パターン。特にルールを 決めているわけではないが、他の港では初入港の船しかセレモニーをしないといったことも あるため、今年から表敬訪問という形に変えた。
寄港中の見学者は、天気が良くてセレモニーをやっていれば結構いる。他の港であれば、ブ ラスバンドをやる等しているが、網走港の場合は、ツアーで知床に行く人が多く、着岸した らすぐにツアーに出たいというのもある。そのため、出港の際にはアトラクションを行うが、入港ではやらない。出港時には、寄港時間を広報誌や
HP
で周知しているので、船によっては100
人くらい来ることもある(写真-6-4-10)。 2018
年に東京農業大学オホーツクキャンパスの英語に興味がある学生や留学生にお願いをし て、総合案内所や観光案内所で英語ボランティアを実施した。初めて実施したのでオペレー ションがうまくいかず、今後改善しながら継続したい。
外国船のCIQ
はすべて船内で対応している。10)クルーズ船客が訪れる観光地や行動パターン
クルーズ船客も含めた網走全体の観光は10
月から12
月が閑散期。冬場の1
月から3
月はオ ーロラ観光でインバウンドもかなり見込める。よって、冬場の2
月と夏場の7
月、8月には 観光客が多い時期となる。
知床が世界自然遺産に登録されたことで、クルーズ船に乗って網走に来て、ツアーで知床に 行く人が多い。乗客は船ならば知床に行くのに便利だという感覚はあり、そこが注目された 点である。
カジュアル船とラグジュアリー船でエクスカーションが異なり、ダイヤモンド・プリンセス では、バスに乗って、300
人くらいの大人数で、どこかに行く。カレドニアン・スカイであれ ば20
人くらいの少人数でできるツアーが組まれる。欧米系の人には、地元の人との交流につ いて評判が良く、具体的にはアイヌ文化の方との交流があった。11)岸壁からの移動手段
岸壁が広いので観光バスは100
台くらい停められる。
シャトルバスについては、船社のオーダーを聞いた上で観光拠点である道の駅と岸壁を結ぶわが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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シャトルバスを市が手配している。船社側でシャトルバスを出している場合は、市はノータ ッチ。船社がシャトルバスを出さない場合には、ツアーに参加しないフリー客の利便性向上 のために出しているが、フリー客が数十人程度であれば、ほとんど乗らないので出さない。
12)寄港によって得られた効果
観光バス1
台のチャーターで10
万円くらいかかるので、10
台借りたとすれば、1
回の寄港で バス会社は100
万円売り上げる。他にも、お土産、拝観料、タクシーなどが消費として挙げ られ、1回の受け入れ準備に200
万円程度のお金を使ったとしても、市内での消費額が1000
万円あれば経済効果はプラスだと判断できる。特に、市内のタクシーは30
台くらいしかない が、クルーズが寄港すれば、それが全部岸壁に来るので、良い効果が生まれていると思う。
サン・プリンセスでは1
泊してくれていたということもあり、クルーが夜に飲みに行くとい ったことや、買い物をするということもあったので、飲食店などでの経済効果は大きかった。通常の場合は、半日しか滞在しないので、これ程の消費にはつながらない。
13)寄港によって生じた課題
タクシーは営業エリアの制約がるので、他地域から配車することが出来ない。そのため、ク ルーズ寄港時には足りなくなる。また、寄港回数が年に2
回や5
回といったように、まばら で少ないと、観光施設や土産屋の経済効果としても、瞬間的なものにしかならない。10回く らいある程度定期的な寄港がないと、観光業界に与えるインパクトとしては小さくなってし まう。
外国船であると、3分の1
くらいが外国人なので、外国語への対応や、Wi-Fi設備、キャッシ ュレス対応といったインバウンド対策が町の商店では不十分。これはクルーズに限った話で はないが、解決していかなければならない課題である。
入港シミュレーションなどで、投資している金額に、入港料等の収入に見合っているかと言 われれば見合わない。元々、網走港の港湾計画では日本船で一番大きい飛鳥Ⅱにあわせて5
万トンまでを想定した入港シミュレーションをしていたが、サン・プリンセス(77,441トン)の場合は、それを超えてしまうため、海上保安署から新たな入港シミュレーションと安全基 準を作るように求められた。この入港シミュレーションにかかる費用が、
3000
万円くらいで、一部補助も入るが、多くは市の負担となった。想定する船のサイズは、サン・プリンセスが 寄港した翌年(2015年)にダイヤモンド・プリンセス(115,875トン)にあわせて、11万ト ンクラスでシミュレーションをした。基本的には、シミュレーションしたトン数の船以下の サイズであれば入港可能となる。
14)今後の目標
日本船社は3
隻あるので、それぞれ年1回程度来てもらいたい。その他、ダイヤモンド・プ リンセスを含めて、外国船が5, 6
回程度来てほしいというのが目標。過去に一番寄港回数が 多かった年が12
回で、予算的にもこのくらいの回数が限界かと思っている。受け入れれば受わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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け入れるだけ予算がかかってくるのでコストを含めると年
10
回くらいが目標。北海道に寄港 できる6
月~9月の4
か月の間で2
週間に1
回くらい寄港してもらえたらよい。15)その他
カボタージュ規制の関係で、「ダイヤモンド・プリンセス」等の外国船は一度、ロシアのコル サコフに行くことになる。その場合は、網走港が出入国港になることが多いため、CIQ
を実施 しないとならない。網走の場合は旅客ターミナルを有していないため、CIQ
は船内で行うこと となるが、その場合は、船が着岸してから、入管の職員が船に乗り込んで、ラウンジなどに 機械を広げてといったことをするため、時間がかかる。なので、今年、国交省の補助金を使 って、テントを買い、テントをCIQ
ブースにすることで、時間短縮を図る。基本的には、網 走港は貨物併用岸壁なので、旅客ターミナルやバースの整備といったものはできないので、このような対応となる。
カボタージュ規制によって、海外にワンタッチする際に、出国と入国をすることになるため、CIQ
を2度受けないとならない。さらに、日本発着クルーズであれば、フライ&クルーズで空 港でもすでにCIQ
を受けているため、何度も同じような審査をする必要なないのではないか と考えている。大型船であると全員のCIQ
を終えるのに3
から4
時間かかってしまい、観光 する時間が減ってしまうので、簡素化したいと考えている。また、カボタージュ規制につい ても、海外では、3万トン以下の船は規制の適用外といった制度もあるので、同じような制 度を日本でも導入したらいいのではないかと考えている。わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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(3)小樽市
①調査概要
②クルーズ船の停泊場所
港湾名 小樽港(重要港湾)
調査対象者 小樽市役所産業港湾部港湾室港湾振興課 主査 近藤玲司氏 調査日時
2019
年3
月5
日09:00-11:00
調査場所 小樽市港湾室(株式会社小樽観光振興公社建物内)
②小樽港第三号ふ頭
①小樽港勝納ふ頭
16-17番バース
13-14番バース
わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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③岸壁概要
クルーズ専用岸壁 なし 旅客ターミナル なし クルーズ船
着岸地点
①勝納ふ頭
②第
3
号ふ頭写真-6-4-11 SOLASフェンス
写真-6-4-10 着岸地点2 写真-6-4-9 着岸地点
写真-6-4-12 勝納ふ頭寄港時の様子
(小樽市提供)
写真-6-4-13 着岸地点
(13-14番バース)
写真-6-4-14 着岸地点
(16-17番バース)
写真-6-4-15 ふ頭内車両通行地点 写真-6-4-16 16-17番バース寄港時