2011
年に釧路港で耐震旅客船ターミナルが供用開始されるのに先駆けて、2008
年にターミナ ルの利用を考えようという会ができた。そこで、旅客船の歓送迎やおもてなしを行うことに なり、その実証実験として事業費が出て実施した。当初は、2008
年に飛鳥Ⅱが何回か寄港し、そのおもてなしをするために、「(仮称)飛鳥Ⅱおもてなし実行委員会」を設立し、予算を持 っている開発局の港湾整備担当と市の港湾課が事務局になり、実行委員会を立ち上げた。
立ち上げの際、振興協議会としては市民に情報発信・周知するために「おもてなし倶楽部友 の会」の会員を募集し、メール・FAXで広報した。この実証実験が終わった後に、アンケート を実施したら、来年度以降も続けたいという声が多かったため、継続して今に至る。
クルーズ船入港時は早朝で人が少ないので、釧路で観光大使をしているヒートボイス(地元 の音楽グループ)が、おもてなし倶楽部の10
年目を記念して、歌を作ってくれて、ミニライ ブみたいな感じでお出迎えすることにした。他にも、横断幕、垂れ幕に船名入れて、ようこ そ釧路へと書いてあるやつをいつもは壁にかけていたが、市民がそれを持って、船が来た時 に近くに行ってやれば喜ぶと。それから、CDと横断幕のお出迎えで、乗組員とかが喜んでく れた。
参加者は、クルーズ船の出入港時刻にもよるが、関係者も含めて50~100
人くらい来る。お 出迎えは少ない方。お見送りは結構去年も、毎回出し物出すようにして発信もしているので、150~300
人くらいの人が来ている。5、6年前は2000
人集めようという企画もあったが、その当時と比べると少なくなった。300人ほど集まると岸壁が埋まっているように感じる。
5)
協議会主催の会合やセミナーの開催状況
全体会合は年に1
回。
おもてなし倶楽部の会合は、年間5~6
回行い、イベントの内容を協議している。今年は釧路 港にクルーズ船が20
回寄港するので、毎回違う企画をしようということになった。回数が多 いので、メンバーをそれぞれ4
つの班に分けて、4 班で、それぞれ5
回ずつ持ち回りでイベ ントを考えようと企画し、企画が決まったら再度集まって話をするような計画をしている。例えば、地元のバンドや、サイリウムでのお出迎え、地元の歌手を呼ぶ等、様々な企画をし ている。やりたいと言う団体があればそこに声をかけてやっていた。
6)
振興協議会設置の効果、クルーズ船寄港による効果
見送りイベントの参加者は、おもてなし倶楽部の会員になっている企業メンバーだけでなく、町内会の人とかが良く発信しており、回覧板とかでも回してくれている。そのため、来てく れる人も知らない人ばかり。家族連れで予定表を見たから来たという人もおり、市民の意識 も高いと感じる。
日中も施設のお年寄りとかが車いすで介護士と来たり、幼稚園・保育園から港まで見学して いる。情報を貰ったから来たという人も多く、岸壁に人が訪れる要因になっている。 2017
年4
月以降はタクシーのブースを設け、市内のタクシー利用台数を調べていたが、タクわが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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シー50 台ほど用意しても
14
台しか使われていなかった。しかし、ダイヤモンドプリンセス の場合、人数も多いからか147
台が利用された。市内の観光だけで2~3
時間の貸し切りで使 われている。市内のタクシーがいなくなるくらい使っている。
タクシー・ハイヤー協会が、国土交通省の外部団体であり、そこがクルーズ船寄港時のタク シーやバスの利用状況をデータ収集している。データは非公表だが、内部でデータを収集し ておけば、次に来た時に使える。
和商市場はちょっと距離があるので、和商市場が無料シャトルバスを30
分おきで出してい る。西港だと市内まで10
㎞くらいあるので、ダイヤモンドプリンセスの旅行代理店が市内ま でのシャトルバスを手配している。昔は無料だったが、あまりにもドル箱で去年から乗り放 題券として1000
円(10ドル)取っている。それでも、5~10分おきで市内を周遊するバスを 出している。タクシーだけだと、西港から町まで2000~3000
円くらい。7)
今後の課題
耐震強化岸壁を有効的に使おうというのが、おもてなし倶楽部の発端。そこから毎年いろい ろなことを企画していったのは良いが、ここ数年は何が軸だったのかわからなくなってきた 面もある。セレモニーをやるのもお金がかかり、市からの補助で成り立っている。昔なら寄 港回数も5~6
回だったが、今年は20
回のためお金がなく、対応方法も再検討しなければな らない。おもてなし倶楽部はお金を集める会ではないし、国からはお金を出せない。事務局 は、民間をスポンサーとか、民間を頭にして、市は入港させるのが仕事なので、賛助会員に みたいな形にしてできればいいかなというのを釧路市と運輸局で考えている。現在は釧路市、振興協議会、おもてなし倶楽部が良い関係を築いているが、亀裂が入ったら大変。今後は上 手に事業を継続するためにはどうすればいいか考える必要がある。
寄港回数が増えるのは良いが、ボランティアの人も仕事をしている。市役所も開発局も商工 会議所も、それぞれ別途仕事があるため、寄港回数が増えると違う仕事がおろそかになる。そのため、過重労働になっているのは確か。ただ、寄港回数を増やしたほうが町は潤う。
わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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6-5.関連団体に対するヒアリング調査結果のまとめ
アンケート調査を踏まえて行った関連団体に対するヒアリング調査によって明らかになったク ルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異を以下にまとめる。
① 受け入れる側としては、クルーズ船の寄港を増やしていきたい、継続していきたいという認 識が多いが、物流埠頭を併用している例が多く、物流業者の協力によって受け入れが実現し ている。そのため、急激に増やしていくことは難しい。
② 各地域のクルーズ振興協議会では、主に寄港時のおもてなしに関することを行っており、サ ポーターズクラブなどの管理を行っていた。また、基本的には誘致活動は自治体が行ってお り、振興協議会はセミナーの開催や、海外でのポートセールスに向けた補助事業を行ってい るとのことであった。
③ 実績の多い港では、船社のキーパーソンを招聘していたりする。ただし、寄港回数が増える とツアーもマンネリ化するため、クルーズ船客ならではの特別なおもてなしや、新しいコン テンツの提案が求められており、自治体としても苦慮している。
④ おもてなしについては、地域の団体や学校などが協力している場所も多く、特に地元住民と の交流ができるようなコンテンツについては、船客や船社からの評判も良く、函館市の遺愛 女子高校による通訳ボランティアの活動は様々な団体から表彰を受け、地域の重要なアピ ールポイントになっている。
⑤ 函館港のように寄港回数が多い場所では、市の担当職員の負担が大きくなっていることや、
予算に限りがあることから、一部の船に対する歓送迎イベントを簡略化することや、開催し ないといった対応を行っている。
⑥ 小樽港のように発着地となる場所では、食材の積込ができることが大きな効果として挙げ られており、船舶専用の食糧卸業者にとっても、クルーズ船は大事な顧客となっている。
⑦ クルーズ船客の消費については、九州・沖縄と客層も異なるため大規模な経済効果は実感で きていなかった。
⑧ 江差や岩内など、クルーズ船の寄港がほとんどない地域においては、受け入れの準備でどの ようなことが必要かのノウハウが無いことや、予算の関係で早い段階での準備ができず、寄 港日間際に慌ただしく準備をしなければならないといった課題が挙げられた。