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91 6-4.関連団体に対するヒアリング調査

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前節では、アンケート調査で地域が抱くクルーズ船への評価を明らかにしてきた。本節では、

より詳細な情報を把握するため、直接対面式のヒアリング調査を実施し、クルーズ船に対する意 識や現在の活動状況を明らかにしていく。

(1)調査対象地の選定と調査方法

ヒアリング調査の対象地は、北海道の中から選定する。その中で、①クルーズ船寄港実績が多 い市町村、②クルーズ船実績は無いあるいは殆ど無いが寄港魅力度が高い市町村、③寄港魅力度 が高い地域の漁協、④北海道のクルーズ振興を司る振興協議会、を対象に調査協力依頼を行い、

10

市町、1漁協、2協議会、計

13

団体から調査協力を得ることができた(図-6-4-1)。 具体的な調査地は以下の通りである。

①クルーズ船寄港実績が多い市町村(6市)

網走市、小樽市、函館市、室蘭市、苫小牧市、釧路市

②クルーズ船実績は無いあるいは少ないが寄港魅力度が高い市町村(1市

3

町)

岩内町、江差町、根室市、羅臼町

③寄港魅力度が高い地域の漁協(1漁協)

ひやま漁業協同組合

④北海道のクルーズ振興を司る振興協議会(2協議会)

函館地区クルーズ振興協議会、釧路地区クルーズ振興協議会

図-6-4-1 ヒアリング調査対象地

網走市 羅臼町

根室市

釧路市

釧路地区クルーズ振興協議会 小樽市

岩内町

苫小牧市 室蘭市

函館市

函館地区クルーズ振興協議会 江差町

ひやま漁協

わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異

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(2)網走市

①調査概要

②クルーズ船の停泊場所

港湾名 網走港(重要港湾)

調査対象者 網走市建設港湾部港湾課港湾管理係 和田亮氏、畠中皓平氏

調査日時

2018

7

5

10:00-12:00

調査場所 網走市役所庁舎

網走港 第4ふ頭

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③岸壁概要

クルーズ専用岸壁 なし 旅客ターミナル なし クルーズ船

着岸地点

網走港第4ふ頭

岸壁長さ/水深 第

4

ふ頭

1

号岸壁

185m/-10.0、2

号岸壁

240m/-12.0m

クルーズ船寄港時は

2

バースを連続使用し

11

万トンクラスまで入港可能 港までの

アクセス 網走駅まで車で約

9

分 クルーズ船

初寄港年

日本船:1994年「おせあにっくぐれいす」

外国船:2014年「サン・プリンセス」

写真-6-4-3 クルーズ船着岸時の様子

写真-6-4-2 通常時の岸壁風景 写真-6-4-1 岸壁のゲート

(SOLASフェンス)

写真-6-4-4 クルーズ船寄港時の 歓迎セレモニー

写真-6-4-5 クルーズ船寄港時の様子 写真-6-4-6 クルーズ船出港時

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④ヒアリング調査結果

1)

クルーズ船の寄港状況

平成

6

年(1994年)におせあにっくぐれいすが寄港してから、ふじ丸、にっぽん丸、飛鳥な ど日本船を中心に毎年数隻の寄港がある(図-6-4-1)。

外国船が初めて寄港したのは平成

26

年(2014年)のサン・プリンセス。

 2014

年はサン・プリンセスの定点周遊クルーズがあったため寄港回数が増加。網走港に

1

泊 していたため、周辺の飲食店などで消費が多かった。

2)

クルーズ船の寄港時期

寄港できる時期としては、5月から

10

月。

10

月中旬を過ぎると風向きが北風に変わり、うね りも強くなるため、日本海・オホーツク海を快適に航行することが難しくなる。

観光素材も秋を過ぎると少なくなってしまう。北海道の場合は紅葉も早いため、自然系の観 光素材はあるが、時期ならではのものがない。

クルーズ船の仕様としても、日本船3隻も含めて多くは寒冷地仕様になっていないため、冬 場に北海道に来ることが出来ない。

3)

クルーズ船から見た網走港の立地特性

網走は他の港から遠い場所なので、来るとしたら函館から

1~2

日かけるなど、行にも戻るに も日数かかってしまうという不利な点がある。

函館のように、本州から少し行って立寄るという航路ではなく、北海道を周るようなクルー ズ航路を造成しないと行けないため、寄港回数の大幅な増加が難しい。

4)

岸壁利用の調整

バルクをメインに取り扱っている。1日で荷役が終わることはなく

2~3

日かかるため、クル ーズ船の寄港と貨物船が寄港する日程を調整しないといけない。ただし、クルーズ船の入港 0

2 4 6 8 10 12 14

うち外国船 うち日本船 図-6-4-1 網走港における過去のクルーズ船寄港回数

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予約は

2、3

年前から行われており、船舶代理店も貨物・旅客船同じ会社を使っている。その ため情報共有が上手く出来ており、市からも協力をお願いをしたうえで、貨物の荷主に船繰 りの調整をしてもらっている。

予約の時期から基本的にはクルーズ船優先となるが、貨物も売り上げとしては大きな金額と なるため、貨物船が入れないという状態にはできない。

沖合停泊も依頼があれば検討可能だが、実施したことはない。

5)

貨物岸壁との共用に伴う景観面・安全面の配慮

バルク中心なので景観面はどうしようもない面がある。

2018

7

月のクルーズ船入港時には、

網走港から石灰石を払い出しする時期も一定程度考慮して、貨物の置き場所を代理店が調整 をしている(岸壁のすぐ横に置くと貨物作業が滞るので、少し離れた場所に移動し、そこで 作業をするといった調整)(写真-6-4-7、写真-6-4-8)。

クルーズ船が着岸する岸壁に寄港している間は荷物を置かないようにしている。網走港の場 合は、クルーズの船舶代理店と荷役オペレーション会社が同じなので、調整はスムーズ。

安全面では、貨客分離をしなければならないので、ダンプやショベルの作業は行わないよう に連絡はしている。ただし、貨物の作業時間は一日作業を止めるわけではない。クルーズ船 が着いて、ツアーバスがある程度出払ったら作業を再開するように調整している。

6)

誘致活動状況、船社の要望、入港時の対応

北海道クルーズ振興協議会と連携し、観光庁の「Visit Japan地方連携事業」補助事業を活用 したプロモーション活動をしている。海外にプロモーションに行く際には、北海道クルーズ 振興協議会の名前で活動して、道内の各港湾と一緒に参加している。

 2018

3

月にフロリダで行われたシートレードでは、各国のブースと船会社、機器メーカー の出店だったが、アジアで行われるシートレードでは、チャータラー(クルーズ船をチャー ターする会社。旅行代理店などが多い。)もブースを出しているようなので、今後はそういっ たところからも情報収集していきたい。

 PR

内容に関しては、日本船社であれば、市長を連れてトップセールスをするということが効 果は大きいと思う。しかし、海外船社であるとトップ同士で話しても寄港してくれるかと言 ったらそうはならない。海外船社の日本法人は、あくまでもブランドを日本に売るというこ とが目的の会社なので、寄港地の決定権は直接持っていない。旅行代理店に対する

PR

活動で

写真-6-4-7 寄港時の貨物作業風景 写真-6-4-8 岸壁の奥に移動させたバルク

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は、新しいエクスカーションの提案がメインで、海外船社や旅行代理店に対するセールスの 場合には担当者レベルでの話し合いになる。

初寄港の船の場合には、船社に対して自治体としてどんなことができるかというヒアリング シートを送って、代理店を通じてできることはしていく。ただし、網走港に寄港した外国船 は「カレドニアン・スカイ」が初めてで、その他はカーニバルクルーズ系の「サン・プリンセ ス」と「ダイヤモンド・プリンセス」の計3隻。寄港実績のない船社のクルーズ船が来てし まったら、どうやって対応していいのかわからないので、代理店を通じて、リクエストを聞 いていきたい。

現在は、網走市の港湾の部署と観光の部署が連携しながらクルーズ船の受け入れ対応をして おり、ファーストコンタクトは港湾の部署で、観光素材に関する資料提供などを観光の部署 で行っている。現在の寄港回数程度では、市役所の中などで協力体制を構築してうまく回し ている。

7)

誘致に向けた関連団体との協議や連携

網走港の周辺に、魚の定置網やホタテの中間育成施設がある。そこを航行することが出来な いので、場所が変わっていないか、毎年漁協に確認をする。これは、クルーズに限らずすべ ての船舶が対象だが、特にトラブルになったことは今まで無い。

北海道クルーズ振興協議会とは密に連携しており、キーパーソンを呼んで講演をしてもらう などしている。

道内の自治体同士の連携としては、シートレードには、釧路・小樽と一緒にセールスに行っ た。船社の方も航路を造成する場合、横浜から直接、網走といった航路は引かないので、前 後の寄港地と連携して、セールスをしている。ただし、プロモーションのノウハウの共有と いたことはしておらず、一定程度の情報共有のみ。特に、釧路の場合は、背後の観光地も被 ってくるので、連携していこうというのが今のスタンスである。また、室蘭の場合は海外に 単独でプロモーションしているので、道内でもそれぞれの自治体で戦略が異なる。

8)

入港料等の減免措置

入港料や岸壁使用料がクルーズ船入港の際に発生するが、現在のところは定価で徴収してい る。今後、減免措置を検討するかもしれない。入港料に関しては、港湾区域内に船が入った ら、1回何円、岸壁使用料に関しては、船のトン数に応じて何円というようになっている。

給水料については、通常は原価の

1.5

割増しで販売しているが、クルーズ船に対しては原価 で給水をしている。

重要港湾では、入港料は全国同じ金額。減免措置を実施している港もあるとは思うが、船社 側は、この部分のコスト削減は重要ではないと考えているようである。それよりも周辺にど れだけ魅力的な観光地があるかが重要なファクターであると思う。入港料等の金額の大小の 要素は船社としても、そこまで優先順位は高くないと感じる。

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