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83 6-2.漁業協同組合に対するアンケート調査

ドキュメント内 目次 (ページ 89-96)

港や海域を利用するクルーズ船の受け入れにおいては、漁業者との調整も重要な事項と考えら れる。実際に、前節で取り上げたクルーズ船の受け入れや誘致を担当する市町村へのアンケート では、一部漁業との関連を懸念する回答も得られた。そこで、本節では漁業協同組合(以下、漁 協)に対するアンケート調査を実施し、漁協の意識を明らかにする。

(1)調査対象地の選定と調査方法

アンケート調査は、北海道における寄港魅力度が平均値以上であった港周辺の水域を管轄とす る漁協を対象とする。アンケートは市町村と同様に、管轄水域への寄港実績の有無によって分け、

2

種類のアンケートを実施した(表-6-2-1、表-6-2-2、表-6-2-3、図-6-2-1)。また、寄港魅力度 評価は行わなかったが、北海道で寄港実績のある離島の漁協についてもアンケートを実施した。

調査方法 郵送によるアンケート調査

調査期間 201819日~201835日、2019120日~34 調査対象 ①寄港実績のある10漁協

②寄港実績のない15漁協

調査内容

①寄港実績のある漁協

寄港に際し事前に協議した内容、寄港により得られた効果、生じた問題・課題など計5

②寄港実績のない漁協

クルーズ船受入れに対する意識、寄港により期待できる効果、懸念事項など計6 有効回答 ①寄港実績のある漁協:80.0%( 8/10市町村)

②寄港実績のない漁協:93.3%(14/15市町村)

表-6-2-1 アンケート調査概要

:寄港魅力度が平均値以上の港のある地域

図-6-2-1 アンケート調査対象地域

寄港実績 あり

(10漁協)

ウトロ漁協 羅臼漁協 斜里第一漁協 船泊漁協 香深漁協 利尻漁協 ひやま漁協 函館市漁協 えさん漁協 福島吉岡漁協

寄港実績 なし

(15漁協)

猿払村漁協 頓別漁協 枝幸漁協 遠別漁協 沙留漁協 雄武漁協 湧別漁協 新星マリン漁協 北るもい漁協 増毛漁協 標津漁協

東しゃこたん漁協 岩内郡漁協 島牧漁協 松前さくら漁協 表-6-2-2 寄港実績の

ある漁協

表-6-2-3 寄港実績の 無い漁協

わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異

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(2)寄港実績のある漁業協同組合に対する調査結果

質問1.漁港にクルーズ船が寄港した際、どのような方法で停泊したか。

漁港(もしくは港湾の漁港区)にクルー ズ船が寄港した際の停泊方法について、ク ルーズ船が直接岸壁に接岸したとしたの は、利尻漁協の沓形漁港のみであった(図

-6-2-2)

その他の、5 漁協ではいずれも沖合にク ルーズ船を停泊させ、通船により乗客を運 び、漁港から上陸させていた。このように、

漁港を利用する場合は沖合錨泊を利用す

ることが多いことがわかる(写真-6-2-1、写真-6-2-2)。

質問2.クルーズ船の寄港に際し、船社や自治体とどのような協議を行ったか。

半数が「クルーズ船の停泊場所について」の協議を行ったとしている(図-6-2-3)。続いて、「ク ルーズ船寄港時期」(25.0%)で、これに関しては全て離島の漁協が回答していた。「漁をしてい る海域付近の航路について」は羅臼漁協のみの回答で少なかった。

図-6-2-2 寄港時の停泊方法 漁港の岸壁に着岸

12.5%

沖合に錨泊し 通船で漁港から上陸

62.5%

無回答 37.5%

写真-6-2-1 ウトロ漁港 写真-6-2-2 羅臼漁港

0 10 20 30 40 50 60

クルーズ船の停泊場所について クルーズ船の寄港時期について 漁をする海域付近の航路について 荒天時など寄港を取りやめる海象条件について 漁港から移動するバス等の駐車場所について 観光客増加に伴う漁港周辺のごみ問題等への対処 無回答

漁協数(%)

図-6-2-3 寄港に際して協議を行ったこと(複数回答可)

わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異

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質問3.クルーズ船寄港時に漁協として行っていること。

「海産物の提供・販売」が

37.5%と最も多く(図-6-2-4)

、利尻漁協では「クルーズ船寄港に合 わせテントの仮設店舗にて海産物の販売を行っている」とのことであった。その他に、「漁港施設 を待合所や休憩所、物販所として提供」、「イベントの開催や場所の提供」のように、漁港空間を クルーズ船受け入れで提供しているケースも見受けられる。しかし、「特にない」と回答した漁協 も多かった。

質問3.クルーズ船の寄港によって得られた効果、生じた問題・課題

得られた効果では(図-6-2-5)、「人々が港に来ることによる賑わいの創出」「海産物が売れる」

0 10 20 30 40

海産物の提供・販売 漁港施設を待合所や休憩所、物販所として提供 イベントの開催や場所の提供 クルーズ船内の食事向けに水産物を提供 漁業体験、見学会の実施 特にない 無回答

漁協数(%)

図-6-2-4 クルーズ船寄港時に行っていること(複数回答可)

0 10 20 30 40

人々が港に来ることによる賑わいの創出 海産物が売れる 漁船や施設を活用してもらえる 漁業を知ってもらう機会になる 地域の知名度向上 外国人観光客が来ることによる異文化交流の発生 漁港を多目的に利用できる 特になし

市町村数(%)

0 10 20 30 40 50 60

観光客や車両の増加による交通混雑 観光客が来ることによるゴミの増加 外国人観光客のマナー違反によるトラブル 漁業を円滑に行うことができない 事故が発生した際の対応が不安 特になし 無回答

市町村数(%)

図-6-2-5 クルーズ船の寄港によって得られた効果(複数回答可)

図-6-2-6 クルーズ船の寄港で生じた問題・課題(複数回答可)

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といった意見が得られたが、最も多かったのは「特になし」となり、クルーズ船の寄港による恩 恵は漁協へ届いていないことがわかる。

生じた問題・課題があったのは、「観光客や車両による交通混雑」を指摘した利尻漁協のみであ った(図-6-2-6)。問題・課題については「特になし」が

50.0%と最も多く、クルーズ船の寄港に

よる漁業者への問題は生じにくいことが伺える。

質問5.今後もクルーズ船を受け入れていきたいか。

今後のクルーズ船受け入れに対する意識として は、「自治体や船社から要望があれば受け入れたい」

とした漁協が半数であった(図-6-2-7)。また、「積極 的に受け入れたい」と回答した漁協もあった。

「漁業に影響がなければ受け入れたいと考えてい る」(斜里第一)といったように、やはり漁業への影 響を心配する声はあるが、クルーズ船の受け入れに は肯定的な意見が多く、「受け入れたくない」と回答 した漁協は皆無であった。

図-6-2-7 クルーズ船誘致に対する意識 自治体や船社から

要望があれば 受け入れたい

50.0%

無回答 25.0%

積極的に 受け入れたい

25.0%

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(3)寄港実績の無い漁業協同組合に対する調査

質問1.過去にクルーズ船の寄港に関する依頼はあったか 過去の寄港依頼としては、クルーズ船寄港

についての「問い合わせはあったが寄港しな かった」という回答は無く、「把握していな い」を除くと全ての漁協で寄港依頼は無かっ た(図-6-2-8)。市町村のアンケートでは、

松前町より寄港予定だったが実現しなかっ たとの回答があったが、松前さくら漁協から は「把握していない」との回答となり、詳細 を知ることはできなかった。

質問2.クルーズ船を誘致していない理由はどのようなことが考えられるか

多くは「大型クルーズ船を停泊させる能力が港にない」(42.9%)を挙げた(図-6-2-9)。他に は、「クルーズ船の停泊が漁業に支障をきたす」、「漁業エリアを航行してほしくない」(3件)とい った意見もあった。

質問3.今後、クルーズ船を受け入れていきたいか 寄港実績のある漁協へのアンケートでは、

25.0%が「積極的に受け入れたい」と回答し

たが、寄港実績の無い漁協では皆無であった

(図-6-2-10)。「自治体や船社から要望があ れば受け入れたい」と回答した割合も、寄港 実績のある漁協では

50.0%だったが、寄港実

績の無い漁協では

14.3%に留まった。

寄港実績の無い漁港からの回答で多かっ たのは、「現時点では仮に自治体や船会社か

図-6-2-8 過去の寄港依頼状況 把握していない

42.9%

依頼は無い 57.1%

依頼はあったが 寄港しなかった

0.0%

0 10 20 30 40 50 60

大型クルーズ船を停泊させる能力が港にない

クルーズ船の停泊が漁業に支障をきたす

漁業エリアを航行してほしくない

無回答

漁協数(%)

図-6-2-9 クルーズ船を誘致していない要因として考えられること

図-6-2-10 今後の誘致に対する意識 自治体や船社から

要望があれば 受け入れたい

14.3%

無回答 14.3%

積極的に 受け入れたい

0.0%

現時点では仮に 要望があっても 受け入れは考えていない

42.9%

受け入れたくない 28.5%

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