シャトルバスなどは特に実施はしていないが、2.5万トンクラスの船であれば、バスは4~5
台で足りるので、市内の観光バスだけでオプショナルツアーも対応は可能。11)寄港によって得られた効果
クルーズ船のような大きな船が入ると、珍しいため、地元の子供がわざわざ見に来てくれる。12)寄港によって生じた課題
現状では、経済効果としては、入港料による収入はあるが、市内での滞在に至っていないこ とから地域の経済への波及はない。
根室(花咲)港に入港しても、知床にツアーで行ってしまい、根室に滞在してもらえない現 状にある。ポートセールス時の観光素材として、「自然」を売りにしても、北海道内のどこで も同じような景色で、世界自然遺産に登録されている知床には勝負で勝てない。 2018
年にもクルーズ船の寄港は、根室港に乗客を降ろして、船は先回りして釧路港で待機さ せて、乗客は陸域で移動して、先回りしている船に乗るという形で、根室に滞在してもらえ ないという課題がある。13)今後の目標
具体的な寄港回数の目標はないが、年に1、 2
回の寄港があれば御の字ではないかと考えてい る。小さい船ならではの港ということを売りにして、例えばにっぽん丸の乗客ならではのお もてなしや、乗客だけしか味わえない特別なものを求めていると船社側から聞いたので、小 さい船でしか入港できない根室港というのは売りになる。
根室の観光は以前からの課題ではあるが、滞在型ではなく通過型で、朝、根室に来ても、夕 方には釧路や阿寒の方に宿泊してしまう。かつては、団体旅行でカニだけ食べて帰るという ツアーが主流であったが、現在では観光の形態が変わってきており、何の目的もなく来られ てゆっくりして帰るという方もいる。クルーズ船客は富裕層のシニアが多く、そういった方 たちは北海道の有名観光地には行ったことがあり興味がないため、秘境ツアーや、豪華なも のではなくちょっとしたものが逆に人気になると船社側の人も言っており、そういったとこ ろに目線を合わせて、今後の提案をしていきたい。14)その他
2018
年のぱしふぃっくびいなすは、読売旅行社のチャータークルーズで、北方4
島周遊と知 床を巡るクルーズである。北方4
島の周遊と銘打っているので、旅行会社の方から、北方領 土返還の原点である根室市の職員が船に乗って、船内で講演会をやってほしいと打診があっ た。そこで、市役所の港湾課と北方領土対策室が協議して、返還の啓発活動の一環として、船内で講演会をやることになった。自治体の職員が船に乗り込んで観光案内といったことは 多々あるようだが、講演会は初めての試みである。
わが国におけるクルーズ船の寄港に適する港の選定と誘致方策に関する研究 第6章 地域におけるクルーズ船の評価や誘致に対する意識の差異
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(11)羅臼町
①調査概要
②クルーズ船の停泊場所
港湾名 羅臼漁港(第
4
種漁港)調査対象者 網走市建設港湾部港湾課港湾管理係 和田亮氏、畠中皓平氏
調査日時
2018
年7
月4
日10:00-11:30
調査場所 羅臼町役場庁舎錨泊地 通船発着場
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③岸壁概要
クルーズ専用岸壁 なし 旅客ターミナル なし クルーズ船
着岸地点
沖合に停泊し、通船にて漁港から上陸
岸壁長さ/水深 沖合錨泊 港までの
アクセス 通船着岸地点から市街地まで徒歩
1
分 クルーズ船初寄港年
日本船:2013年「にっぽん丸」
外国船:実績なし
④ヒアリング調査結果
1)
クルーズ船の寄港状況
羅臼漁港にクルーズ船が初めて寄港したのは2013
年で、そこから毎年定期的な寄港がある。また、にっぽん丸以外の寄港はなく、にっぽん丸についても、毎年、夏場に実施される小樽 港発着で、北海道の離島などを巡る「飛んでクルーズ北海道」によるクルーズのみである点 が大きな特徴である(図-6-4-10)。
漁港区内には、にっぽん丸のような大型船を直接つけられる岸壁はないため、クルーズ船は 沖合に停泊させて、乗客は通船で上陸させている。クルーズ船が停泊する位置としては、沖 合から3
㎞程離れた場所で、漁協との協議の上で、停泊場所を決定した。また、通船は2
隻 用意されており、約30
分おきに往来している。
通船が着岸する場所は、普段は、漁船の船外機を搬入する車路や、観光船乗り場となってい 写真-6-4-70 通船着岸時の様子写真-6-4-69 羅臼漁港2 写真-6-4-68 羅臼漁港
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る。出迎えの際には、自治体職員などがこの場所にいるが、自治体としてタラップなどは用 意しておらず、商船三井の方で準備している。
クルーズ船の錨泊や、通船の航行の可否に関する海象条件に関しては、船社と漁協が判断す るものとしている。漁ができなくなるくらいに海が荒れていない限りは問題ない。以前にキ ャンセルになったときも、かなり荒れていたとのこと。ただし、目の前に国後島があるため、外洋のように荒れる日は少なく、穏やかな時は湖のようになる。
2)
クルーズ船の寄港時期
羅臼漁港でクルーズ船を受け入れている時期は、夏場の8
月~9 月中旬頃であるが、仮にほ かの時期で、クルーズ船を受け入れることのできる時期としては、漁の繁忙期でなければ可 能であるとのことであった。漁の繁忙期としては、9
月中旬以降の秋ごろは、最漁期であると し、その時期であると、漁協との調整も難しくなるとしていた。また、冬場には流氷が漁港 内まで入ってくる。3)
クルーズ船から見た羅臼漁港の立地特性
知床世界遺産があるというのが最大の寄港理由と思っている。また陸上交通でも不便な場所 なので、船で来ることはメリットがある。4)
岸壁利用の調整
漁業の町であるため、漁業活動の妨げにならないようにしており、漁が終わり人がいない時 間帯にクルーズ船を受け入れている。5)
誘致活動状況、船社の要望、入港時の対応
町として船社に対して積極的な誘致を行おうとは考えていない。にっぽん丸に関しては、羅 臼町の観光大使をお願いしているので、そのような関係からも、他のクルーズ船を誘致する といったことは考えていない。漁港の係留設備についても漁船用なので、フェリー程度の大 きさにも対応しておらず、クルーズ船はまったく着けられる状態ではない。ただし、他のク 01 2 3 4 5 6
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019(予定)
日本船 図-6-4-10 羅臼漁港における過去のクルーズ船寄港回数
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ルーズ船社の方から寄港の依頼があれば、可能かどうか改めて協議していきたい。