電源設備及び系統の現状及び計画

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第 1 章 相手国・セクターの概要

4) 電源設備及び系統の現状及び計画

a) 国家電力総合計画(RUKN)と電力供給事業計画(RUPTL)

インドネシアの具体的な電力開発計画は、国家電力総合計画(RUKN)と電力供給事業

計画(RUPTL)の2つがある。RUKN がエネルギー政策を踏まえた総合的な電力開発計画であるのに対 し、RUPTL は個別プロジェクトを反映した PLN の電力事業計画で毎年作成されている。公式には、RUKN の改定を受けて RUPTL が策定されることになっているが実情はそうなっていない。RUKN は、2008 年に 改定されたが、2009 年に電力法が改正され、RUKN は国会の承認が必要となったため、エネルギー鉱物

4 この他に例外として,実績のある IPP は同一地点の増設(既存の容量より大きい容量の増設の場合は,より効率が高い、

より環境負荷が少ない設備の場合に限る)は入札を経ず随意契約を認めることとしている。

Director of Finance

Head of Corporate Finance Division

Head of Budget Monitoring Planning Division Head of Accounting Tax and Insurance Division

Head of Treasury Division

Head of Information System Division

Resources and General Affairs Resources and General Affairs Resources and General Affairs Head of Corporate Legal Internal Supervisory Unit Corporate Secretary

Head of Corporate Delivery Unit

出典:PLN Annual Report 2012

資源省で作成した政府案を提出するものの国会で審議未了で改定されずに現在に至っている。現在、電 気料金値上げの方策にいての考え方を含む内容で改訂案(2015-2040 年)が作成中である。

RUPTL の最新版は、2013 年 12 月、2008 年版の RUKN を参照する形で RUPTL2013 年版(2013 年~2022 年)が公表された。

表 1-8 RUKN と RUPTL の特徴

国家電力総合計画(RUKN) 電力供給事業計画(RUPTL)

策定機関 エネルギー鉱物資源省(MEMR) 国有電力会社(PLN)

概要 国が定める電力総合計画。需要予測、

1 次エネルギー、電力計画、所要資金 など。期間は 20 年間。

RUKN に基づいて PLN が定める電力供給 計画。期間は 10 年間。

更新 毎年改定(本来) 毎年更新(RUKN に基づいて作成)

出典:国家電力総合計画(RUKN)、電力供給事業計画(RUPTL)を基に調査団作成

RUPTL2012-2021 の開発計画では、2022 年の電力エネルギー需要は、358,000GWh(2012 年の販売電力 量は、173,990GWh)で、年平均 8.65%の増加率と予測している。2012~2021 年の発電容量の増強は、

インドネシア全体で約 57.3GW、年平均 5.7GW の追加となる。

図 1-20 電力供給力増強計画

出典:PLN 社長講演資料 2013 年 9 月

■その他 ■ガス ■コンバインド ■地熱 ■水力 ■石炭

容量拡大計画

(2012年 – 2021年)

石炭: 38 GW

地熱 : 6.3 GW

水力 : 6.3 GW

ガス : 4 GW

コンバインド : 2.5 GW

その他 : 0.28 GW

下図は、2022 年におけるインドネシアの電力供給におけるエネルギーミックスを示すもので、石炭

(65.6%)、LNG を含む天然ガス(16.6%)、地熱(11.0%)、水力(5.1%)、石油等(1.7%)の構成となって いる。

図 1-21 燃料タイプ別の電力供給量

出典:PLN 社長講演資料 2013 年 9 月

<参考:最近のジャワ・バリ系統の設備予備力>

2013 年 5 月 7 日、PLN はジャワ・バリ系統で過去最大電力(ピーク電力)として所内電力を含まない ネットで 21,968MW、所内電力(2.5%)を含むグロスで 22,517MW を記録した。現在 PLN のジャワ・バリ 系統における施設出力(ネット)は 29,159MW であり、最大電力(ネット)との比は約 75%、つまり数 値上は予備力約 25%程度となる。しかし、経年劣化、水力の乾期による出力減、定期点検、事故停止等 により電力需給の状況を分析すると次のようになる。

表 1-9 最近のジャワ・バリ系統の電力需給の状況を分析

項目 電力量

・施設出力(ネット) 29,159MW

・経年劣化による出力減

▲6,702MW

・水力の乾期による出力減

・定期点検(主に火力)

・事故停止点検他

当日供給可能出力 22,457MW

最大電力(ネット) 21,968MW

運転中予備力 489MW

出典:東電設計ジャカルタ事務所

以上のことから、現在の運転中予備力は、ほぼない状態で電力需給バランスは大変厳しい状況にある。

なお、PLN は運転中予備力(当該日の可能供給力-当該日の需要)が最大単機容量(スララヤ火力発電 所の 600MW)を下回った場合を SIAGA(Emergency)としており、万一最大単機容量が発電所側の事故で 供給不能となった場合、電力需給バランスを維持できなくなるため、その際の一部系統の切り離し(強 制停電)の手順を事前確認するとしている。

b) 二つのクラッシュプログラム

インドネシアでは急成長する電力需要への対応と石油依存の低減を目指し、非石油燃料発電所の電源 開発を加速させる二つの開発プログラムを「クラッシュプログラム」と名づけられ大統領令で推進して いる。

表 1-10 クラッシュプログラムの概要

第一次クラッシュプログラム 第二次クラッシュプログラム(当初) 開発計画年 2006-2009 2010-2014

開発方式 PLN100% PLN 44%(422 万kW) IPP 56%(531 万 kW) 電源開発量 約 10,000MW

(内訳:ジャワ・バリ 6,900MW、

その他 3,100MW)

約 10,000MW

(内訳:ジャワ・バリ 5,070MW、

その他 4,452MW)

背景(目的) ・緊急電源開発(ジャワ・バリ中心)

・脱石油政策

・緊急電源開発

・電源の多様化

・再生可能エネルギーの導入

電源種別 石炭 100% ・再生可能エネルギー 54%

(内訳:地熱 41%,水力 13%)

・化石燃料 46%

(内訳:石炭 36%, ガス 1%, CC 9%) 法的根拠 大統領令(No.71/2006) 大統領令(No.4/2010)

開発所要資金 電源:80 億 US$ 電源 :160 億 US$

送電設備:4 億 US$

出典:第一次クラッシュプログラム、第二次クラッシュプログラム(当初)を基に調査団作成

①第一次クラッシュプログラム

PLN は、発電所の建設では迅速性を重視し、技術基準を満たしていれば最先端技術は必要とせず、最 低価格を提示した企業に落札との方針により、第一次クラッシュプログラムの大半を中国企業が落札し た。しかし、金融危機などの影響で中国からの資金調達面で問題が発生したり、中国の業者による工期 遅延等で 2009 年中に運転を開始した発電所は Labuan 発電所 1 号機(32 万 kW)の 1 ユニットのみであ った。また、既に運転を開始した発電所も設備不良による事故停止が頻発し、2013 年末で 6,377MW の達 成率は 64.2%に留まっている。なお、当初計画の残りの 35.8%の 3,550MW は、2014 年/2015 年には完成 予定であると、エネルギー鉱物資源省は説明している。

②第二次クラッシュプログラム

温暖化ガス排出と石炭輸送インフラ整備の問題がクローズアップされたため、第 2 次計画では電源の 多様化を図り、地熱(計画の約 4 割を占める)や水力等再生可能エネルギーの開発に重点を置き IPP によ る開発を全体の 55.7%まで導入するといった特徴がある。

その後、第二次クラッシュプログラムでも政府保証がつかず資金手当の目処が立たな

いなど多くのプロジェクトの進行に遅れが生じ、また、そのいくつかはガス供給不足や地熱発電所の 開発準備不足などの理由により開発が中止された。このため、第二次クラッシュプログラムは、2012 年 1 月、2013 年 8 月に見直しが行われ、現在、開発容量が約 17,018MW に拡大されたが、2013 年末までに 完了したプロジェクトはない。

c) 投資ニーズ

発電、変電、送電等のインフラの開発投資額は、PLN プロジェクトに対して 711 億米ドルが、民間部 門の IPP プロジェクトと合算した総額の 1,252 億米ドルの投資が期待され、2013 年から 2022 年までの 各年の投資額は次のとおりである。

図 1-22 電力開発のための投資額

出典:電力供給事業計画(RUPTL)

今までのところ、多くの PLN プロジェクトは、外国政府からの借款(2ステップローン)を通して実 施されているが、2006 年以来、この種の貸付金が減少しはじめ、債券(ローカル&グローバル)の発行 が増加している。クラッシュプログラムでは、政府保証による PLN 貸付金であったが、最近は、世銀に よる揚水発電所建設や JICA によるジャワ-スマトラ連携送電にみるように、PLN は借款から多国間の債 権で資金を得ている。

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