• 検索結果がありません。

環境社会配慮項目の検討

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 142-148)

第4章 環境社会的側面の検討

1) 環境社会配慮項目の検討

対象プロジェクトの環境社会面への影響を評価し、本調査の次の段階で必要となる環境社会配慮項目 を幅広く洗い出するために、JICA「環境社会配慮ガイドライン」の「チェックリスト一覧表」ならびに JBIC「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」の「チェックリスト一覧表」を参考とし て検討を行った。

検討結果については、以下 a~e の分類毎に整理する通りであり、適切な環境社会配慮対策を講じる 前提で実施を計画する当該プロジェクトにおいては、重大な環境負荷や社会への負の影響は認められな いものと考えられる。

a) 許認可・説明

表 4-1 許認可・説明に係る環境社会配慮項目の検討

環境項目 主なチェック事項 検討結果

(1)EIA および環 境許認可

(a) 環境アセスメント報告書(EIA レポ ート)等は作成済みか。

(b) EIA レポート等は当該国政府によ り承認されているか。

(c) EIA レポート等の承認は付帯条件 を伴うか。付帯条件がある場合は、そ の条件は満たされるか。

(d) 上記以外に、必要な場合には現地 の所管官庁からの環境に関する許認可 は取得済みか。

(a),(b),(c):対象プロジェクトに関す る EIA については実施予定である。な お、対象プロジェクトで建設を計画して いる発電所は、既に環境影響評価

(EIA/AMDAL)を実施・承認済である ASC 社の保有する ANYER 工場敷地内に建設を 予定しており、立地地点としては問題な いものと見られる。

(d):現状、該当は特に無し。

(2)現地ステー クホルダーへの 説明

(a) プロジェクトの内容および影響に ついて、情報公開を含めて現地ステー クホルダーに適切な説明を行い、理解 を得ているか。

(b) 住民等からのコメントを、プロジ ェクト内容に反映させたか。

(a),(b):計画段階にあり未実施である。

ただし、本プロジェクトは既述の通り ASC 社の保有する ANYER 工場敷地内に建 設を予定しており、また、同サイトを含 む周辺沿岸地域も工業地区として開発 されていることからも、周辺住民からの 反対は懸念事項とにならないものと見 られる。

(3)代替案の検 討

(a) プロジェクト計画の複数の代替案 は(検討の際、環境・社会に係る項目 も含めて)検討されているか。

(a):計画段階において制約条件下での 最適な採用技術の検討(経済性の他、環 境要因も考慮)を行っている。

出典:調査団作成

b) 汚染対策

表 4-2 汚染対策に係る環境社会配慮項目の検討

環境項目 主なチェック事項 検討結果

(1)大気質

(a) 発電所操業に伴って排出される硫 黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、

煤じん等の大気汚染物質は、当該国の 排出基準等と整合するか。また、排出 により当該国の環境基準等と整合しな い区域が生じるか。

(b) 石炭火力発電所の場合、貯炭場や 石炭搬送施設からの飛散炭じん、石炭 灰処分場からの粉じんが大気汚染を生 じる恐れはあるか。汚染防止のための 対策がとられるか。

(a),(b):事業検討の初期段階であり詳 細な技術検討は実施中であるが、各排出 基準に整合する技術を導入する前提(ば いじん対策環境装置としては電気集塵 機の設置、SOx 対策環境装置としては排 煙脱硫装置の設置、また NOx 対策環境装 置として Low NOx バーナー/Two- Stage Combustion system 等の採用)である。

(b):燃料用石炭は、揚炭桟橋、コンベヤ を経て、貯炭場に保管される。粉塵の飛 散防止対策(コンベヤの囲い、散水など)

により管理する前提である。

(2)水質

(a) 温排水を含む発電所からの排水は 当該国の排出基準等と整合するか。ま た、排出により当該国の環境基準等と 整合しない区域や高温の水域が生じる か。

(b) 石炭火力発電所の場合、貯炭場、

石炭灰処分場からの浸出水は当該国の 排出基準等と整合するか。

(c) これらの排水が表流水、土壌・地 下水、海洋等を汚染しない対策がなさ れるか。

(a),(b),(c):事業検討の初期段階であ り詳細な技術検討は実施中であるが、こ れらの排出基準に整合する技術を導入 する前提である。

(b),(c):石炭灰の灰捨場(Ash Pond)は 浸出液による公共水域の汚染を防止す るため、排出基準に整合する適切な対策 が取ることを前提とする。

(c):発電所からのその他の排水につい ては、規定の排出基準に沿って、適切に 処理するための排水処理装置及び設備 を設置する前提である。

(3)廃棄物

(a) 操業に伴って発生する廃棄物(廃 油、廃薬品)または石炭灰、排煙脱硫 の副生石膏等の廃棄物は当該国の規定 等に従って適切に処理・処分されるか。

(a):事業検討の初期段階であることか ら、詳細な検討は未実施であるが、規定 に従って処理・処分する前提である。

(4)騒音・振動

(a) 騒音、振動は当該国の基準等と整 合するか。

(a):事業検討の初期段階であることか ら、詳細な検討は未実施であるが、敷地 境界での環境基準の遵守上を前提とす る(法規も求められる敷地境界での環境 モニタリングと標準的な防音・消音機器 の採用、敷地境界での防音壁などが標準 的な対策として、想定される。)

なお、本プロジェクトは既述の通り ASC

環境項目 主なチェック事項 検討結果

社の保有する ANYER 工場敷地内に建設を 予定しており、また、同サイトを含む周 辺沿岸地域も工業地区として開発され ていることからも、周辺居住地への騒 音・振動の大きな影響は生じにくいと見 られる。

(5)地盤沈下

(a) 大量の地下水汲み上げを行う場 合、地盤沈下が生じる恐れがあるか。

(a):冷却水は海水が利用されるため水 量面での問題はない。その他の用水使用 に関しては上水利用を検討しており、地 盤沈下の懸念はないものと考えられる。

(6)悪臭 (a) 悪臭源はあるか。悪臭防止の対策 はとられるか。

(a):本プロジェクトにおいて悪臭源は 特にない。

出典:調査団作成

c) 自然環境

表 4-3 自然環境に係る環境社会配慮項目の検討

環境項目 主なチェック事項 検討結果

(1)保護区

(a) サイトは当該国の法律・国際条約 等に定められた保護区内に立地する か。プロジェクトが保護区に影響を与 えるか。

(a):法律・国際条約等に定められた保護 区には該当しない。

(2)生態系

(a) サイトは原生林、熱帯の自然林、

生態学的に重要な生息地(珊瑚礁、マ ングローブ湿地、干潟等)を含むか。

(b) サイトは当該国の法律・国際条約 等で保護が必要とされる貴重種の生息 地を含むか。

(c) 生態系への重大な影響が懸念され る場合、生態系への影響を減らす対策 はなされるか。

(d) プロジェクトによる取水(地表水、

地下水)が、河川等の水域環境に影響 を及ぼすか。水生生物等への影響を減 らす対策はなされるか。

(e) 温排水の放流や冷却水の大量の取 水、浸出水の排出が周辺水域の生態系 に悪影響を与えるか。

(a):本プロジェクト対象地は、左記のよ うな地域を含まない。

(b):本プロジェクト対象地は、貴重種の 生息地を含まない。

(c):貴重種の生息地には該当せず、重大 な影響は懸念されないと考えられる。

(d),(e):事業検討の初期段階であるこ とから、詳細な検討は行われていない が、詳細設計の段階では、必要事項を検 討の上で必要に応じた対策を講じる前 提である。

出典:調査団作成

d) 社会環境

表 4-4 社会環境に係る環境社会配慮項目の検討

環境項目 主なチェック事項 検討結果

(1)住民移転

(a) プロジェクトの実施に伴い非自発 的住民移転は生じるか。生じる場合は、

移転による影響を最小限とする努力が なされるか。

(b) 移転する住民に対し、移転前に補 償・生活再建対策に関する適切な説明 が行われるか。

(c) 住民移転のための調査がなされ、

再取得価格による補償、移転後の生活 基盤の回復を含む移転計画が立てられ るか。

(d) 補償金の支払いは移転前に行われ るか。

(e) 補償方針は文書で策定されている か。

(f) 移転住民のうち特に女性、子供、老 人、貧困層、少数民族・先住民族等の社 会的弱者に適切な配慮がなされた計画 か。

(g) 移転住民について移転前の合意は 得られるか。

(h) 住民移転を適切に実施するための 体制は整えられるか。十分な実施能力 と予算措置が講じられるか。

(i) 移転による影響のモニタリングが 計画されるか。

(j) 苦情処理の仕組みが構築されてい るか。

(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),(i), (j):本プロジェクトに伴う住民移転は生 じない。

(2)生活・生計

(a) プロジェクトによる住民の生活へ の悪影響はあるか。必要な場合は影響 を緩和する配慮が行われるか。

(b) プロジェクトの実施により必要と なる社会基盤の整備は十分か(病院・学 校、道路等)。不十分な場合、整備計画 はあるか。

(c) プロジェクトに伴う大型車両等の

(a):本プロジェクトは既述の通り ASC 社 の保有する ANYER 工場敷地内に建設を予 定しており、また、同サイトを含む周辺 沿岸地域も工業地区として開発されてい ることからも、周辺居住地への大きな影 響は生じにくいと見られる。

(b):本プロジェクトサイト周辺は工業地 区として開発されており、一定の社会基

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 142-148)