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プロジェクト実施に関係する環境社会配慮関係法規の概要

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 149-153)

第4章 環境社会的側面の検討

1) プロジェクト実施に関係する環境社会配慮関係法規の概要

a) 環境管理と環境影響評価

インドネシアでは 1986 年に環境影響評価制度(インドネシア語で AMDAL:Analisis Menganai Dampak Lingkungan)が導入された。その後 1993 年の「環境影響評価に関する政令」(第 51 号)で、初期スク リーニングプロセスの簡略化や複数の省庁がからむ事業の審査に関する環境影響管理庁の権限強化な どを柱とした制度の抜本的改正が実施された。1997 年に環境管理法が制定され、環境法制が体系化され た。2006 年には関連するガイドラインが制定され、2009 年に環境管理法が大幅に改正された。2012 年 には環境ライセンス取得制度が導入され AMDAL の改訂もなされた(2012 年政令第 27 号)。環境影響評価 の対象となる事業または活動の種類及び規模については、現在、「環境影響評価を実施すべき事業また は活動及び規模に関する環境大臣規則(2012 年第 5 号)」により定められている。

表 4-6 環境管理と環境影響評価に係る主要関連法規等

区分 法令

基本法 ・ 環境管理法(2009 年法律第 32 号) 23

政令 ・ 環境ライセンスに関する政令(2012 年政令第第 27 号)24

大統領令 ・ 環境管理庁に関する大統領令(大統領令第 77 号,1994)

省令

・ 環境ライセンスに関するガイドラインについての環境大臣令(2012 年第 17 号)

・ EIA の対象となる事業や活動の種類に関する環境大臣令(2006 年第 11 号)

・ 環 境 影 響 評 価 が 必 要 と さ れ る 事 業 及 び 活 動 の 種 類 に 関 す る 環 境 大 臣 令

(NO.KEP-11/MENLH/3/1994)

・ 環境管理の手続きき及び環境監視の手続きのための一般指針に関する環境大臣 令(NO.KEP-12/MENLH/3/1994)

・ 環境影響評価委員会の構成及び運営手続きのための指針に関する環境大臣令

(NO.KEP-13/MENLH/3/1994)

・ 環境影響評価書のためのガイドラインに関する環境大臣令(2000 年第 2 号)

・ 環境影響評価プロセスにおける住民関与及び情報開示に関する環境大臣令(2000 年第 8 号)

・ 環境影響評価作成のためのガイドラインに関する環境大臣令(2000 年第 9 号)

・ 環境影響評価書の評価委員会の作業システムのガイドラインに関する環境大臣 令(2000 年第 40 号)

出典:環境省資料「インドネシア AMDAL 法令に係る各種資料」、 インドネシア政府環境省環境影響評価部資料等より調査団作成

b) 空間計画

インドネシアでは、国土空間の利用と開発に対して空間計画が策定される。これは、1980 年代の関連 大統領令に始まり、2007 年法律第 26 号「空間計画法」として基本法が制定。この基本法と関連する政

23 1982 年法律第 4 号で施行、1997 年法律第 23 号で大幅改定。2009 年に改正され、10 月 3 日付で改正新法公布、施行。

令、大統領令等により、国と各地方政府(州および市・県)は、管轄区域の空間利用・開発のための基 本計画を策定し保護区や開発区域を目的別にゾーニング(区分け)している。石炭火力発電所の立地に 際しては地域の空間計画と整合することが求められ、AMDAL と環境許可発行の際の前提条件になる。

表 4-7 空間計画に係る主要法規

区分 法令

基本法 ・ 空間計画法(2007 年法律第 26 号)

政令 ・ 国家空間計画に関する政令(2008 年第 26 号)

・ 空間計画におけるコミュニティの参加の権利、義務、形式と手続きに関する政令

(1996 年第 69 号)

大統領令 ・ 国土空間管理のための調整チームに関する大統領令(1989 年第 57 号)

・ 保護区管理に関する大統領令(1990 年第 32 号)

出典:環境省資料「インドネシアにおける法制度の整備・執行」「インドネシアにおける環境関連法令」

、インドネシア政府環境省環境影響評価部資料等より調査団作成

c) 環境対策・基準に関する主要法規

ここでは石炭火力発電事業に係る環境対策・基準に関する主要法規等を抽出・整理する。

1999 年の地方行政法(法律第 22 号)および中央地方財政均衡法(法律第 25 号)により、2001 年か ら大幅な地方分権が行われた。大気汚染や水質汚濁等の環境管理の責任が県・市に移管されている。

表 4-8 石炭火力発電事業に係る環境対策・基準に関する主要法規等

分野 法令

大気関係 ・ 大気汚染防止に関する政令(1999 年政令第 41 号)25

・ 大気汚染指標に関する環境大臣令(1997 年第 45 号)

・ 固定発生源ボイラからの排ガス基準に関する環境大臣規則(2007 年第 7 号)

・ 火力発電所からの排ガス基準に関する環境大臣規則(2008 年第 21 号)

・ 地域大気汚染防止の実施に関する環境大臣規則(2010 年第 12 号)

水質関係 ・ 水質管理と水質汚濁防止に関する政令(2001 年第 82 号)26

・ 海の汚染防止と損壊に関する政令(1999 年第 19 号)

・ 産業排水の基準に関する環境大臣令(1995 年第 51 号、同改正 2004 年第 122 号)

・ 水資源に対する水質汚濁負荷容量の決定のための指針に関する環境大臣令(2003 年第 110 号)

・ 海水の水質基準に関する環境大臣令(2004 年第 51 号、同改正 2004 年第 179 号)

・ 石炭掘削・関連事業からの排水基準に関する環境大臣令(2003 年第 113 号)

・ 火力発電所事業からの排水基準に関する環境大臣規則(2009 年第 8 号)

騒音・振動関係 ・ 騒音の環境基準に関する環境大臣令(1996 年第 48 号)

・ 振動の環境基準に関する環境大臣令(1996 年第 49 号)

25 1993 年に大気汚染防止に関する環境省令関連のガイドラインを省令で規定、本省令に基づき環境基準を設定している

26 関連のガイドラインを省令で規定、本政令に基づき環境基準を設定

分野 法令

悪臭関係 ・ 悪臭の環境基準に関する環境大臣令(1996 年第 50 号)

廃棄物関係 ・ 廃棄物管理法(2008 年第 18 号)

出典:環境省資料「インドネシアにおける法制度の整備・執行」「インドネシアにおける環境関連法令」

、インドネシア政府環境省環境影響評価部資料等より調査団作成

d) 火力発電所に係る排出基準

前項の法規において規定27される石炭火力発電所の汚染物質の排出に関わる基準(排ガス、排水)を 抽出し以下に整理する。

①排ガス基準

表 4-9 火力発電所の排ガス基準(常時排ガス監視装置付き施設)

指標 最大許容値(mg/Nm3)

Coal Oil Gas

二酸化硫黄(SO2)28 750 650 50

窒素酸化物(NOx) を指標として29 750 450 320

粒子状物質(T P)30 100 100 30

不透明度(Opacity) 20% 20%

出典:火力発電所の排ガス基準に関する環境大臣令 2008 年第 21 号(附属書 1B)

②排水基準

表 4-10 火力発電所 CPU(中央排水処理装置)からの排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

全浮遊粒子(TSS) mg/L 100

油脂 mg/L 10

遊離塩素(Cl2) *1 mg/L 0.5

全クロム(Cr) *2 mg/L 0.5

銅(Cu) mg/L 1

鉄(Fe) mg/L 3

亜鉛(Zn) mg/L 1

リン酸(PO4-) mg/L 10

*1 冷却塔ブローダウンが廃水処理場に流れている場合、*2 リン酸を注入する場合

出典: 環境大臣令 2009 年第 8 号(附属書 1)

27 大気汚染防止に関する政令(1999 年第 41 号)において、大気環境基準 13 項目について基準値が規定。環境大臣令

(1997 年第 45 号)には大気汚染指標(Pollution Standard Index)が導入されている。 また、水質管理と水質汚濁 防止に関する政令(2001 年第 82 号)において、陸水の利水用途により 4 類型に分けて環境基準が規定され、海水の水 質環境基準については、環境大臣令(2004 年第 51 号および 179 号)において規定されている。火力発電所事業からの 排水基準については環境大臣規則(2009 年第 8 号)において規定されている。

28 ガス体積は標準条件で測定 (気温 25.0 度で1気圧)

29 不透明度(Opacity)は実用的なモニタリング指標として使用される

表 4-11 火力発電所ボイラ(ブローダウンボイラー)排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

銅(Cu) mg/L 1

鉄(Fe) mg/L 3

出典: 環境大臣令 2009 年第 8 号(附属書 1)

表 4-12 火力発電所冷却塔(クーリングタワー)の排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

遊離塩素(Cl2) * mg/L 1

亜鉛(Zn) mg/L 1

燐酸(PO4-) mg/L 10

* 冷却塔ブローダウンが廃水処理場に流れていない場合

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 1)

表 4-13 火力発電所排水処理場の脱塩処理排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

全浮遊粒子(TSS) mg/L 100

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 1)

③冷却水排水基準(付帯設備)

表 4-14 火力発電所冷却水の排水基準

指標 単位 許容値

水温 ℃ 40 *1

遊離塩素(Cl2) *2 mg/L 0.3

*1 排水出口における月平均の測定結果、*2 水供給源が廃水処理場に流れていない場合

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 2)

表 4-15 火力発電所からの脱塩処理水の排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

塩分濃度 * ‰ 排水塩分濃度は海に排水処理場所から

30m の範囲内で、自然塩分濃度に等しく なければならない。

* 脱塩処理廃水が処理場に流れていない場合

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 3)

表 4-16 火力発電所の排煙脱硫システム(海水湿式スクラバー)の排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

SO4(2-) * % 原水(海水)の硫酸塩濃度と比較した硫酸

塩増加が 4%未満

* 海水湿式スクラバーシステムの排水が処理場に流れていない場合

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 2)

④排水基準(貯炭場)

表 4-17 貯炭場の排水基準

指標 単位 許容値

pH ― 6-9

全浮遊粒子(TSS) mg/L 200

鉄 mg/L 5

マンガン mg/L 2

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 2)

⑤排水基準(油分)

表 4-18 廃油を含む排水の基準

指標 単位 許容値

COD * mg/L 300

全浮遊粒子(TSS) mg/L 110

油脂 mg/L 15

* 油を含有する廃水が処理場に流れていない場合

出典: 環境大臣規則 2009 年第 8 号(附属書 3)

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 149-153)