エネルギーの需要及び価格の動向

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第 1 章 相手国・セクターの概要

2) エネルギーの需要及び価格の動向

b) 主なエネルギー・電力関係の法律

①エネルギー法(2007 年)

2007 年までは、エネルギー全体を網羅する法律がなく、「石油・ガス法」、「電力法」、「地熱法」など により、エネルギー源ごとに個別に管理する体制(法体系)であった。政府は、エネルギー部門全体を 総括的に管理する必要性から、2007 年 8 月 10 日に「エネルギーに関する法律」(エネルギー法)を作成 した。エネルギー法の主要な規定事項は以下の通りである。

政府によるエネルギー資源の管理(統制・規制)

エネルギーの安定供給(輸出より国内供給を優先)

貧困層に対する政府補助金の供与

資源開発の促進(国内調達率の拡大)

国家エネルギー政策の策定

国家エネルギー審議会(DEN)の設立

エネルギー総合計画(RUEN)の作成(全国および地域別)

再生可能エネルギーの供給・利用および省エネルギー実施に対する政府援助

②新電力法(2009 年)

「電力に関する法律」(2009 年第 30 号)(新電力法)が 2009 年 9 月 8 日に制定された。この法律は 1985 年に制定された旧電力法(1985 年第 15 号)を踏襲しているが、電力供給は国が責任を持つ(「電 力供給事業は、国家が管轄し政府が実施する」)としつつ、「電力供給における国家能力の更なる向上の ために国益を害さない限り、その他の国有企業、公営企業、民間、協同組合、市民団体は電力供給事業 を実施するための機会を最大限与えられる」として、民間に参入の道が開かれている。手続き関係では、

従来、エネルギー鉱物資源大臣または大統領の権限であった国家電力総合計画(RUKN)の策定と電気料 金の改定に際して、国会(地方決裁分は地方議会)の承認が必要になった。

もともと 2002 年 9 月に「電気事業に関する法令(新電力法)」が制定され、「競争市場の導入」、「電 気事業の分割・民営化」、「発電と小売部門の自由化」、「PLN による送電・配電系統の管理」、「電力市場 監督委員会の創設と同委員会による送配電料金(託送料金)の決定」、「電力システム管理者と電力市場 管理者の設置」などの実施が定められていた。

図 1-11 インドネシア全体の発電電力量(PLN による発電+PLN 購入分)の推移

出典:PLN Statics, 2012

b) 販売電力量

販売電力量は、2004 年の 100,097.47GWh と比較した場合、年平均 7.6%で増加し、2012 年には 173,990.75GWh と約 1.7 倍となっている。用途別の比率では、2012 年:家庭用 41%、産業用 35%、商業 用 18%、公共用 3%、政府施設 2%、外灯 2%となっている。2004 年と比較した場合、一番高い伸びを示し たのは家庭用で 2.9 ポイント、続いて商業用が 2.6 ポイント上昇している。

図 1-12 インドネシアの販売電力量の割合

出典:PLN Statics, 2012

なお、インドネシアの電力の大半は、ジャワ島(特にジャカルタが位置する西部地域)で消費されて いる。

表 1-3 PLN の販売電力量(GWh)

地域 2008 年 前年

比 (%)

2009 年 前年

比 (%)

2010 年 前年

比 (%)

2011 年 前年

比 (%)

2012 年 前年

比 (%) ジャワ‐バリ 100,774 5.4 101,319 0.5 110,309 8.9 117,593 6.6 128,513 9.3 外島 28,244 0.9 33,263 17.7 36,988 11.2 40,399 9.2 45,478 12.6 合計 129,018 6.4 134,582 4.3 147,297 9.4 157,993 7.3 173,991 10.1 出典:PLN Annual Report 各年版

c) 電力の今後の見通し

PLN 発行の電力供給事業計画(RUPTL、2013 年版)によれば、2013 年から 2022 年まで、インドネシア の電力需要は、189 TWh から 386TWh まで増加すると予測されている。これは年率 8.4%の増加である。

2022 年までに顧客数は 5,400 万人から 7,700 万人まで増大(270 万人/年の伸び)し、この結果、電化 率は 79.6%から 97.7%まで増大する。地域的には、ジャワ・バリ地区の電力需要は 144TWh から 275TWh まで増大すると予測され、年率 7.6%の増加である。東インドネシア地区では、18TWh から 46TWh まで年 率 10%以上と急速な増加となる。スマトラ地区では、26TWh から 66TWh まで需要の成長が期待され、年 率 10.6%の増加である。

ジャワ・バリ地区では、産業の顧客が総需要の中で最も大きい部分を占め、総需要の 38.5%となる。

東インドネシア地区及びスマトラ地区の消費の割合は、産業の顧客が占める割合は、それぞれ 11%及び 15.8%で相対的に小さい。また、この地区では家庭用の需要が全体を支配し、それぞれ 62%と 55%となる。

このように電力需要の成長の大半は、首都ジャカルタのジャワ島によるものである。しかしながら、

インドネシアは 17,000 を越える島を有しており、未だ各島の地方電化は遅れ、現在も全世帯の約 2 割

が電気なしで暮らしているという実態がある。

図 1-13 2012 年と 2022 年時点での PLN の地域別電力販売量予測

出典:PLN 電力供給事業計画(RUPTL、2013 年版)

(注) 2012 年から 2022 年までに増加する電力需要は、10 年間の平均経済成長率を 6.9%

と仮定して 386TWh と積算したものである。

d) 電力供給計画

インドネシアの経済成長に見合う電力需要を満たすには インドネシア全体で 59.5GW の追加の発電供 給能力が必要である。これは年平均で 6GW の増加で、RUPTL 計画では PLN 及び IPP の両方で、16.9GW(28%)

及び 25.5GW(43%)の電力供給を開発し、残りの 17.1GW(29%)は開発者と出資者の見通しが決まって いない状況である。RUPTL では、電力供給計画をまかなう発電所システムを次のように計画している。

新石炭火力発電:37.9GW(全体の 63.8%)

ガスタービン発電:5GW(8.4%)

水力発電:6.5GW(11.0%)

地熱発電:6.0GW(10.2%)

図 1-14 電力供給計画(PLN 及び IPP)

出典:PLN 電力供給事業計画(RUPTL、2013 年版)

次に、エネルギー鉱物資源省の電力需要予測では、2013 年から 2022 年の 10 年間で必要となる電力需 要は、年平均 7.4GW で増加し、2022 年には発電容量が 100GW を超える。また、2013 年から 2031 年まで を見ると年平均 12.4GW で増加、発電容量は 254GW となる見込みである。これは近年の日本の発電容量 を上回る値である。(エネルギー白書 2013 によると日本の 2011 年の設備容量は約 245GW。)

図 1-15 エネルギー鉱物資源省による電力需要の見通し

出典:エネルギー鉱物資源省講演資料(2013年9月)

e) 電気料金

インドネシアはこれまで補助金により電気料金が低く抑えられてきたが、年々増大する補助金に よる財政負担を抑制するため、2013 年 1 月、電気料金の値上げが国会で採択された。電気料金を 3 カ月毎に 3~4%値上げすることとされ、2013 年 10 月で合計 15%の料金値上げが行われた。

f) 産業用電気料金値上げ・電気料金自動調整制度

エネルギー鉱物資源省は、2014 年 1 月 21 日、産業用の電気料金(大企業向け)を 2014 年 5 月 1 日か ら値上げすると発表した。契約容量が 200kVA 以上(契約区分I-3)で 38.9%の値上げで、2~4ヶ月ご とに 8.9%ずつ引き上げていく。 3 万 kVA 以上(契約区分I-4)では 64.7%の値上げで、2~4ヶ月毎に 13.3%引き上げる予定である。 従って、産業用の電気料金の値上げ総額が年間で 8 兆 8500 億 Rp になる と予測されている。

また同日 2014 年 1 月 21 日、国会は電力使用者の次の 4 つの契約区分において電気料金自動調整制度 の政府案を採択した。

契約区分 R-3(6600VA 以上の家庭用)

契約区分 B-2(6600VA~200kVA の業務用)

契約区分 B-3(200kVA 以上の業務用)

契約区分 P-1(6600VA~200kVA の政府機関)

これら 4 つの契約区分は、2013 年 10 月以来補助金を受けていない。この新制度の下で、4 つの契約 区分の電気料金は、為替レートや石油価格、インフレ率に連動させる計画である。料金の計算方法など の詳細は今後詰めることになるが、新制度への移行で1兆 4,200 Rp の支出を抑えることができると試 算されている。

また、エネルギー鉱物資源省は、経済指標に基づいて電気料金を変動する電気料金自動調整制度の拡 大を計画しており、早ければ 2015 年から電力消費の少ない家庭や商業施設を除いて電気料金(全 17 分 類)が変動制に入る予定である。

g) PLN への政府補助金

以下に PLN への政府補助金の推移を示す。インドネシア政府は電気料金に対し補助金を支払っている が、これは PLN の電気料金収入等では賄いきれない発電コスト等の赤字分の補填をしており、PLN は一 括してこの補助金を受領する。これにより燃料費が高騰しても電気料金が安く抑えられるようにしてい る。なお、政府補助金は財務省令により計算方法が決められ、料金区分ごとに電力販売価格と発電コス トを比較し電力販売価格が小さい場合に、その差額に基づき補助金を算定している。

図 1-16 電気料金に対する政府補助金の推移

出典:PLN Annual Report各年版より調査団作成

2000 年代初頭までは電気料金を段階的に値上げしたこともあり、政府補助金は 3~4 兆 Rp で推移して いた。その後、石油価格の高騰や政府の石油製品に対する補助金削減のため燃料価格が大幅に上昇し、

政府補助金もそれに伴って増加した。2009 年には燃料価格が下がったことや燃料の転換が進んだことな どから一時減少したものの、その後は再び増加傾向にあり、2012 年には 103 兆 Rp にまで達している。

表 1-4 PLN の平均販売電力量単価の推移(Rp/KWh)

年 地域

2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年

ジャワ‐バリ 634 661 697 709 732

外島 729 681 706 729 717

全体 655 666 699 715 728

(円貨相当額) 5.27 円 6.42 円 6.50 円 6.22 円 6.50 円 (注)円貨相当額は年度末(各年12月末日)レートにより算出

出典:PLN Annual Report各年版

表 1-5 発電コスト(2012 年、Rp/KWh)

水力 火力 ディーゼル ガスタービン 地熱 コンバインド 平均 155.87 810.14 3,168.58 2,362,99 1,121.50 1,001.80 1,217.28

出典:PLN Annual Report各年版

4739 4097 3470

12511

32909 36605

78577

53720 58108

93178

103331

0 20000 40000 60000 80000 100000 120000

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

(単位:10 億 Rp)

h) PLN の経営状況

PLN の経営は、2008 年から 2012 年の間に営業収入が約 51%増加し、毎年順調に収入は増加している。

しかしながら、燃料価格の高騰などから政府補助金がなければ赤字という状況が続いている。

表 1-6 PLN の総販売電力収入(10 億 Rp)

年 地域

2008 年 前年

比 (%)

2009 年 前年

比 (%)

2010 年 前年

比 (%)

2011 年 前年

比 (%)

2012 年 前年

比 (%) ジャワ‐バリ 63,884 9.2 66,960 4.8 76,875 14.8 83,411 8.5 94,098 12.8 外島 20,603 16.1 22,678 10.1 26,099 15.1 29,434 12.8 32,624 10.8 合計 84,487 10.8 89,638 6.1 102,974 14.9 112,845 9.6 126,722 12.3

(円貨相当額) 6,800 億円

8,630 億円

9,580 億円

9,820 億円

11,318 億円

(注)2010年7月に電力料金の15%の値上げを実施 出典::PLN Annual Report各年版

3)エネルギー関連事業の構造

a) 電気事業の概要

現在の電気事業体制は、発電部門を PLN と PLN の子会社あるいは IPP が受け持ち、送配電部門を PLN が独占している。なお、PLN では分社化や事業部制を推進しており、発電子会社や特定地域(第 2 のシ ンガポールを目指すバタン島などの特定開発地域)で発電送配電を担当する子会社を設立しているほか、

各部門をビジネスユニット化(独立採算を意識した事業部制の導入)している。また、地方電化に関し ては、「協同組合・中小企業担当国務大臣府(SMOC & SMEs)」の管轄下に、「村落協同組合(KUD)」と呼 ばれる住民組織が全国に点在しており、PLN の電力系統から孤立した僻地において電力供給を実施して いる。

電力セクターに関わる行政組織としては、エネルギーの開発政策及び利用分野における統合的な政策 の策定を担当する国家エネルギー審議会(DEN)、国家開発政策や調整を担う国家開発企画庁(BAPPENAS)、 PLN を監督し資源エネルギー分野全般を担うエネルギー鉱物資源省(MEMR)、PLN を所有・管理する国営 企業国務大臣府、予算を承認する財務省(MOF)、エネルギー政策の策定や調整を担う「国家エネルギー 調整委員会(BAKOREN)」、原子力発電に関する研究・開発を行う「インドネシア原子力庁(BATAN)」な どが存在する。

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