提案プロジェクトの内容

ドキュメント内 報告書(和文) (Page 120-127)

第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討

2) 提案プロジェクトの内容

関係企業・取引先の経営安定化及びコスト上昇抑制につながり、ひいては AGC/ASC の経 営安定化につながる。

2. SPC の裨益(収益性等)

①インドネシアの公益にとっての重要度: ○

・SPC の裨益(収益性等)が高まれば、投融資を行うインドネシアの機関のリターン・収 益性が向上し、税収と雇用の拡大にも資する。

②AGC/ASC にとっての重要度: ○

・SPC の裨益(収益性等)が高まれば、PPU による発電事業の経営が安定化し、電力の長 期安定供給及び電気料金の安定化に資する。

3. ASC の裨益(経済性等)

①インドネシアの公益にとっての重要度: ○

・千人規模を雇用する ASC の裨益(収益性等)が高まれば、現地雇用の安定化・拡大、現 地政府の税収の拡大につながる。

②AGC/ASC にとっての重要度: ◎

・ASC の裨益(収益性等)が高まることが AGC/ASC にとって重要であることは、言をまた ない。

4. 日本の公的ファイナンスの活用

①インドネシアの公益にとっての重要度: ◎

・日本の公的ファイナンスが活用されることは、「エネルギー需給緩和型インフラ・シス テム普及等促進事業」の趣旨、及び電源開発への外資導入を歓迎するインドネシア政府 の方針に合致する。

②AGC/ASC にとっての重要度: ○

・AGC/ASC にとって、JBIC から低利融資を受けることができれば、経済的なメリットが大 きい。

5. 日本企業が有する優れた技術・ノウハウの活用 ①インドネシアの公益にとっての重要度: ◎

・日本企業が有する優れた技術・ノウハウを活用して電源開発を行うことは、短期的にイ ンドネシアの電力需給緩和に貢献するだけでなく、高品質なハードウェアや O&M を通じ た長期的な供給力の維持につながり、またこうした技術・ノウハウのインドネシアへの 技術移転にもつながる。

②AGC/ASC にとっての重要度: △

・AGC/ASC にとっては、グローバルな観点からのコスト・品質面も含めた最適な調達が重 要であり、必ずしも日本企業の技術・ノウハウの活用がベスト・ソリューションとは限 らない。

上表に示される通り、インドネシアの公益から見た重要度と、プロジェクト実施企業(AGC/ASC)か ら見た重要度は、自ずから異なる側面がある。

本 FS 調査では、インドネシアの公益から見た重要度に軸足を置きつつも、プロジェクト実施企業が インドネシアの電気料金高騰にあえいでいる現状に鑑み、その問題を喫緊かつ効率的・効果的に解決す ることが、日本の産業政策(=我が国製造業の国際競争力の強化、グローバル展開の円滑化)にも寄与 することから、ASC の裨益(特に経済性)も重視し、総合的な観点から、バランスの取れたソリューシ ョン(事業方式、技術方式)を提示することとする。

b) 事業方式

対象プロジェクトの事業方式として、提案時には、IPP として、発電能力 60 万 kW のうち 30 万 kW 相 当分を ASC 社現地工場に供給し、30 万 kW 相当分を PLN に売電することを計画していた。

しかしながらその後、エネルギー鉱物資源省(MEMR)へのヒアリングより、IPP は PLN への全量売電 が必須であることが判明し、IPP モデルは断念せざるを得なくなった。

その代わりに、エネルギー鉱物資源省へのヒアリングの際に、PPU(Public Power Utility)という 新電力法に基づく第3の(PLN、IPP に次ぐ)電気事業方式が可能であることが判明した。

PPU は、新電力法第9条のa(公共向け電力供給事業)の1種であり PLN のような公共向け電力供給 事業における民間の新規参入者である。

PPU 方式であれば、ASC は SPC 等の第3者から電気の小売供給を受けることができ、また SPC 等の発 電事業者は PLN に電気の一部または全部を売電できる。

PLN に一旦全量を売電し、再び買い戻す方式もあるが、一部売電の場合、SPC→PLN への売電料金は、

BtoB の交渉により決まる。また SPC→ASC の売電料金は、BtoB の交渉により決まり、地方政府の承認が 必要である。

なお SPC 等の第3者が PPU として需要家(ASC)に配電及び電力小売を行うには、新電力法第 10 条(3)

~(5)に基づき、「WU」(Wilayah(区域) Usaha(事業)=事業区域=Business Area)を得る必要があ る。WU の取得は、MEMR、PLN、地方政府(Cilegon 市)と事前に根回しをしておけば、最短2カ月で可 能である。

上記に基づき、最も有力と考えらえる事業モデルは以下の通りである。

①電気事業方式: PPU(Public Power Utility)

・根拠法令: 新電力法(第9条のa等)

②発電事業体: SPC

・発電電力の一部を、SPC から ASC に構内配線を通じて電気を小売供給 ・同時に、発電電力の一部を、SPC から PLN に売電

・AGC/ASC の出資比率: 検討中

(AGC/ASC が SPC の経営をできるだけコントロールできることが望ましいため、AGC/ASC が一 定の出資を行うことが望ましい。)

・他社の出資: 検討中

・JBIC のプロジェクトファイナンス: ヒアリングによれば、以下の条件が整えば可能。

・単なる投資利益のみが目的の投資ではなく、実業目的の投資であること

・発電プラントの O&M は、日本企業または日本企業が株式を保有する等によりコントロール・指導し得る企 業(ASC、または O&M の外注先企業)が行うことが必須。

・特にボイラ、タービン等の主機に日本企業の技術が多く関わっている方が好ましい。なお発電設備等の設 備は、必ずしも日本製である必要はない。

・発電プラントの事業体への出資比率は、日本企業が最低でも全体の 30%以上を占めていること。

・事業運営(の意思決定を含む)に、日本企業が積極的、かつ融資期間を超える長期にわたり継続的に関与 すること。

・SPC 等の採算性の高さも重要な要因。

・オフテイカー(=電気の購入者)が、長期にわたり安定的に電気を購入すること。電力需要家側の本業が

30 年間等の長期にわたり持続的であること。

c) 技術方式

技術方式として、提案時は USC・60 万 kW を想定していたが、前記した経緯により、調査対象プロジ ェクトの技術として、インドネシア産亜瀝青炭の使用を前提に、USC(超々臨界圧)だけでなく、SC(超 臨界圧)、Sub-C(亜臨界圧)、CFB(循環流動層)も含めた検討を行った。

この結果、最も有力と考えられるモデルを、以下に示す。

①規模(発電出力及び小売・売電容量)

・発電出力: 45/60 万 kW

・PPU(SPC)から ASC への小売: 27.5 万 kW

・PPU(SPC)から PLN への売電: 15/30 万 kW(発電プラントの所内消費:2.5 万 kW を除く)

図 3-9 電力システム構成

出典:調査団作成

②技術方式

USC(超々臨界圧)、SC(超臨界圧)、Sub-C(亜臨界圧)、CFB(循環流動層)は、それぞれ以下の特徴 を有する。

ASC

G 電力負荷

PLN の系統: 150kV

通常時

SW

ON SW

OFF

SW

ON SW

ON

ASC

G 電力負荷

PLN の系統: 150kV

定期点検及び非常時

SW

OFF SW

ON

SW

OFF SW

ON

バックアップ

PPU PPU

27.5

kW 15

30

kW

27.5

kW 45/60万

kW

表 3-17 各技術方式の特徴

方式

実用機の単機出力

炭種への適用

性 日本メーカ 発電端熱効 率(HHV)

瀝青炭 使用

亜瀝青炭 使用

USC

(超々臨界圧) 60 万 kW~ 80 万 kW~

瀝青炭、亜瀝 青炭とも可能 だが、後者の 場合は出力下 限が高まる。

MHPS(三菱重工/

日立)、東芝、IHI

日 本 : 90 ~ 110 万 kW : 43% 、 70 万 kW : 42.5% 、 60 万 kW:42%

SC

(超臨界圧) 50 万 kW~ 60 万 kW~

瀝青炭、亜瀝 青炭とも可能 だが、後者の 場合は出力下 限が高まる。

MHPS(三菱重工/

日立)、東芝、IHI。

海外メーカ(特に 中国)とのコスト 競争あり。

日 本 : 50 万 kW:42.5%

Sub-C

(亜臨界圧)

20 万 kW 以 上が主

20 万 kW 以 上が主

瀝青炭、亜瀝 青炭とも可能

IHI は技術・コス トともに優れる。

そ の 他 各 種 メ ー カ、海外メーカ

日 本 : 20 万 kW:41%

CFB

(循環流動層)

IPP 用:15 万 kW 等、自 家発用:1.5

~7 万 kW

同左 幅広い炭種に 適用可能

住友重機械:信頼 性に優れる。コス ト 面 を 含 め る と 海 外 メ ー カ も あ る。

日 本 : 11 万 kW:37.5%

出典:各種資料を基に調査団作成

(備考)

・インドネシア産亜瀝青炭の使用を前提とすると、USC の場合、実用機(稼働中)の出力下限は 80 万 kW 程度(注:インドネシアでの計画は単機 100 万 kW のみ)であり、今回想定している 60 万 kW は 実用レベルではなく、実証レベルとなる。

・インドネシア産亜瀝青炭を使用した SC は、単機 60 万 kW が可能。ただし中国など海外メーカとの コスト競争がある。

・インドネシア産亜瀝青炭を使用した Sub-C、CFB は、今回想定している 40~60 万 kW が可能。

本 FS 調査では、これらの特徴を踏まえ、前記の評価基準からみて総合的に最適と考えられる技術方 式・仕様を提示した。

最も有力と考えられる技術方式と基本仕様は、以下の通りである。

【ケース1】

・技術方式: SC(超臨界圧)

・一般的に、主蒸気温度が 566℃以下を超臨界圧(SC)、566℃超を超々臨界圧(USC)と呼んでい る。本プラントの主蒸気温度は 566℃であるため、定義上は超臨界圧(SC)であるが、いわば USC に近い超臨界圧といえる。

・出力: 60 万 kW×1 基=計 60 万 kW

・PPU(SPC)から、30 万 kW を ASC に小売供給、残り 30 万 kW を PLN に売電

・ASC の電力負荷は基本的に 24 時間であり比較的安定しているため、PLN への売電量は、下記の 定期点検時を除いて安定しており、PLN にとって重要な電力供給源となる。

・定期点検時のバックアップ: PLN から 30 万 kW 相当(ASC の電力需要分)のバックアップを受け る。

【ケース2】

・技術方式: CFB(循環流動層)

・CFB はインドネシアの低発熱量の亜瀝青炭にも適用し得る。

・出力: 15 万 kW×3 基=計 45 万 kW

・PPU(SPC)から、30 万 kW を ASC に小売供給、15 万 kW を PLN に売電

・ASC の電力負荷は基本的に 24 時間であり比較的安定しているため、PLN への売電量は、下記の 定期点検時を除いて安定しており、PLN にとって重要な電力供給源となる。

・定期点検時のバックアップ: 定期点検時には 1 基(15 万 kW)のみ停止し、PLN への売電も停止し、

定期点検時の ASC の所内負荷(30 万 kW)は、残り 2 基(15 万 kW×2 基=30 万 kW)で賄う。

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