エネルギー政策

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第 1 章 相手国・セクターの概要

1) エネルギー政策

(2) プロジェクトの対象セクターの概要

インドネシアの持続的な成長には、道路、港湾、空港等のインフラ整備とともに、エネルギーと電力 開発をどのように対処するかが重要である。インドネシアでは、現在、埋蔵量が枯渇しつつある石油は 石炭やガスへのエネルギーシフトが既に始まっているが、2020 年頃までエネルギーの大半は石炭に偏ら ざるを得ないと予測される。一方で環境汚染は、今後も大きな問題として直面せざるを得ない。この化 石燃料と環境汚染とのジレンマは、インドネシアが幸運にも豊富なエネルギー資源を持っているからで もある。

政府としては、経済成長にあった安定的な電力供給の維持が大きな課題で、更なるエネルギーの多様 化、効率的なエネルギーの利用、エネルギーの価格政策、エネルギー使用に伴う環境問題が大きなエネ ルギー政策の柱となる。インドネシアは広大な国で、エネルギーの供給と需要、そして環境問題を考え る場合には、全体のエネルギー消費の 70%を占めるジャワ島とジャワ島以外という複数のアプローチが 必要である。例えば、ジャワ島以外の電力需要は低いため、農村の電化が一番の課題である。また、地 域にあった再生可能エネルギー源の利用を増やす工夫も必要である。

また、インドネシアの GDP 当たりのエネルギー消費は日本の5倍で、効率的なエネルギーの利用(省 エネルギー)の推進が極めて重要である。特に、最も難しいのが電気料金の値上げをともなうエネルギ ーの価格政策である。省エネルギーについては、教育・広報活動を通じた次世代の若者への啓蒙活動が 大切である。

前ユドヨノ大統領の署名で国家エネルギー政策の基本法が成立した。この政策は、2009 年にエネルギー 法に基づいて設置された包括的な国家エネルギー政策の審議会である国家エネルギー委員会(DEN)に おいて策定されたものである。議長は大統領が務め委員は 15 名(7 名が閣僚、8 名が学術機関、環境問 題専門家、消費者団体及び産業や工学分野の代表者)で構成されている。

新しい政策では、エネルギー供給に占める各資源割合(エネルギーミックス)の数値目標を次のよう に規定している。

石油:2025 年に 25%以下、2050 年に 20%以下とする。

天然ガス:2025 年に 22%以上、2050 年に 24%以上とする。

石炭:2025 年に 30%以上、2050 年に 25%以上とする。

再生可能エネルギー:2025 年に 23%以上、2050 年に 31%以上とする。

図 1-8 エネルギー供給に占める各資源割合(エネルギーミックス)の数値目標

出典:新国家エネルギー政策(New KEN)(2014 年)に基づき調査団作成

また、次のような国家エネルギー政策目標を掲げている。

エネルギー弾性値(エネルギー消費の伸び/経済成長率):経済成長目標に合うよう、2025 年 に弾性値を 1 以下とする。

エネルギー強度(単位 GDP のエネルギー使用量):2025 年までに年 1%で減少。

電化率:2015 年に 85%、2020 年には 100%に近づける。

家庭用ガスの使用率:2015 年に 85%とする。

原子力発電所に対する姿勢:原子力発電は最終的な選択肢と位置づけ、導入の可能性を残した。

長期的には原発の導入が必要という従来からの政府認識を踏襲した形。

資源の輸出:国内で産出する石炭や天然ガスは、国内の需要の増加を見込み段階的に輸出を減 少させ、最終的に完全に停止する。

今後は、新国家エネルギー政策を基に、現在、エネルギー鉱物資源省において国家電力総合計画

(2015-2040 年)が策定中である。また、過去に策定された 2006 年の国家エネルギー政策に関する大統 領令、2010 年のエネルギー鉱物資源省ビジョン 25/25 は見直される。

<参考:国家エネルギー政策に関する大統領令(2006 年)>

国家エネルギー政策の法的根拠を高めるため、2006 年、大統領令として国家エネルギー政策に関する 大統領令が交付された。それによれば、2025 年にはエネルギー弾性値(エネルギー利用効率:エネルギ ー消費の伸び/経済成長率)を 1%未満とする他、石炭、天然ガスおよび再生可能エネルギーの開発を 推進し、一次エネルギー供給量に占める石油の比率を大幅に低下させる予定である。各エネルギー種の 構成比率は、図のとおりである。

図 1-9 大統領令による 2025 年の一次エネルギーミックス

出典:国家エネルギー政策に関する大統領令(2006 年)より調査団作成

<参考:エネルギー鉱物資源省ビジョン 25/25(2010 年)>

ビジョン 25/25 は 2010 年、エネルギー鉱物資源省が独自に発表した計画で、2006 年の大統領令で 2025 年までに 15%としていた新再生可能エネルギーの割合を 25%にすることに大幅に上方修正した。また、

2025 年のエネルギー消費を何の対策も講じなかった場合(約 33 億石油換算トン)と比べ、省エネとエ ネルギー多様化により 15.6%低減するすることとしている。

図 1-10 ビジョン 25/25 による 2025 年の一次エネルギーミックス

出典:エネルギー鉱物資源省ビジョン 25/25(2010 年)より調査団作成

4)バイオ燃料 5%

5)地熱 5%

7)液化石炭 2%

6)その他 5%

新再生可能エネルギー 17%

1)石油 20%

3)石炭 33%

2)ガス 30%

再生可能エ ネルギー

25%

ガス

22% 石炭

23%

石油 30%

b) 主なエネルギー・電力関係の法律

①エネルギー法(2007 年)

2007 年までは、エネルギー全体を網羅する法律がなく、「石油・ガス法」、「電力法」、「地熱法」など により、エネルギー源ごとに個別に管理する体制(法体系)であった。政府は、エネルギー部門全体を 総括的に管理する必要性から、2007 年 8 月 10 日に「エネルギーに関する法律」(エネルギー法)を作成 した。エネルギー法の主要な規定事項は以下の通りである。

政府によるエネルギー資源の管理(統制・規制)

エネルギーの安定供給(輸出より国内供給を優先)

貧困層に対する政府補助金の供与

資源開発の促進(国内調達率の拡大)

国家エネルギー政策の策定

国家エネルギー審議会(DEN)の設立

エネルギー総合計画(RUEN)の作成(全国および地域別)

再生可能エネルギーの供給・利用および省エネルギー実施に対する政府援助

②新電力法(2009 年)

「電力に関する法律」(2009 年第 30 号)(新電力法)が 2009 年 9 月 8 日に制定された。この法律は 1985 年に制定された旧電力法(1985 年第 15 号)を踏襲しているが、電力供給は国が責任を持つ(「電 力供給事業は、国家が管轄し政府が実施する」)としつつ、「電力供給における国家能力の更なる向上の ために国益を害さない限り、その他の国有企業、公営企業、民間、協同組合、市民団体は電力供給事業 を実施するための機会を最大限与えられる」として、民間に参入の道が開かれている。手続き関係では、

従来、エネルギー鉱物資源大臣または大統領の権限であった国家電力総合計画(RUKN)の策定と電気料 金の改定に際して、国会(地方決裁分は地方議会)の承認が必要になった。

もともと 2002 年 9 月に「電気事業に関する法令(新電力法)」が制定され、「競争市場の導入」、「電 気事業の分割・民営化」、「発電と小売部門の自由化」、「PLN による送電・配電系統の管理」、「電力市場 監督委員会の創設と同委員会による送配電料金(託送料金)の決定」、「電力システム管理者と電力市場 管理者の設置」などの実施が定められていた。

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