我が国企業の技術面等での優位性

ドキュメント内 報告書(和文) (Page 169-175)

(1) 想定される我が国企業の参画形態(出資、資機材供給、施設の運 営管理等)

本 FS 調査の対象プロジェクトでは、JBIC のプロジェクト・ファイナンスの活用を目指しており、そ のためには日本企業の主体的な関与が必要不可欠である。また他の出資者や融資機関からの投融資を受 ける際にも、日本企業の主体的な関与は有力な信用材料となる。

具体的には、以下の分野への日本企業の参画が想定される。

1)出資

JBIC によるプロジェクト・ファイナンスや NEXI(日本貿易保険)の海外事業資金貸付保険の対象と なる案件は、一般的に日本企業全体の出資額が総出資額の 30%以上を求められている。JBIC からのヒア リングの際にもその旨言及がなされている。

出資者となり得る日本企業の候補としては、日本の電力会社、商社、及び AGC 等が考えられる。

なお、日本企業以外の海外の出資者の候補としては、海外電力系投資会社(日本企業が出資している アジアの IPP 企業等)、インドネシア国内の事業者などが考えられる。

2)資機材の供給

国内重電メーカには、高度な技術ニーズに応えられる高い技術力・製品開発力を有した企業が多く、

海外に比べ環境対応、省エネルギー、小型化・軽量化といった技術面で優れた競争力を有している。

超臨界圧(SC)発電設備についても、国内において長年に渡り厳しい環境基準の中で技術を形成して きており、豊富な納入実績を有している。最近は海外メーカ(特に中国)とのコスト競争が増している が、技術面での日本企業への信頼度は高い。

超臨界圧(SC)石炭火力設備に関する 2011 年以降の日本メーカの海外での受注実績を見ると、東芝 がインド・韓国、日立製作所(現:三菱日立パワーシステムズ)がインド、三菱重工(現:三菱日立パ ワーシステムズ)が台湾から受注するなど、着実に受注を重ねている35

一方、CFB(循環流動層)ボイラは、元々欧米の企業によって開発・商品化され、フォスター・ウィー ラ(Foster Wheeler)及びルルギ(Lulgi)が2大企業であり、このほかクバーナ(Kvaerner)、バッテ ル(Battelle)、ドイツ・バブコック・ウイルコッコク(Germany Babcock Wilcock)等の企業がある。

日本企業は、欧米企業から技術供与を受けて流動層ボイラを製作しており、主要な企業として、住友 重機械(技術提携先:フォスター・ウィーラ)、三菱重工(同:ルルギ)、三井造船(同:バッテル)、FJK(同:

シュタインミューラ)等がある。

海外の2大企業(フォスター・ウィーラ社、ルルギ社)の 1985~2006 年の世界での受注実績(蒸発量 150t/h 以上)は計 116 件であり、一方日本の主要4社の 1989~2007 年の内外での受注実績(蒸発量 150t/h 以上)は 20 件である。このように、日本企業の受注実績は海外の2大企業に比べ少ないが、最近では 2013 年に住友重機械がインドネシアのアンタム社から低品炭を活用した CFB 石炭火力を受注するなど、

堅調に活動しており、専門家ヒアリングによれば、日本企業の技術的信頼度の高さには定評がある。

35 経済産業省「重電機器産業について」(2012.5)

3)施設の運営管理

JBIC は、海外投資金融の一般的な条件として、発電プラントの O&M を、日本企業(または日本企業

(AGC/ASC を含む)がコントロールできる信頼に足る現地企業)が行うことを求めている。

O&M を行う日本企業の候補としては、日本の商社、電力会社、重工メーカ系プラントサービス会社等 が挙げられる。

図 8-1 想定されるプロジェクト・スキーム

注:橙色の網掛部分: 日本企業または日系企業の関与が期待される分野 水色の網掛部分: 日本の公的機関

出典:調査団作成 発電会社

SPC) 売電先

(PLN)

売電先

(ASC)

JBIC

融資 出資

日本の銀行 海外の銀行等

日本企業(商社、電力 会社等)

日本企業(AGC)

海外電力系投資会社 現地企業

設計・調達・建

設(EPC) 運営・管理 石炭の供給

プロジェクトコーディ ネータ(商社等)

製造(メーカ)

投資

保険 NEXI

(2) 当該プロジェクト実施に際しての我が国企業の優位性(技術面、

経済面)

1)技術面での優位性

日本企業は、超臨界圧発電設備及び CFB 発電設備について、技術面において、外国企業に対する優位 性を維持していると考えられる。

国内において長年に渡り厳しい環境基準の中で臨界圧/CFB 発電に関する技術を形成してきており、本 邦企業による発電設備の技術水準は世界でも高い水準にあり、豊富な納入実績を有している。

コスト面ではアジア企業との競争があるが、技術面での日本企業への信頼は維持されている。

日本国内では、地方公共団体が別途規定する条例等のため欧米よりも厳しい環境基準を満足させる必 要があり、このため発電技術は成熟しているといえる。

国内の発電技術は、プラント性能だけでなく、高度な自動化運転や高い設備稼働率など運用保守技術 も世界において高い技術水準にある。日本企業は、顧客要求に対応することにより、運用保守支援シス テムを確立している。

また日本企業は、優れたソフトウェア技術を利用し、競争力のあるインフラシステムを提案すること ができる。

日本企業は、環境負荷低減や省エネルギーの分野でも優れた競争力を有している。特に、国内市場に おける主要な顧客である電力会社への対応で培ってきた技術力を背景に、海外の顧客からも高い信頼を

得ることに成功している。

2)経済面での優位性

a) 欧米の石炭火力発電所に対する融資制限

欧米の公的機関において、石炭火力発電所への公的融資支援を制限する動きが広がっている。

①オバマ大統領気候変動行動計画

・2013 年 6 月 25 日、オバマ大統領が「大統領気候変動行動計画」を発表。気候変動の挑戦に対す る米国のイニシアティブについて以下のとおり規定。

・海外の石炭火力新設に対する米政府公的支援の終了。ただし(a)経済的な代替手段がない最 貧国における最高効率の石炭火力技術、もしくは(b)二酸化炭素分離・回収・貯留(CCS)技 術を導入する場合は除く。

・他国や多国間開発銀行に対し、早急に同様の措置を取るよう求めていく。

②オバマアクションプランの影響 A. 米国

・米財務省は 2013 年 10 月「途上国での石炭火力における MDB の関与についての米国の立場に対す るガイダンス」を発表(新設石炭火力への融資要件に CO2 排出基準値(500g-CO2/kWh)を設定、

CCS 導入要請 等)。

・米輸銀も 12 月オバマアクションプランに沿った新たな融資ガイドライン発表。

・他国にも呼びかけを実施、9 月に北欧諸国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウ エイ、スエーデン)と共同で海外の新設石炭火力向け公的金融支援取りやめにかかる共同声明発 出。11 月には英国も同調の意を表明。

B. MDB(Multilateral Development Banks)

・世銀グループは 7 月、エネルギーセクター支援方針において、新設石炭火力への融資を石炭以外 に経済的な選択肢がない場合に限るという厳しい融資方針発表。

・EIB も 7 月、新設火力への厳しい融資条件を含む化石燃料発電案件の選定・評価基準を採択

(550gCO2/kWh の排出原単位基準導入)。

・EBRD も 12 月、エネルギープロジェクトにかかる新たな貸付方針(他に経済的に代替可能なエネ ルギー源の選択肢がないようなきわめて希少なケースを除き、新設石炭火力支援を行わない)を 採択。

JBIC に確認したところ、上記の動きは、直接的には輸出金融(輸出信用)に限ったものである。輸出 信用における石炭火力の扱いについては、現在 OECD 輸出信用ガイドライン(アレンジメント)の改訂 に向けた検討が行われており、ここ1年程度で結論が出る見通しである。結論が出れば、日本政府も JBIC も基本的にはこれに従う見込みとのことである。

一方、投資金融については、輸出金融とはまた別の世界であり、オバマイニシアティブの直接的な影 響は少なく、超臨界圧(SC)はもちろんのこと、循環流動層(CFB)でも特に問題はないとのことであ る。但し、CFB であってもより高効率を目指すことは好ましいとのことである。

いずれにしても、こうした動きが今後どのように展開するか、引き続き注目を行う必要がある。

ただし、今後途上国を中心にエネルギー需要が急増する中、供給が安定し、経済性に優れた石炭火力 発電を国家計画として選択する国は多く、石炭利用の一層の拡大が見込まれている。このため、途上国 各国のエネルギー事情もあり、石炭火力を導入する選択肢を閉ざすのは困難と考えられる。

インドネシアでも、電力供給の不足により電力需給問題が深刻化しており、国内産の豊富な石炭を用 いた石炭火力発電の建設を、国を挙げて推進している。

一方で、SPC への出資者や融資機関の理解を得やすくするためにも、可能な限り高効率・低炭素排出 型で、環境に優しい石炭火力を導入することが望ましいと考えられる。

b) 日本政府、政府系機関の取り組み

日本政府は、石炭火力発電所を含むインフラシステム輸出支援と戦略的な経済協力を謳い、我が国企 業のインフラシステム海外受注額(事業投資による収入額を含む)を、2020 年に約 30 兆円とする目標 が設定された。

経済産業省では、個別案件の受注促進のため、案件発掘の段階からファイナンス段階に至るまで、一 貫した支援を実施すべく、具体的な経済協力ツールを有する機関との連携を強化している。

JICA も 2012 年 10 月、開発途上地域において民間企業が実施する事業への出資・融資による支援を 行う海外投融資機能を、約 10 年ぶりに再開したほか、インドネシア政府と協力して、インドネシア国 内に高効率石炭火力発電技術を普及するプロジェクトに取り組んでいる。

このように、日本政府は国をあげてインフラシステム輸出支援に取り組んでおり、資金調達面を含め て、本プロジェクトにとっても心強い味方になると考えられる。

ドキュメント内 報告書(和文) (Page 169-175)