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燃料調達

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 106-115)

第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討

5) 燃料調達

以下では、対象プロジェクトにおいて供給可能な炭鉱についての検討を行う。

a) インドネシアの炭鉱概要

記述の通りインドネシアには CCoW 炭鉱および IUP 炭鉱があり、表 3-6 には CCoW にある 3 つの世代の 炭鉱と国営炭鉱の生産量を示している。同表からわかるように国営炭鉱 PTBA と CCoW の生産量の合計は 全体の 70%に達する。わずか 50 炭鉱の合計が数千の IUP 合計よりも多いのである。

表 3-6 CCoW および国営炭鉱(PTBA)の生産量推移12

出典:鉱物資源総局発行 鉱物資源統計資料

12 2012 年度の統計につき総生産量が 3.8 億トンと記載されているが、2013 年度は 4.2 億トンを超え、2014 年度はさらに 増加する見込みとなっている。インドネシアにおける石炭生産量は 2014 年上半期速報値では 213 百万トン/6 カ月とロイ

(千トン)

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

PTBA 8,606 9,292 8,555 10,099 10,830 11,919 12,389 13,728

Adaro Indonesia, PT 26,686 34,368 36,037 38,482 40,590 42,199 47,667 46,779

Allied Indo Coal, PT 169 51 85 72 0

Arutmin Indonesia, PT 16,757 16,234 15,394 15,735 19,298 20,426 22,832 27,379

Berau Coal, PT 9,197 10,533 11,811 13,052 14,336 17,383 19,444 20,999

Indominco Mandiri, PT 5,752 10,302 11,455 10,797 12,396 14,252 14,765 12,031

Kartim Prima Coal, PT 32,000 35,301 38,754 36,288 38,154 39,951 40,452 39,217

Kideco Jaya Agung, PT 18,217 18,900 20,541 21,900 24,692 29,049 31,395 34,649

Multi Harapan Utama, PT 2,060 1,074 1,080 1,872 1,528 1,832 1,311 1,174

Tanito Harum, PT 2,100 2,710 2,690 2,557 3,239 3,513 2,469 3,284

1世 代 112,938 129,473 137,847 140,755 154,233 168,605 180,335 185,512

Antang Gunung Meratus,PT 1,029 75 310 378 548 745 1,404 3,201

Bahari Cakrawala Sebuku, PT 3,000 3,495 3,382 3,531 1,982 1,104 1,509 636

Borneo Indobara, PT 496 871 1,219 1,182 1,118 2,754 3,650

Jorong Barutama Greston, PT 3,475 3,092 2,676 2,419 3,132 903 1,426 1,280

Kartika Selabumi Mining, PT 1,200 1,110 601 207 263 287 42

Mandiri Intiperkasa, PT 1,082 1,165 1,854 1,995 2,451 2,979 3,074 2,424

Marunda Graha Mineral, PT 829 1,367 1,452 1,446 932 1,341 963 670

Riau Bara Harum, PT 570 917 726 466 1,265 2,218 1,551 716

Trubaindo Coal Mining, PT 5,000 4,284 3,555 4,544 5,183 5,545 7,021 7,539

2世 代 16,185 16,001 15,427 16,205 16,675 16,216 19,989 20,158

Asmin Coalomdo Tuhup 216 1,740 2,857 2,521

Bangun Banua Persada Kalimantan, PT 138 276 346 254 605 942 911

Baramarta, PD 1,286 2,256 3,723 4,335 3,252 2,527 4,433 3,689

Bara Sentosa Lestari 4

Batu Alam Selaras PT 54 39

Baturona Admulya 280 525 1,021

Baramulti Suksessarana, PT 27 0

Dhama Puspita Mining 675 442 139 0

Firman Ketaun Perkasa. PT 23 311 494 1,265 2,496

Guning Bayan Prartama Coal PT 4,300 5,156 4,532 3,459 4,142 4,053 3,458 3,776

Insani Bara Perkasa, PT 350 88 178 772 1,007 2,249 4,222 4,421

Intitirta Perima Sakti, PT 0

Indexim Coalindo 122

Interex Sacra Raya, PT 196 158 112 93 85

Kadya Caraka Mulia, PT 167 434 335 239 121 46 228 255

Kalimantan Energi Lestari. PT 600 127 66 13

Lianggan Cemerlang, PT

Lana Harita Indonesia, PT 5,752 1,685 1,480 1,302 1,397 1,977 2,239 2,861

Mahakam Sumber Jaya, PT 2,304 2,926 2,936 3,058 4,537 5,303 7,983 9,250

Multi Tambang Jaya Utama. PT 90 357 641 449

Nusantara Temal coal, PT 208 930 2,264 920 1,446 1,118 718

Perkasa Inakerta, PT 523 1,144 2,012 2,685 3,129 2,226

Pesona Khatulistiwa Nusantara PT 56 712 1,300 1,217

Pendopo Energi Batubara PT 440 6 5

Sumber Kurnia Buana, PT 1,298 1,341 1,526 1,018 1,305 720 908 502

Santan Batubara PT 1,249 1,992 1,725 2,400

Senamas Energindo Mulia PT 18 49

Singulurus Pratama Coal PT 478 1,095 1,748 1,706

Tanjung Alam Jaya, PT 1,587 1,466 1,465 1,654 1,028 958 811 785

Teguh Sinar Abadi, PT 209 1,021 1,092 1,290 927

Wahana Baratama Mining, PT 772 2,887 2,574 4,234 3,627

3世 代 18,346 16,463 18,267 20,810 27,101 33,377 44,913 45,436

コ ン ト ラ ク タ ー 計 147,469 161,937 171,541 177,770 198,009 218,198 245,237 251,106

KPとIUP、その他 9,518 25,310 36,834 52,363 45,615 45,052 95,645 121,065

165,593 196,539 216,930 240,232 254,454 275,169 353,271 385,899

b) 供給可能な炭鉱の選定

発電所建設は、建設予定地においてどの発熱量の石炭を用いるのが有利かを見極めた上で石炭のスペ ックと発電設備の規模とのマッチングを図ることになる。13

ここでは、中長期的に安定的な供給確保可能性を重視し、

ケース 1: 既存 PLN 発電所同様の発熱量 5,000kcal/kg の石炭使用

ケース 2: 今後の主流となる 4,200kcal/kg の石炭使用 の 2 ケースについて検討を行うこととする。

①ケース1: 既存 PLN 発電所同様の発熱量 5,000kcal/kg の石炭使用

インドネシアでは従来から発熱量 5,000kcal/kg の石炭を利用した発電が行われてきた。そのため、

この品質の石炭の入手は容易(炭鉱数が多いため選択子も多い)であり安定的な供給確保が得られる可 能性が高い。また、同品種での各種設備の性能や耐久性も検証されているため設備上の問題は発生しに くいと考えられる。

石炭に関するスペックが決定している場合においては、独自に石炭銘柄を選出する作業を行うことも 可能であるが、ここでは近隣に存在する 5,000kcal/kg の石炭を燃焼させている発電所の現状を調査し、

そこで用いられている石炭に関する情報を記載することにした。仮に同様なスペックの発電所を建設し た場合、その発電所にとって最も安定的に石炭が確保できる方法でありなおかつ安価な石炭銘柄である と判断したからである。

事例研究)スララヤ発電所に関する情報

図 3-4 スララヤ発電社全景(写真)

出典:インドネシアパワー提供資料

PLN 子会社にインドネシアパワー社がある。この会社は、ジャワ島北西の海岸部に発電所を保有し発 電を行っている。以下インドネシアパワー社スララヤ発電所から得た情報を記す。

13 また、供給可能な炭鉱を選定、決定するためには、

・購買価格:現行 CIF 価格・過去の値上げ状況

・石炭供給可能量:資源量・埋蔵量・現行販売量から推定

・品質:発熱量・全水分・全硫黄・灰分

・信用:会社規模・賞罰

等の各側面からの詳細検討を行う必要がある。

表 3-7 スララヤ発電所概要

スペック等 利用石炭発熱量 GAR

ユニット数 7 1~4 号機:400MW , 5~7号機:600MW 5,000kcal/kg

ユニット数 1 8 号機:600MW 4,200kcal/kg

出典:インドネシアパワー提供情報

ボイラ型式:亜臨界圧自然循環ボイラ(1~7 号機:カナダ 、8 号機:中国)

環境設備:電気集塵器のみ(脱硫、脱硝なし)。150℃の排ガスの熱利用を考えている最中であ る。

PLN 全体の石炭消費量(調達量)は 16 百万 t/年で、このうちインドネシアパワー社の調達量は 11 百万 t/年。調達方法は Open Tender で実施する。前回 Tender 落札価格は CIF US$65~66/t。

インドネシアパワー社の石炭調達契約は長期契約(10 年)と中期契約(3 年)から構成され、価格 は年ごとに決める。長期契約銘柄は、国営炭鉱 PTBA 社 4 百万t/年、民間炭鉱 Berau 社 2 百万t /年、民間炭鉱 Adaro 社 1 百万t/年で残りの 3-4 百万t/年が 3 年契約。

石炭の購入先は表 3-8 のとおり。現在は 5,000kcal/kg の発熱量の石炭を使っているが今後 8 号 機にはスマトラ島の低品位炭を利用する方向にある。それは、高品位炭の減少が予想されるた めである。

表 3-8 インドネシアパワー社 石炭購入先一覧表

出典:インドネシアパワー提供情報

主な要求品位は下記の通り。(その他炭鉱側への要求項目は表 3-9 参照のこと。)

・ CV4,800~5,000(GAR) → 逆に GAR 5,000 を超える品位は不要。

・ Ash Max 5%

・ Sul Max 0.4% → 発電所が住宅地に近いため最も重要項目

炭鉱名 使用石炭量

t/年 発熱量(Kcal/Kg) GAR 比率(%)

PT. Bukit Asam (略称:PTBA) 5,000,000 5,000 41.92%

PT. Berau Coal 1,500,000 5,000 12.58%

PT. Kideco Jaya Agung 1,000,000 4,900 8.38%

PT. Adaro 1,500,000 5,000 12.58%

PT. Cenko 480,000 5,000 4.02%

PT. Oktasan Baruna Persada 480,000 5,000 4.02%

PT. Natuna Energi Indonesia 480,000 5,000 4.02%

PT Pln Batubara 1,200,000 5,000 10.06%

Spot 288,000 5,000 2.41%

合計(年間使用数量) 11,928,000 100.00%

・ HGI 47~55(最大 62) → HGI 高いと詰りの問題を起こす為。

最大値 62 はミル負荷の最大値。

・ AFT(IT) Min 1,180℃

表 3-9 炭鉱側への要求項目一覧表

品質項目 スペック

- Gross Calorific Value kcal/kg(as received) <5.000 Kcal/kg

- Hargrove Grindability Index > 48

- Total Moisture (as received) < 28 %

- Ash Content (as received) < 5 %

- Sulphur Content (as received) < 0.4 % - Ash Fusion Temp. (Initial Deformation) > 1.150 °C

- Nitrogen (as Received) > 1 %

- Slagging Index karakteristik Ash bituminous < Medium - Slagging & Fouling Index karakteristik Ash Lignitic < Medium

Size

Ø 98 % 70 mmUnder < 50mm

Ø 10 % 2.38 mmOver < 2.38 mm

出典:インドネシアパワー提供情報

港湾荷揚げ施設に関しては下表に示す通り。

表 3-10 港湾荷揚設備

桟橋 用途 長さ m 喫水 m 施設

Jetty 1 Self Unloading Vessel 160 11.5 コンベア 2×2000t/hr

Jetty 2 General Vessel 330 14.5 コンベア 2×3500t/hr

SPOJ 1 Coal Barge 160 9 コンベア 1×1000t/hr

SPOJ 2 Coal Barge 臨時桟橋 ブルドーザー等

出典:インドネシアパワー提供情報

その他情報

・ ジョコウィ新大統領は 5 年以内に 35,000MW の電源開発を行うことを決定。石炭火力を主力 とする発電所の増設を公表している。(石炭火力を選定した理由は最も経済性・価格競争力 があることが理由)

政府(PLN) 15,000MW IPP 20,000MW 合計 35,000MW

・ スララヤ発電所には石炭混合設備がない。混合作業は石炭供給者側が実施している。

・ 新規銘柄の燃焼性試験は第三者検定会社(Interteck)に外注している。炭鉱調査(埋蔵評価) は JT Boyd を起用している。

インドネシアパワー社が購買している石炭のうち上位 4 社は、国営企業 1 社、CCoW 各社で構成されて いる。国営炭鉱である PT.Bukit Asam(PTBA と称す)は南スマトラ州に位置しており、南スマトラ州か ら鉄道でスマトラ島最南端まで運搬し、大型船で国内外に輸送している。PLN がこの石炭を最も利用す るのは国営炭鉱であることが理由である。PT.Adaro は南カリマンタンに位置し、出炭量ではインドネシ ア最大の炭鉱である。また、PT.Berau Coal は北カリマンタンに位置している。いずれも表 3-6 に記載 されている大炭鉱である。

アニエール火力発電所に対する石炭を選定する場合、スララヤ発電所の購買先は参考になる。とくに 大手 CCoW(PT.Adaro、PT.Berau Coal、Kideco Jaya Agung)からの購入であれば供給が途切れることは 想定し難い。PT 炭鉱に加えて、PT.Aruthomin 社を加えた位置図を図 3-5 に示す。ただし、国営炭鉱で ある PT.Bukit Asam(PTBA)は除外した。ここは国内の発電所への供給を行っており生産―供給がタイト であると判断できるからである。

図 3-5 スララヤ発電所までの輸送路

出典:JCOAL 提供資料・情報に基づき調査団作成

各炭鉱に関するデータシートを表 3-11 に示す。同表は、アニエール発電所に供給可能な炭鉱を選定 しているものである。上段に 5,000kcal/kg(GAR)の発熱量の石炭を銘柄ごとに 7 炭鉱示している。この うち、安定供給の観点からメインとなる炭鉱を上側に示し、スポットとなる可能性のある炭鉱を下側に 示している。いずれの炭鉱についても、確保している石炭埋蔵量に関してはアニエール火力発電所の操 業に支障をきたすものではないことが分かる。表中の CIF 価格は、HPB 価格に本船輸送費を加算したも のである。HPB 価格は河口で本船渡しの価格であり、発生元かららジャワ島まで運搬する費用を加算す る必要がある。これは表 1-18 および図 3-5 を参照すると次の式となる(2100km の運搬の場合)。

2100km=スララヤ発電所から PT.BerauCoal までの距離。

また、図 3-6 に、これらの炭鉱の位置図を示す。ここには下記のケース 2 でとりあげる炭鉱も記載し ている。

②ケース 2: 今後の主流となる 4,200kcal/kg の石炭使用

低品位炭を利用することは、枯渇する瀝青炭―亜瀝青炭からのシフトをしてゆく意味で、インドネシ アにとって将来に向けた大きな課題となっている。PLN は近年、発電用の低品位炭を 4,200kcal/kg の石 炭としており、スマトラ島での IPP 発電事業者への仕様書においても 4,200kcal/kg としているなど、

今後同クラスの石炭使用が主流となる流れがある14,15

この様な背景より、今後は 4,200kcal/kg クラスの新規炭鉱開発が進む見通しであり、このため中・

長期的に同クラスの石炭に関しては定供給の確保が得易いと考えられる。

表 3-11 の下段には発熱量 4,200kcal/kg の石炭を抽出している16。ケース 1 で抽出した大手炭鉱中に も低品位炭を販売している炭鉱があることがうかがえる。ただし、価格に関しては HPB 価格に記載され ているものが少ないため、5,000cal/kg の石炭よりも流通量は少ないと判断できる。

5,000kcal/kg の石炭と同様に、メインで用いる燃料は大手炭鉱から購入するほうが操業は安定するた め、例えば Adaro 社 Arutmin 社等の 1,000km 以内の炭鉱の銘柄を基本に運転を考える等の選択肢が検討 対象となり得るものと考えられる。その中に安価なスポット炭を少しづつ投入する方向が望ましい。

この発熱量の石炭は、現在はまだ市場に供給されている銘柄は少ないがエネルギー鉱物資源省以下、

インドネシアをあげて用いようとしている発熱量の石炭であるため、今後銘柄は増加していき潤沢な選 択肢となるものと考えられる。

14 第一次クラッシュプログラムにおいて PLN が開発を担ったすべての石炭火力発電所(PLN 保有発電所整備計画における 総発電量計画は 10,000MW であり 2009 年までには整備が終了する計画であったが、2014 年現在で約 5,300MW の進捗状況 となっている。)では、4,500kcal/kg 以下の低品位炭の使用が義務付けられている。

15 第3章 (3) 5)「事例研究)スララヤ発電所に関する情報」で取り上げたスララヤ発電所 8 号機も上記計画に含まれて いる。(なお、この 8 号機は中国製の亜臨界仕様の機器であり、これまで、運転に相当の不具合を起こしている模様であ る。

16 JCOAL が保有する炭鉱のデータより抽出

ドキュメント内 報告書(和文) (ページ 106-115)