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運輸・旅行サービス

3. 品目別 BtoB の現状と展望

3.12. 運輸・旅行サービス

保険サービスでは、先に述べたように情報提供へのインターネット利用は考えられるが、

契約行為をネット上で行うことは、リスクが大きいため、今後とも契約行為がTCP/IPベ ースのシステムで行われることは難しいと考えられる。

以上のことから、金融・保険サービスは大手銀行のWebBanking を中心に TCP/IPベ ースの電子商取引が進み、市場規模を拡大するものと予測される。

表 3-22「金融・保険サービス」BtoB電子商取引市場規模・電子商取引化率調査比較

 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 EC 市場規模(億円)   40  80  150 300 570 1,090 

今回調査 

EC 化率    0.01% 0.02% 0.05% 0.09% 0.16% 0.31% 

EC 市場規模(億円) 10 20  40  80 180 350    前回調査 

EC 化率  0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.1%   

0 200 400 600 800 1,000 1,200

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年

前回調査 今回調査

0%

0%

0%

0%

0%

0%

0%

0%

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年

前回調査 今回調査

図 3-21「金融・保険サービス」BtoB電 子商取引市場規模調査比較(単位:億円)

図 3-22「金融・保険サービス」BtoB電 子商取引化率調査比較

る。

「運輸・旅行サービス」におけるBtoB電子商取引市場規模は、海運サービス市場は寡 占市場であるため積み上げで推計し、海運サービス以外は、EC化率より算出した。海運 サービスのBtoB電子商取引市場規模は約520億円(EC化率1.5%)と推計され、海運 サービス以外はEC導入率が約8.6%、EC利用率が約26.7%と推計され、電子商取引化

率は約2.3%、BtoB電子商取引市場規模が約5,080億円となる。

「運輸・旅行サービス」では、そのEC利用率の高いところでは、旅行予約eマーケッ トプレイスがほぼ 100%となっているものの、大手航空会社、大手旅行会社などでは、7

〜10%と低い。旅行サービスは、大手旅行会社を中心に、大手ホテル、大手航空会社、大 手鉄道会社、大手バス会社などで従来型EDIが普及しており、TCP/IPベースの電子商取 引は限定的な利用に留まっている。運輸サービスでも同様の傾向が見られ、これらを考慮 した結果、本品目におけるEC利用率は、26.7%となった。

「運輸・旅行サービス」の2002年BtoB電子商取引における市場規模は、前年の5,500 億円と比較すると約1.8%の増加となるが、前回調査の2002 年予測値9,900 億円と比較 した場合は大きな乖離がある。乖離している理由として、運輸・旅行サービス全体の市場 規模が昨年より約 1.3%減少していることと、情報参照のみのBtoB を電子商取引市場規 模から省いたことが挙げられる。特に、旅行サービスでは、空席、空室情報のみをウェブ で参照し、予約は電話/FAX を使う場合が非常に多く昨年度の予測を大幅に下回る結果 となった。

表 3-23「運輸・旅行サービス」BtoB電子商取引市場規模

前回調査 今回調査  品目  2001 年 2002 年(予測)  2002 年 EC 化率  運輸・旅行業界(陸運、海運、

航空、宅配、倉庫、旅行手配、

観光等) 

5,500 億円 9,900 億円 5,600 億円 2.20%

3.12.2. 運輸・旅行サービス〜2002 年の動向・背景

運輸サービスの2002年は、国土交通省の調べによると、設備投資、公共投資の大幅な

落ち込みにより、昨年より総輸送量が約 2.8%減り、売上ベースの市場規模は約 1.3%減 少している。その中で、大手船会社による海外航路取引高やBtoCオンラインショッピン グに伴う宅配需要などが堅調で昨年度水準より若干ながら上回る結果を残している。

大手船会社では従来型 EDI を含めた電子化はほぼ 100%可能な状態にあるが、中小の 海貨事業者および荷主企業のEC化率は低く、大手船会社では、それらの企業の電子化を 補うインフラとして電子商取引を利用している、そのため、全体の取扱高から見た場合の 規模は小さく、電子商取引化率では約2%に留まっている。海運業界における国際競争力 の低下は、日本港湾そのものにあり、港湾利用にかかる費用は近隣諸国と比較し 30%以 上高く、電子化においても、電文と紙の混在、港湾EDIやNACCS、TEDIなどへの複数 入力、国際標準非対応といった諸問題を抱えている。現在、政府や(社)港湾物流情報シス テム協会、(社)日本ロジスティクスシステム協会などが中心となり、港湾コストの削減、

手続きの簡易化、100%電子化に向けた標準化作りを進めている。

宅配サービスでは、増加傾向にあるオンラインショッピングによる宅配市場を拡大する ために、宅配業者はより多くの大手BtoCオンラインショッピング会社と専属契約を結べ るかが課題となっている。BtoCオンラインショッピング会社側も商品が購入者の手に届 くまでがサービスであると考え、宅配業者の選定には神経を使っている。宅配業者選定に は、価格と品質が重視されており、単価の低い商品を扱う企業では、価格を、食材や精密 機器、高級品などを扱う企業では、品質を重視する傾向が強い。

また、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)といった企業の物流業務の代行する アウトソーシング市場もBtoB電子商取引市場として注目されている。3PLでは、荷主企 業を支援するために、輸送業務だけでなく、在庫管理や入出庫管理、配送状況など取引先 企業と情報を共有するシステム連携が欠かせない。

旅行サービスは、9.11事件や景気低迷化の影響もあり、主要旅行会社および主要航空会 社のここ数年の売上は横ばいもしくは減少傾向にあり、ビジネス用途に関しては減少傾向 にある。その中で、企業の出張者をターゲットとした企業向け旅行予約サイトのBtoB電 子商取引や旅行予約eマーケットプレイスの売上が年率150-200%といった水準で伸びて

いる。また、ユーザー企業側で旅行手配業務を一括してアウトソーシングする動きも見ら れ、旅行手配業務のアウトソーシング会社におけるBtoB電子商取引の市場規模も同様の 伸び率で増加傾向にある。

旅行サービスは、航空会社や大手旅行会社を中心に80年代からBtoBの電子化が進み、

現時点では、ほとんどの BtoBはEDI によって電子的に処理されている。しかし、これ らのEDI は、各企業独自の方式を採用しており、プロトコルや電文フォーマットも標準 化されたものではない。そのため、多くの企業と広くBtoB電子商取引ができる環境には ない。

大手航空会社、大手旅行会社を中心に、チケット予約や旅行予約まで行うウェブサイト が企業向けに提供され始めているが、主に自社独自の出張申請システムを保有していない 中小企業が利用しており、大手企業の利用は進んでいない。そのため、BtoB電子商取引 の売上は、BtoB売上全体の数パーセント程度に留まっている。

今後、個人旅行型の需要が増加するとともに、かけこみ予約や変更といったリアルタイ ム性がBtoB電子商取引にも要求されるようになるが、現状では、ウェブサイトで受け付 けた予約を他社EDI システム端末に入力したり、システム化されていないホテルや旅館 には電話/FAX で予約を入れたりと、途中多くの手作業が発生している。旅行サービス のBtoB電子商取引の市場規模拡大には、標準化されたプロトコルや電文フォーマットが 不可欠であり、現在、旅行電子商取引促進機構が中心となり標準化を推進している。

3.12.3. 運輸・旅行〜将来予測

運輸・旅行サービスのBtoB電子商取引市場規模は、2007年に約4兆9,300 億円に拡 大し、電子商取引化率では約17.5%に達する見込みである。

運輸サービスでは、今後、通販や BtoC オンラインショッピングサイトと宅配業者間、

3PL企業を中心とした倉庫・運送業者間でBtoB電子商取引市場規模の拡大が見込めるが、

大幅な市場規模拡大の可能性は低いと思われる。一方、旅行サービスでは、現在検討中の 旅行電子商取引標準の普及とともに、旅行代理店、航空、鉄道、ホテル、旅館などのBtoB

電子商取引市場規模が大幅に拡大することが期待される。

運輸サービスでは、現在、海運の港湾手続きの電子化に関して政府が「行政手続シング ルウィンドウ」の導入を進めており、複数省庁への同様書類の提出の一本化を2003年7 月開始予定で進めている。また、港湾手続き完全電子化2006年本格稼動を目指し、シン グルウィンドウシステムと民間システムとの相互連携も検討を開始する予定である。港湾 手続きの電子化では、韓国、シンガポールで100%電子化が政府の指導のもと義務化され ており、競争力を高めている。アジア−米国ルートのシェアで日本は約9%、それに対し 中国・香港は約 62%に到っている。今後、近隣諸国に対抗し得る競争力を付けるために は、完全電子化、官民ネットワークの連携、手続きの簡素化を三位一体で実現していく必 要があり、軌道に乗るまでの政府の強力な支援・指導が必要と思われる。特に完全電子化 においては、XML標準を策定した後の荷主企業の採用率が問題視されており、政府の指 導力に期待が寄せられている。

旅行サービスでは、旅行電子商取引促進機構が中心となり、(社)日本旅行業協会、(社) 国際観光旅館連盟や旅行、ホテル、旅館、鉄道、レンタカー、チケット販売の各会社を取 りまとめ、旅行サービスにおけるBtoB電子商取引のための標準化を策定している。2003 年度末までには、実務レベルの実証実験を行い、2004 年度からの本格導入を目標として いる。具体的な標準化動向には、(社)日本旅行業協会とXML コンソーシアムが共同で標 準化を進める「Travel XML」が2003年8月完成を目指しており、旅行サービス全体の 電子化に向けた基盤作りが始動している。これらの動向から2004年度以降、徐々にBtoB 電子商取引市場規模が拡大する可能性があり、2004 年以降の推計では、これらを考慮し た数値を算出している。

旅行サービスの 2003 年度に関しては、イラク戦争、SARS(重症急性呼吸器症候群)

の影響により、旅行サービス全体の市場規模が減少し、旅行サービスにおけるBtoB電子 商取引の市場規模にも影響があると予測している。