4. 品目別 BtoC の現状と展望
4.4. 書籍・音楽
ゲーム市場については、JavaTM対応端末の一層の普及・浸透と、ベアラの高速化に伴 うネットワーク対応ゲームの普及により、さらなる成長が期待される。
イベントチケット販売については、携帯電話に電子チケットをダウンロードし、イベン ト会場において、赤外線通信等で認証を行う試みが始まっており、これが定着化すること により、携帯電話によるチケット購入が広く浸透する可能性がある。
表 4-6「エンタテイメント」BtoC電子商取引市場規模・電子商取引化率予測
2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 EC 市場規模(億円) 1,920 4,200 6,600 8,600 10,600 12,300
今回調査
EC 化率 1.63% 3.6% 5.5% 7.1% 8.6% 10.0%
EC 市場規模(億円) 1,090 2,620 4,650 6,890 9,320 11,240 前回調査
EC 化率 0.92% 2.2% 4.0% 5.8% 7.6% 8.9%
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 前回調査
今回調査
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 前回調査
今回調査
図 4-5「エンタテイメント」BtoC電子商 取引市場規模調査比較(単位:億円)
図 4-6「エンタテイメント」BtoC電子商 取引化率調査比較
引化率は1.97%となっている。
表 4-7「書籍・音楽」BtoC電子商取引市場規模
前回調査 今回調査 品目 2001 年 2002 年(予測) 2002 年 合計 EC 化率
310 億円 書籍・音楽
書籍 音楽
340 億円 640 億円
310 億円
620 億円 1.97%
4.4.2. 書籍・音楽 〜2002 年の動向・背景
書籍のネット販売は、日本において早くから電子商取引が浸透している分野であり、大 部分の大手書店がネット販売市場に取り組んできていたことから、競争の激しい分野でも あった。こうした競争分野の中にあって順調に売上を拡大している企業もある一方で、ネ ット上での書籍販売から撤退する事業者も出てくるなど、2002 年は 2001 年よりもプレ ーヤーごとの事業展開に差がはっきりと現れてきた年でもあった。
ネットでの書籍購入者層が拡大するのに伴い、ネット販売事業者も利用しやすさを追求 して新しいサービスを次々と打ち出している。たとえば、ネット上での決済に抵抗がある 人向けに、紀伊國屋書店では、検索から購買はネット上でできるが、本の受取りと決済は 実店舗で処理する「ハイブリッドウェブ」という方式を導入するなどしている。また、今 回は市場規模の算出範囲ではないが、アマゾンジャパンでは2002年11月より、ユーザ ー間での書籍・CDなどの取引を仲介して手数料を得る「Amazonマーケットプレイス」
を展開し、着実に利用者を増やしている。公知情報によると、サービスを始めて4週間で、
総アイテム数(書籍・ソフトウェア等)は30万を超えているという。今後もこうしたCtoC の取り組みが進展することで流通額も大きくなると思われ、注視していく必要があるだろ う。
また、実店舗ではベストセラーや話題になっている本、または、新刊本等のいわゆる平 台の本の売れ行きが良いのに対し、ネット上での販売では、作家や作品名を検索しての特 定商品の購買行動が目立っている。こうしたネット特有の消費者の趣味嗜好に合わせた、
いわゆるリアル店舗においては売りにくい商品も含めた豊富な品揃えが、ネット書店各社 には求められている。
このような他社との差別化したサービスを行っていくことがネット書店の生き残りの 条件になっている。また、利用者獲得のための送料無料やクーポン券の発行など以前から のサービス競争も続いている。利幅の薄いと言われる書籍販売業界においては、こうした サービス競争の結果、利益を圧迫している企業も出てきている。
インターネット上での電子書籍や新聞・雑誌等の有料コンテンツ配信は、ブロードバン ドの普及やPDAの普及を背景に着実に市場は拡大している。公知情報によると「パピレ ス」では2002年4月のダウンロード数が2万5千冊と前年同月比47%増加である。また、
シャープが展開する「ザウルス文庫」の2002年5月のダウンロード数は前年同月の3倍 に達している。さらに2002年からは全てのPDAの規格に対応する取り組みを展開して いる。コンテンツ配信事業では、ブロードバンド利用によって押絵や動画などの表現の幅 が広がったことや一般の本よりも安い価格で買いやすくしたこと、PDA の場合、1台に 数十冊の本を保存できることや文字の大きさを変えられるなどの使い勝手の改善が進ん だことなどが利用者拡大要因として考えられる。
一方、音楽(CD)分野をみてみると、CD全般の売れ行きが芳しくないなかで、ネット 上での販売は伸びている。早くから電子商取引に取り組んできた事業者では、1年で数十 億円を売り上げるところも出てきている。また、ネットならではの売り方として、携帯電 話向けメールマガジンによるマーケティングが上げられる。携帯電話向けにメールでアー ティスト情報や新譜CDのリリース情報を配信するのと同時にECサイトへのリンクをす ることでCDの予約も受け付けるといった方法が取られている。
また、レコード会社を中心とした楽曲デジタルコンテンツの配信事業者では、コンテン ツ価格の引き下げやコンテンツラインナップの充実などインターネット配信の利用者拡 大に向けて積極的な動きを見せている。エイベックスの「@Music」、「bitmusic」では、
それぞれ2002年4月、7月にコンテンツの料金を210円に値下げし、ダウンロード数を 2~3倍程度伸ばすことに成功した。「ドゥーブ・ドットコム」でも、2曲購入するともう 1曲無料ダウンロードできるキャンペーンを実施している。こうした取り組みにより、
徐々にではあるが、楽曲デジタルコンテンツ市場が立ち上がりつつある。
モバイルコマース
「書籍・音楽」品目における2002年のモバイルによる電子商取引市場規模は、当該品
目BtoC市場の24%、150億円程度と推計される。
当該品目の商品は、実物を見なくとも、著者名やアーティスト名、タイトル等が特定で きれば購入できる商材であり、本質的にモバイルコマースに適している。
その大半を占めるのがパッケージ型商品であり、モバイル向けのアンパッケージ型(電 子書籍、音楽配信)については緒についたばかりである。未だテイクオフしない理由とし ては、書籍については、紙媒体に対するデジタルならではの付加価値が見出せていないこ とと、視認性が劣ること。音楽については、ダウンロードに要する通信コストを含めると、
高くついてしまう、ということが挙げられる。
4.4.3. 書籍・音楽〜将来予測
書籍・音楽の電子商取引はEC化率も高く、消費者にとっては購入手段として浸透して いることから、今後もインターネット利用者の増加と共に市場規模も拡大していくと予想 される。また、ブロードバンド利用者の増加やPDA等モバイル端末の普及やメモリオー ディオプレーヤー等の普及に伴い、デジタルコンテンツ市場も徐々に拡大すると思われる。
書籍分野のデジタルコンテンツでは、文庫本やコミック本の持ち運びやすさや読みやす さ等の利便性の高さに勝る機能やサービスの開発が課題となってくる。検索機能の追加や、
動画像の利用、または、インタラクティブ性を活かした操作機能の追加等、これまでの紙 媒体によるコンテンツ利用形態の概念を越えた機能やサービスの開発が必要となる。また、
デジタルコンテンツは再販制度の対象外となっていることから、価格競争も始まるものと 予想され、市場の拡大要因となると思われる。
音楽分野のデジタルコンテンツについては、コンテンツを楽しめるユーザー側の環境整 備が課題となる。例えば、インターネットに直接接続されたAV機器やホームサーバー等 への直接ダウンロードが出来るような機器やサービスが普及することが市場拡大の第一 条件となる。また、こうした利用環境が整うと同時に、レコード会社の枠を越えたワンス トップでの楽曲販売、さらに、月額固定料金制や複数デジタルコンテンツのパッケージ販 売といったマーケティング上のサービスも実現されていくと思われる。
モバイルコマース
「書籍・音楽」品目での 2007 年のモバイルによる電子商取引市場規模は、当該 BtoC
市場の26%、1,000億円程度まで拡大すると予想される。
パッケージ型商品のECについては、メールマガジンによる情報配信や、個人の趣味・
嗜好に合わせたレコメンデーションなど、モバイルの機動性の高さを利用した購買を促す サービスの普及により、着実に市場が拡大していくことが予想される。
アンパッケージ型については、現状の課題であるデジタルならではの付加価値について は、インタラクティブな要素を加えた商品の登場、視認性の悪さについては携帯電話の画 面の高精細化、通信料金の高さについてはauによる 2003 年秋からの cdma2000 1x
EV-DO やドコモによる 2005 年初頭から予定されている HSDPA(High Speed Data
Packet Access)によるパケット単価の下落などが予想されるため、徐々にテイクオフし ていくことが予想される。
表 4-8「音楽・書籍(CD)」BtoC電子商取引市場規模・電子商取引化率調査比較
2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 EC 市場規模(億円) 620 1,300 2,000 2,600 3,300 3,900
今回調査
EC 化率 2.0% 4.1% 6.3% 8.0% 10.0% 11.8%
EC 市場規模(億円) 340 640 1,500 2,510 3,960 5,360 前回調査
EC 化率 1.1% 2.0% 4.8% 7.8% 12.0% 15.9%
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
前回調査 今回調査
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
前回調査 今回調査
図 4-7「書籍・音楽(CD)」BtoC電子商 取引市場規模調査比較(単位:億円)
図 4-8「書籍・音楽(CD)」BtoC電子商 取引化率調査比較