第 3 章 調査概要
3.2 データ収集方法
3.2.2 評価結果
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える。また、同じ間違いをしたとしてもその内容や言語以外の要素であるパラ言語、非言 語的要素が複合的に作用し、評価を揺るがす可能性もある。Isaacs & Thomson(2013)は 発音の評価において評価者の経験と評価の関係を探った。その結果、評価者間の有意差は ないという。
一般には学習者の話す能力を測る遂行評価は、評価を下す評価者の主観に偏りがあると いわれており、評価の信頼性に欠ける可能性もある。これに関してイヒャン(2013)は、
教師暦が5年以上と5年以下の教師に分け、理解明瞭性、正確性(個別の音素、抑揚)、流 暢性(発話測度、ポーズ)の3つの観点の 5点評価を行なった。その結果、評価者の採点 傾向を研究することで、評価者間の一致性では差があり得るが、評価者内の一貫性がある ということを確認した。よって本研究でも評価者内の一貫性があると考え研究を進める。
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とから、プレゼンテーションで評価されると考えられる「聴衆への目や体の向け方が適切 である。」「日本語を使いこなせている。」「日本語が聞き取りやすい。」の 3 項目を加えた。
「イントネーション(抑揚)やアクセントが正しく分かりやすい。」の項目は本論文の目的 に合わせ発音について詳しい調査を行う必要があると考えたため、発音評価項目に入れた。
崔(2009)の「言語・パラ言語および非言語的特徴」の質問項目は20項目であったが、上 記の過程を経て1.「正しい文法を使っている。」2.「一つひとつの言葉を正しく発音してい る。」3.「話し方が流暢である。」4.「語彙の使い方が正しい。」5.「話し方が丁寧である。」
6.「単語や表現をよく知っている。」7.「話し方が日本語として自然である。」8.「フィラー
(え~と、まあ、等の言い方)の使用が多い。」9.「語尾伸び(私は-、~ですが-、等の言 い方)が多い。」10.「途中終了の言い方が多い。」11.「聴衆への目や体の向け方が適切であ る。」12.「間の取り方が適切である。」13.「話し方のスピードが適切である。」14.「表情が 豊かである。」15.「身振り手振りが適切である。」16.「日本語を使いこなせている。」17.
「日本語が聞き取りやすい。」の17項目になった(表3-6,添付資料2)。質問項目の8.「フ ィラー」、9.「語尾伸び」、10.「中途終了」は他の質問項目と異なり数値が大きいほどネガ ティブな要素であるため、分析の際には逆転計算をすることとする。なお、修正した箇所 は太字に下線を引いた。
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表3-6 「言語・パラ言語および非言語的特徴」に関する評価項目(修正後)
正しく ない 正しく ない 流暢では ない 正しく ない 丁寧では ない
知って いる
表情が 表情が
乏しい ゆたか
使いこなせて 使いこなせて
いない いる
聞き取り 聞き取り
にくい やすい
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 正しい
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 正しい
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 流暢
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 正しい
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 丁寧
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
不適切
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 不適切
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 自然
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 多い
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 多い
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
No 質 問 どちらでもない
とても やや ふつう やや とても 1 正しい文法を使っている。
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 (速すぎず遅すぎず)不適切
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 多い
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 多い
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 2 一つひとつの言葉を正しく発音している。
3 話し方が流暢である。
4 語彙の使い方が正しい。
5 話し方が丁寧である。
6 単語や表現をよく知っている。
7 話し方が日本語として自然である。
8 フィラー(え~と、まあ、等の言い方)の使 用が多い。
9 語尾伸び(私は-、~ですが-、等の言い方)
が多い。
10 途中終了の言い方が多い。
日本語を使いこなせている。
11 聴衆への目や体の向け方が適切である。
12 間の取り方が適切である。
13 話し方のスピードが適切である。
不適切
(速すぎ遅すぎ)
不適切
17 日本語が聞き取りやすい。
知らない 不自然 少ない 少ない 少ない
少ない 不適切
14 表情が豊かである。
15 身振り手振りが適切である。
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次に、崔(2009)の「対人印象」に関する質問紙においては「活発な人だ。」の項目を削除 し、「外見が魅力的である。」の項目を新たに設けた。崔(2009)の初対面会話では、実際学習 者と調査者が話している様子が見られるが、本論文のプレゼンテーション場面は学習者が 一人で一方的に話すため、印象に関する評価が同じ観点であっても、プレゼンテーション の内容やプレゼンテーション向けの話し方のように異なる場面での評価観点が必要と考え るため、5つの項目に修正を加えた。
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修正した項目は「元気な人だ。」を「元気そうな人だ。」に、「礼儀をよくわきまえた人だ。」
を「礼儀正しそうな人だ。」に、「話しやすい人だ。」を「話しやすそうな人だ。」に、「協調 的な人だ。」を「協調性がありそうな人だ。」に、「落ち着いた人だ。」を「落ち着いていそ うな人だ。」に修正した。
本研究における質問項目は1.「積極的な人だ。」2.「責任感が強そうな人だ。」3.「率直な 人だ。」4.「親しみやすい人だ。」5.「自信のある人だ。」6.「誠実な人だ。」7.「しっかりし た人だ。」8.「信頼できそうな人だ。」9.「好きになれそうな人だ。」10.「知的な人だ。」11.
「魅力のある人だ。」12.「まじめな人だ。」13.「礼儀正しそうな人だ。」14.「明るい人だ。」 15.「好感の持てる人だ。」16.「元気そうな人だ。」17.「話しやすそうな人だ。」18.「協調 性がありそうな人だ。」19.「落ち着いていそうな人だ。」20「外見が魅力的である。」の20 項目であった(表3-7,参考資料3)。なお、修正した箇所は太字にし、下線を引いた。
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表3-7 「対人印象」に関する評価項目(修正後)
責任感が 責任感か
なさそうな 強そうな
率直では ない
親しみ 親しみ
にくい やすい
しっかり している
信頼 信頼
できない できそうな
嫌いに 好きに
なりそうな なれそうな
知的では ない
好感の 好感の
持てない 持てる
元気では 元気
なさそうな そうな
魅力的 ではない
No 質 問 どちらでもない
とても やや ふつう やや とても 1 積極的な人だ。 消極的な 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 積極的な
自信のある 自信のない
2 責任感が強そうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
3 率直な人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 率直な 4 親しみやすい人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
5 自信のある人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
8 信頼できそうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 6 誠実な人だ。 不誠実な 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 7 しっかりした人だ。 たよりない 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
9 好きになれそうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 10 知的な人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
14 明るい人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 11 魅力のある人だ。 魅力のない 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 12 まじめな人だ ふまじめな 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
13 礼儀正しそうな人だ。 無礼な 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 礼儀のある
15 好感の持てる人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 16 元気そうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
20 外見が魅力的である。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 魅力的 17 話しやすそうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
18 協調性がありそうな人だ。 非協調的 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
せっかちな 落ち着いた
協調的 19 落ち着ていそうな人だ。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
誠実な
暗い 明るい
話しにくい 話しやすい
魅力のある まじめな 知的な
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発音およびプレゼンテーションに関する質問は14項目から構成されている。これらの項 目は崔(2009)には含まれていない。発音に関する評価項目1.「「ぱ行」や「ば行」等の(破 裂音)が正しく分かりやすい。」2.「『さ』や『語中のざ行』等の(摩擦音)が正しく分かり やすい。」3.「『語頭のざ行』や『つ』等の(破擦音)が正しく分かりやすい。」4.「長音『-』
の発音が正しく分かりやすい。」5.「促音『っ』の発音が正しく分かりやすい。」6.「撥音『ん』
の発音が正しく分かりやすい。」7.「イントネーション(抑揚)が正しく分かりやすい。」8.
「プロミネンス(強弱)が正しく分かりやすい。」9.「アクセントが正しく分かりやすい。」
の9項目であった。
また、プレゼンテーション内容に関する項目は10.「良い発表だと思う。」11.「内容に興 味がある」12.「内容がわかりやすい。」13.「発表に慣れている。」14.「資料が適切である。」
の5項目であった。なお、これ以外に感じたことがあれば自由に書いてもらった(表3-8, 参考資料4)。
表3-8 「発音およびプレゼンテーション」に関する評価項目
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
わかり わかり
にくい やすい
よくない いい
発表だ 発表だ
興味が 興味が
ない ある
わかり わかり
にくい やすい
慣れて 慣れて
いない いる
適切で 適切で
ない ある
どちらでもない
とても やや ふつう やや とても 1 「ぱ行」や「ば行」等の(破裂音)
が正しく分かりやすい。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
No 質 問
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 5 促音「っ」の発音が正しく分かりやすい。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 3 「語頭のざ行」や「つ」等の(破擦音)が正
しく分かりやすい。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 4 長音「-」の発音が正しく分かりやすい。
2 「さ」や「語中のざ行」等の(摩擦音)が正 しく分かりやすい。
8 プロミネンス(強弱)が正し く分 かり やす
い。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 7 イントネーション(抑揚)が正しく分かりや
すい。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 6 撥音「ん」の発音が正しく分かりやすい。
1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
12 内容がわかりやすい。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
10 いい発表だと思う。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 9 アクセントが正しく分かりやすい。
11 内容に興味がある。
13 発表に慣れている。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5 14 資料が適切である。 1 ― 2 ― 3 ― 4 ― 5
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以上、本研究で使用する質問紙の評価項目は、言語・パラ言語・非言語的特徴に関する 評価項目、対人印象に関する評価項目、発音とプレゼンテーションに関する評価項目、の4 つの観点からである。
本研究における質問紙3ページであり、51項目から構成された。質問項目は【正しい文 法を使っている。】という項目に対して「とても正しくない(1)」「やや正しくない(2)」「ふ つう(3)」「やや正しい(4)」「とても正しい(5)」の 5点法である。調査は、調査者と調 査協力者の2名で行なうことが主であったが、調査協力者が2名から10名同時に行なわれ た調査もあった。調査にかかった時間は1時間30分から2時間程度であった。調査の手順
は、1)調査同意書を読みサイン、2)調査の流れを説明、3)質問紙項目を確認、4)調査、
5)順位、6)調査協力者の背景に関する質問紙記入であった。なお、刺激ビデオの提示順 はランダムであった。