• 検索結果がありません。

日本人日本語教師による評価の観点

第 5 章 言語・パラ言語および非言語的特徴に関する評価の観点

5.4 日本人日本語教師による評価の観点

5.4.1 項目別平均得点

日本人教師の分析結果を述べる。まず、日本語教師40名(男性9名、女性31名)の「言 語・パラ言語および非言語行動」に関する質問17項目の平均値を算出した。

その結果、全体的の平均値は 3.37 であり、各項目は、「文法」(3.52)、「発音」(3.04)、

「流暢さ」(3.36)、「語彙」(3.38)、「丁寧さ」(3.77)、「表現力」(3.69)、「自然さ」(3.27)、

「フィラー」(3.50)、「語尾伸び」(2.92)、「途中終了」(3.95)、「目や体方向」(3.29)、「間」

(3.39)、「スピード」(3.48)、「表情」(2.98)、「身振り手振り」(3.00)、「使いこなし」(3.46)、

「聞きやすさ」(3.22)であった。これらの結果を以下の図5-1に示す。

図5-1「言語・パラ言語および非言語行動」の平均値(日本語教師)

上記の図5-1からもわかるように、17項目のうち、平均がもっとも高かった項目は、「途 中終了」(3.95)であり、もっとも低かった項目は、「語尾伸び」(2.92)であった。また、

全体の平均値から高かった項目は、「途中終了(していない)」(3.95)、「丁寧さ」(3.77)、

「表現力」(3.69)、「文法」(3.52)、「フィラー(していない)」(3.50)、「スピード」(3.48)、

「使いこなし」(3.46)、「間」(3.39)、「語彙」(3.38)の9項目であり、平均値から低かっ た項目は「流暢さ」(3.36)、「目や体の向け方」(3.29)、「自然さ」(3.27)、「聞きやすさ」

(3.22)、「発音」(3.04)、「身振り手振り」(3.00)、「表情」(2.98)、「語尾伸び(していな い」(2.92)の8項目であった。以上の結果を平均値の高い順から並べ替え、標準偏差とと

70 もに以下の表5-2に示す。

表5-2 「言語・パラ言語および非言語行動」の平均および標準偏差(日本語教師)

平均値 標準偏差

途中終了 3.95 0.64

丁寧さ 3.77 0.54

表現力 3.69 0.52

文法 3.52 0.67

フィラー 3.50 0.69

スピード 3.48 0.66

使いこなし 3.46 0.53

間 3.39 0.53

語彙 3.38 0.55

流暢さ 3.36 0.60

目や体方向 3.29 0.57

自然さ 3.27 0.61

聞きやすさ 3.22 0.57

発音 3.04 0.62

身振り手振り 3.00 0.49

表情 2.98 0.45

語尾伸び 2.92 0.61

平均 3.37 0.58

日本語教師

5.4.2 因子分析

次に、「言語・パラ言語および非言語行動」に関する質問 1 の 17 項目を、IBM SPSS

Statistics 22を用いて、重みなし最小二乗法、プロマックス回転34による因子分析を行なっ

た。分析の結果、固有値は6.694、2.258、1.313、1.069と減衰し、第4因子までの累積説

明率は 66.7%であった。ここでは固有値の減衰状況から総合的に判断し、4 因子解を採用

することとした。

第 1 因子は、「発音」「語彙」「文法」「流暢さ」と、言葉の正確さや流暢さに関わる項目 の因子負荷量が大きいので【正確さおよび流暢さ】因子と解釈した。第 2 因子は、「表情」

「身振り手振り」「目や体方向」と、非言語やパラ言語に関する項目の因子負荷量が大きい ので【非言語およびパラ言語能力】因子と解釈した。第3因子は、「スピード」「間」「丁寧 さ」と、プレゼンテーションをする際に不可欠である要素に関する項目順に因子負荷量が 大きいので【プレゼンテーション向きの話し方】因子と解釈した。第4因子は、「フィラー」

「語尾伸び」「途中終了」と、会話のストラテジーに関する因子負荷量が大きいので【会話 ストラテジー】と解釈した(表5-3)。

34 大量データに対しても計算が速く、多用される社交回転である。

71

表5-3「言語・パラ言語および非言語行動」の因子分析(日本語教師)

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 共通性

【正確さおよび流暢さ】

一つひとつの言葉を正しく発音している。 . 8 5 9 -.136 .006 -.092 .610 語彙の使い方が正しい。 . 8 3 7 -.010 -.181 .190 .654 正しい文法を使っている。 . 7 4 6 -.035 -.102 .200 .557 話し方が流暢である。 . 7 2 2 .024 .150 -.168 .675 話し方が日本語として自然である。 . 7 0 2 -.059 .271 -.082 .708 日本語を使いこなせている。 . 6 3 3 .203 .128 -.077 .709 日本語が聞き取りやすい。 . 5 2 5 .053 .279 -.102 .561 単語や表現をよく知っている。 . 4 8 4 .267 -.155 .286 .452

【非言語およびパラ言語能力】

表情が豊かである。 -.024 . 8 2 2 .028 -.011 .682 身振り手振りが適切である。 -.120 . 7 7 3 .155 -.046 .657 聴衆への目や体の向け方が適切である。 .081 . 7 3 6 -.036 -.032 .591

【プレゼンテーション向きの話し方】

話し方のスピードが適切である。 -.054 .057 . 7 1 8 .167 .529 間の取り方が適切である。 -.016 .247 . 6 6 0 .086 .647 話し方が丁寧である。 .259 -.087 . 3 6 4 .113 .279

【会話ストラテジー】

フィラー(え~と、まあ、等の言い方)の使用が多い。 -.024 .026 .029 . 8 1 2 .645 語尾伸び(私は-、~ですが-、等の言い方)が多い。 -.063 -.175 .410 . 5 1 2 .374 途中終了の言い方が多い。 .172 -.023 .124 . 4 4 0 .283

因子間相関 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

Ⅰ ― .541 .561 .184

Ⅱ ― .522 -.168

Ⅲ ― -.041

Ⅳ ―

上記の表 5-3 の因子間相関の結果からわかるように、第 1 因子【正確さおよび流暢さ】

と中程度の相関が見られた因子は、第 2 因子【非言語およびパラ言語能力】(.541)、第 3 因子【プレゼンテーション向きの話し方】(.561)、第 2 因子と中程度の相関が見られた因 子は、第3因子【プレゼンテーション向きの話し方】(.522)であった。このことから、第 2因子の【非言語およびパラ言語能力】と第3因子【プレゼンテーション向きの話し方】の 2つの因子は独立的にみるのではなく、複合的に考えなければいけない。

この因子分析の結果について、AMOSを用い、確認的因子分析で検証した。以下の図5-2 で、片方向矢印(→)は原因と結果の因果関係を表し、双方向矢印(↔)は双方向の相関関 係を表している。また、丸で囲んでいるもの(◯)は観点を表し、四角で囲んでいるもの

(□)は実際に測定された変数である。

図5-2に示したように、分析の結果、適合はある程度十分であると見なし、このモデルを 採用することとした。なお、全てパスが0.1%の水準で有意となった。また、第2因子【非言 語およびパラ言語能力】と第4因子【会話ストラテジー】以外の因子間相関も0.1%の水準で 有意となった(図5-2)。

72

X2=698.838, df=114, p<.001, GFI=.845, AGFI=.792, CFI=.851 RMSEA=.103, AIC=776.838

図5-2「言語・パラ言語および非言語行動」の確認的因子分析(日本語教師)