第 7 章 言語・パラ言語および非言語的特徴と対人印象に関する評価がプレゼンテーショ
7.6 わかりやすさの評価に与える影響
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ことが証明された。また、日本語が聞き取りやすく、語彙の使い方が正しいという要素も 影響を与えていた。
つまり、韓国人学習者にとって、「内容に興味がある。」という評価に影響を与える因子 は、【個人的親しみやすさ】【正確さおよび流暢さ】の2因子であることがわかった。これ らの2因子のうち、もっとも説明率が高かった因子は、【個人的親しみやすさ】であり、内 容の興味への評価における重要な要素であることが考察された。項目ごとには、親しみや すさという要素がもっとも影響力をもっていることが証明された。
以上のことから、韓国人学習者においては、話しやすく魅力を感じ、親しみやすさを感 じることや、文法や語彙が正しく、流暢であることが、プレゼンテーションの内容に興味 を持たせるということが示唆された。
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表7-9 日本語教師/わかりやすさ(重回帰分析)
従属変数:わかりやすさ 非標準化( B ) β l t l(12) 下限 上限
定数 3.600 70.999 3.500 3.700
社会的望ましさ .366 .336 5.946*** .245 .488
プレゼンテーション向きの話し方 .275 .233 3.578*** .123 .426
非言語およびパラ言語能力 .274 .241 3.66*** .127 .422
会話ストラテジー .190 .158 3.172** .072 .309
R2(調整済み R2) F(2,12)
回帰係数 B の95%CI
.457(.448) 60.256 除かれた変数:正確さ及び流暢さ、活動性、個人的親しみやすさ 投入基準:F値の確率 = .05, 除去基準:F値の確率 = .10
**p < 0.01, ***p < .001
続いて、「わかりやすさ」に対する、「言語・パラ言語および非言語行動」および「対人 印象」に関する評価項目のうち、どの項目がもっとも影響力を持っているかを探るべく、
項目ごとの単回帰分析を行なった。
その結果、「信頼できそうな人だ。」(B=.188, SE=.087, p<.05)、「日本語が聞き取りやす い。」(B=.175, SE=.050, p<.001)、「身振り手振りが適切である。」(B=.276, SE=.054, p<.001)、「語尾伸び(私は-、~ですが-、等の言い方)が多い。」(B=.134, SE=.036, p<.001)、
「率直な人だ。」(B=.154, SE=.070, p<.05)、「途中終了の言い方が多い。」(B=.104, SE=.047, p<.05)、「まじめな人だ。」(B=.148, SE=.073, p<.05)の7項目が影響を与えていた。
これらの項目のうち、もっとも説明率が高かったのは、「身振り手振りが適切である。」
(B=.276, SE=.054, p<.001)であり、身振り手振りが適切であると思われるほど、発表の
内容がわかりやすくなることがわかった。また、信頼ができ率直な人であること、まじめ な人であること、語尾伸びや途中終了が少なく日本語が聞き取りやすいことが内容をわか りやすくする要素であるということが示唆された。
つまり、日本語教師にとって、「内容がわかりやすい。」という評価に影響を与える因子 は、【社会的望ましさ】、【プレゼンテーション向きの話し方】、【非言語およびパラ言語能力】、
【会話ストラテジー】の4 因子であることがわかった。これらの4因子のうち、もっとも 説明率が高かった因子は【社会的望ましさ】であり、内容のわかりやすさへの評価におけ る重要な要素であることがわかった。項目ごとには、身振り手振りの適切さという要素が もっとも影響力をもっていることが証明された。
以上のことから、日本語教師は、プレゼンターが信頼でき、誠実であることが、プレゼ ンテーションの内容がわかりやすいと評価されるもっとも大きい要素であることが示唆さ れた。また、プレゼンテーションを行なう際のスピードや間の取り方、表情や身振り手振 りの適切さなどや、フィラーや語尾伸び、途中終了が少ないことも、わかりやすく感じる
116 要素であることが示唆された。
7.6.2 韓国人日本語学習者による結果
韓国人学習者の因子分析の結果で得られた【正確さおよび流暢さ】、【非言語およびパラ 言語】、【会話ストラテジー】、【個人的親しみやすさ】、【社会的望ましさ】、【活動性】の 6 因子が、「わかりやすさ」の結果に、どのような影響を与えているかについて分析を行なう。
韓国人学習者の因子分析の結果で得られた【正確さおよび流暢さ】【非言語およびパラ言 語】、【会話ストラテジー】、【個人的親しみやすさ】、【社会的望ましさ】、【活動性】が「わ かりやすさ」に与える影響について検討を行なった。
その結果、有意な回帰式が得られた(F(2,236)=68.961, p<001)。また、説明率も充分 大きいと思われる(adjusted R2=.364)。
上記の6因子から「わかりやすさ」に与えている影響は、「話しやすさ」、「魅力」、「親し みやすさ」、「好感度」、「外見の魅力」、「好み」、「明るさ」、「元気さ」、「協調性」の項目か らなる【個人的親しみやすさ】と、「文法」、「語彙」、「表現力」、「流暢さ」、「発音」、「丁寧 さ」、「使いこなし」、「自然さ」、「スピード」、「聞きやすさ」の項目からなる【正確さおよ び流暢さ】の2因子であった。
この2つの因子のうち【正確さおよび流暢さ】に比べ、【個人的親しみやすさ】のほうが、
高い説明率を持っていた。このことから、話しやすく魅力を感じ親しみやすいと思われる ほど、発表がわかりやすく感じるという結果が得られた。また、文法や語彙が正確であり、
流暢であるほどわかりやすさに関する評価も高くなっていた。
表7-10 韓国人学習者/わかりやすさ(重回帰分析)
従属変数:わかりやすさ 非標準化( B ) β l t l(12) 下限 上限
定数 3.599 65.986 3.492 3.707
個人的親しみやすさ .444 .409 7.147*** .321 .566 正確さ及び流暢さ .339 .307 5.355*** .214 .463 R2(調整済み R2)
F(2,12)
回帰係数 B の95%CI
.369(.364) 68.961
除かれた変数:プレゼンテーション向きの話し方、会話ストラテジー、社会的望ましさ、活動性 投入基準:F値の確率 = .05, 除去基準:F値の確率 = .10
***p < .001
続いて、「わかりやすさ」に対する、「言語・パラ言語および非言語行動」および「対人 印象」に関する評価項目のうち、どの項目がもっとも影響力を持っているかを探るべく、
項目ごとの単回帰分析を行なった。
その結果、「親しみやすい人だ。」(B=.246, SE=.075,p<.01)、「日本語が聞き取りやすい。」
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(B=.318, SE=.061, p<.001)、「語彙の使い方が正しい。」(B=.241, SE=.082, p<.01)、「フ ィラー(え~と、まあ、等の言い方)の使用が多い。」(B=.114, SE=.045, p<.05)、「話し方 が丁寧である。」(B=.194, SE=.070, p<.01)、「知的な人だ。」(B=-.200, SE=.065, p<.01)、
「好感の持てる人だ。」(B=.211, SE=.078, p<.01)、「単語や表現をよく知っている。」
(B=-.209, SE=.074, p<.01)、「一つひとつの言葉を正しく発音している。」(B=.139,
SE=.066, p<.05)の9項目が影響を与えていた。
これらの項目のうち、もっとも説明率が高かったのは、「日本語が聞き取りやすい。」
(B=.318, SE=.061, p<.001)であり、日本語が聞き取りやすいことが、発表をわかりやす
くすることがわかった。また、語彙の使い方が正しく、一つひとつの言葉を正しく発音し ており、丁寧な話し方をしていることやフィラーが少ないことなどから親しみやすさを感 じ、好感が持てるという要素も、発表のわかりやすさの評価へ影響を与えていた。
しかし、知的であることと、単語や表現をよく知っているという項目との間では、負の 影響がみられた。このことは、知的であると思うほどわかりにくく感じ、知的でないと思 うほどわかりやすく感じるということになる。また、単語や表現をよく知っていると感じ るほどわかりにくいと評価し、単語や表現をよく知らないと感じるほどわかりやすいと感 じるということになる。
つまり、韓国人学習者にとって、「内容がわかりやすい。」という評価に影響を与える因 子は、【個人的親しみやすさ】、【正確さおよび流暢さ】の 2 因子であることが証明された。
これらの2因子のうち、説明率が高かった因子は、【個人的親しみやすさ】であり、わかり やすさへの評価における重要な要素であった。項目ごとには、日本語の聞き取りやすさと いう要素がもっとも影響力をもっていた。
以上のことから、韓国人学習者は、プレゼンターが話しやすく魅力を感じ親しみやすい と思えば、プレゼンテーションがわかりやすく感じるということが示唆された。また、文 法や語彙が正確であり、流暢であることもわかりやすくさせる要素であった。