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日本人日本語教師と韓国人日本語学習者による評価の違いに関する考察

第 6 章 対人印象に関する評価の観点

6.6 日本人日本語教師と韓国人日本語学習者による評価の違いに関する考察

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X2=1365.680, df=167, p<.001, GFI=.709, AGFI=.634, CFI=.842 RMSEA=.122, AIC=1451.680 図6-4 「対人印象」の確認的因子分析(韓国人学習者)

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国人学習者の平均値が 2 番目に高かった項目が「礼儀の良さ」であることからも、どちら のグループにおいても礼儀の良さやまじめさといった要素に良い評価を与えていたという ことが窺える。

反対に、平均値がもっとも低かった項目は、日本語教師と韓国人学習者ともに「外見の 魅力」であり、日本語教師が「外見の魅力」(3.35)、韓国人学習者が「外見の魅力」(2.92)

であった。外見が魅力と感じるかどうかは個人的な評価であり、平均値を上回ると予想し たが、どちらのグループにおいても一番低い評価値が得られた。しかし、これはプレゼン ター6人の平均値であるため、全く同じ結果であったとは言い難い。

表6-6 「対人印象」の平均および標準偏差

平均 標準偏差 平均 標準偏差

積極的 3.60 0.39 3.16 0.52 4.32***

責任感 3.68 0.55 3.33 0.49 3.00**

率直さ 3.69 0.51 3.30 0.48 3.48**

親しみやすさ 3.72 0.49 3.06 0.45 6.33***

自信 3.53 0.46 3.30 0.51 2.10*

誠実さ 3.69 0.54 3.38 0.49 2.77**

しっかり 3.75 0.58 3.21 0.50 4.41***

信頼性 3.65 0.53 3.18 0.49 4.07***

好み 3.63 0.51 3.13 0.51 4.37***

知的 3.54 0.56 3.09 0.49 3.79***

魅力 3.52 0.49 3.11 0.54 3.50**

まじめさ 3.84 0.56 3.40 0.52 3.67***

礼儀の良さ 3.85 1.46 3.38 0.55 1.92,n.s.

明るさ 3.59 0.44 3.31 0.49 2.69**

好感度 3.75 0.50 3.06 0.57 5.73***

元気さ 3.65 0.44 3.03 0.50 5.82***

話しやすさ 3.66 0.52 3.04 0.57 5.12***

協調性 3.48 0.44 3.33 0.58 1.34,n.s.

落ち着き 3.50 0.57 3.36 0.45 1.20,n.s.

外見の魅力 3.35 0.52 2.92 0.58 3.52**

*p < .05, **p < .01, ***p < .001

日本語教師 韓国人学習者

t値

項目順に平均値を比較してみると、「積極的な人だ。」においては、日本語教師(3.60)、 韓国人学習者(3.16)であり、どちらも平均値に満たなかった。言い換えると、どちらのグ ループにおいてもやや消極的な人であると判断されたことである。これの原因はいくつか 考えられるだろうが、原稿を読んでいたプレゼンターがいたからではないかと考える。

「責任感が強そうな人だ。」においては、日本語教師(3.68)、韓国人学習者(3.33)であ り、どちらも平均値を上回った。韓国人学習者よりは日本語教師のほうが、責任感がやや

98 強そうだと考えていることがわかった。

図6-5 積極的 図6-6 責任感

「率直な人だ。」においては、日本語教師(3.69)、韓国人学習者(3.30)であり、どちら も平均値を上回った。この結果から、プレゼンターを、やや率直な人であると考えていた ということがわかる。「親しみやすい人だ。」においては、日本語教師(3.72)、韓国人学習 者(3.06)であり、日本語教師は平均を上回ったが、韓国人学習者は平均値を下回った。こ の項目は、親しみやすい人であるか否かを判断するものであり、同じ母語話者であるほう が親しみを感じると予想したが、結果は異なっていた。このことから、同じ母語話者であ っても必ずしも親しみを感じることではないということがいえる。

図6-7 率直さ 図6-8 親しみやすさ

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「自信のある人だ。」においては、日本語教師(3.53)、韓国人学習者(3.30)であり、日 本語教師は平均値を下回り、韓国人学習者は平均値を上回った。両グループ間に大きい差 がある訳ではないが、自信のある人か否かに関する項目においては日本語教師のほうが少 し高い評価をしていた。「誠実な人だ。」においては、日本語教師(3.69)、韓国人学習者(3.38)、

これらの2つの項目においては、どちらも平均値を上回ったが、日本語教師のほうが、誠 実さに高い評価値を与えていた。

図6-9 自信 図6-10 誠実さ

「しっかりした人だ。」においては、日本語教師(3.75)、韓国人学習者(3.21)であり、

どちらも平均値を上回った。これらの2項目においては、どちらも平均値を上回ったが、

日本語教師のほうが、誠実さに高い評価値を与えていた。「信頼できそうな人だ。」におい ては、日本語教師(3.65)、韓国人学習者(3.18)であり、日本語教師は平均値から少し高 く、韓国人学習者は平均値から少し低かった。これも先ほどの親しみやすさを感じるか否 かに関する評価の観点と同様、同じ母語である韓国人学習者のほうが高い評価を下すと考 えていたが、結果は異なっていた。

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図6-11 しっかり 図6-12 信頼性

「好きになれそうな人だ。」においては、日本語教師(3.63)、韓国人学習者(3.13)であ り、日本語教師は平均値と一致していたが、韓国人学習者は、平均値より低かった。「知的 な人だ。」においては、日本語教師(3.54)、韓国人学習者(3.09)であった。

図6-13 好み 図6-14 知的

「魅力のある人だ。」においては、日本語教師(3.52)、韓国人学習者(3.11)であり、ど ちらも平均値に及ばなかった。「まじめな人だ。」においては、日本語教師(3.84)、韓国人 学習者(3.40)であった。これについては、プレゼンテーションという特有の設定であった ためこのような結果が出たのではないかと考える。

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図6-15 魅力 図6-16 まじめさ

「礼儀正しそうな人だ。」においては、日本語教師(3.85)、韓国人学習者(3.38)であり、

どちらも平均値を大きく上回った。これについては、プレゼンテーションという特有の設 定であったためこのような結果が出たのではないかと考える。「明るい人だ。」においては、

日本語教師(3.59)、韓国人学習者(3.31)であり、日本語教師は平均値を下回ったが、韓 国人学習者は平均値を上回った。両グループ間に差が大きくはないが、印象の評価に違い が生じていると考える。

図6-17 礼儀の良さ 図6-18 明るさ

「好感の持てる人だ。」においては、日本語教師(3.75)、韓国人学習者(3.06)、「元気そ うな人だ。」においては、日本語教師(3.65)、韓国人学習者(3.03)であった。これらの項

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目は全て、日本語教師は平均値を上回り、韓国人学習者は平均値を下回った。

図6-19 好感度 図6-20 元気さ

「話しやすそうな人だ。」においては、日本語教師(3.66)、韓国人学習者(3.04)であり、

これらの項目は全て、日本語教師は平均値を上回り、韓国人学習者は平均値を下回った。「協 調性がありそうな人だ」においては、日本語教師(3.48)、韓国人学習者(3.33)であり、

どちらも平均値を下回った。本論文の対象は、プレゼンテーションであるため、少し低く なったのではないかと考える。

図6-21 話しやすさ 図6-22 協調性

「落ち着いていそうな人だ。」においては、日本語教師(3.50)、韓国人学習者(3.36)で

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あり、日本語教師は平均値から低く、韓国人学習者は平均値から高かった。「外見が魅力的 である。」においては、日本語教師(3.35)、韓国人学習者(2.92)であり、どちらも平均値 を下回り、特に韓国人学習者においては、平均値から大きく離れていた。

図6-23 落ち着き 図6-24 外見の魅力

以上の平均値を、t検定を用いて有意差を確認した結果、「積極的な人だ。」、「親しみやす い人だ。」、「しっかりした人だ。」、「信頼できそうな人だ。」、「好きになれそうな人だ。」、「知 的な人だ。」、「まじめな人だ。」、「好感の持てる人だ。」、「元気そうな人だ。」、「話しやすそ うな人だ。」、「責任感が強そうな人だ。」、「率直な人だ。」、「誠実な人だ。」、「魅力のある人 だ。」、「明るい人だ。」、「自信のある人だ。」において有意差が見られた。このように「対人 印象」に関する20 項目のうち16 項目において有意差が見られたということは、日本語教 師と韓国人学習者との間で評価の差が大きかったと考察される。

続いて、因子分析の結果、日本語教師が韓国人学習者のプレゼンテーションを聞く際に は、【社会的望ましさ】、【活動性】、【個人的親しみやすさ】という3つの観点を持っており、

韓国人学習者は、【個人的親しみやすさ】、【社会的望ましさ】、【活動性】と、日本語教師と 同じ3つの観点を持っていることが分かった。この結果は、西郡(1997)の、「個人的親し みやすさ」と「社会的望ましさ」の 2因子、および林(1978)のいう認知次元である「個 人的親しみやすさ」と「社会的望ましさ」、「活動性(ないしは力本性)」の3因子と一致し ている部分がある。

さらに、本論文と同じように探索的因子分析を行なった崔(2013)では、「個人的親しみ やすさ」、「言語能力」、「社会的望ましさ」、「待遇性」、「活動性」、「パラ言語能力」の 6 因 子が得られたが、このうち、「個人的親しみやすさ」、「社会的望ましさ」、「活動性」が一致 していた。このことから、林(1978)や西郡(1997)、崔(2013)とそれぞれ研究対象が 異なっていても、対人印象を形成する要因は変わりがないことが示唆された。

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第 7 章 言語・パラ言語および非言語的特徴と対人印象に関する評価が