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第 8 章 言語・パラ言語および非言語的特徴の評価が対人印象評価に与える影響

8.5 考察

日本語教師と韓国人学習者とでは因子構造が異なるため、ここでは分けて考察を行なう。

まず、日本語教師の「対人印象」に関する評価の観点である【社会的望ましさ】におい ては、【プレゼンテーション向きの話し方】と【非言語およびパラ言語能力】、【会話ストラ テジー】が有意に寄与していた。また、【活動性】においては、【非言語およびパラ言語能 力】が有意に寄与しており、【個人的親しみやすさ】においては、【非言語およびパラ言語 能力】と【プレゼンテーション向きの話し方】が有意に寄与していることが明らかになっ た。

つまり、日本語教師が【社会的望ましさ】という観点において良い評価を与えると考え られるのは、話のスピードや間の取り方が適切であり、話し方が丁寧であるという【プレ

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ゼンテーション向きの話し方】を持つ学習者や、表情が豊かであり、身振り手振りが適切 で、聴衆への目や体の向け方が適切であるという【非言語およびパラ言語能力】を持つ学 習者であった。これらの中では少し寄与が弱かったが、フィラーや語尾伸び、途中終了が 少ないという【会話ストラテジー】を持つ学習者であることがわかった。崔(2007)の結 果では、【社会的望ましさ】の因子には「言語・パラ言語・非言語評価」の全てが影響を与 えていたと述べているが、本研究においては、「言語・パラ言語・非言語評価」に関する評 価からの影響が見られなかった。

崔(2007)では、外見が魅力的であり表情が豊かで、身振り手振りを使って一生懸命に 表現をするという「視覚的な非言語的特徴」の要因を持つ学習者や、あいづちや間の取り 方がうまく、二人の対話に協力的という「相手に関わるパラ言語・非言語的特徴」を持つ 学習者であった。しかし、本研究では、【活動性】の観点において良い評価を与えると考え られるのは、前述の【社会的望ましさ】の観点と同様、話のスピードや間の取り方が適切 であり、話し方が丁寧であるという【プレゼンテーション向きの話し方】を持つ学習者で あった。

最後に、【個人的親しみやすさ】の観点において良い評価を与えると考えられるのは、前 述の【社会的望ましさ】と【活動性】の観点と同様、話のスピードや間の取り方が適切で あり、話し方が丁寧であるという【プレゼンテーション向きの話し方】を持つ学習者およ び【社会的望ましさ】の観点と同様、身振り手振りが適切で、聴衆への目や体の向け方が 適切であるという【非言語およびパラ言語能力】を持つ学習者であった。しかし、崔(2007)

では、表情が豊かで身振り手振りを使って一生懸命表現する学習者や外見が魅力的な学習 者、あいづちや間の取り方がうまく二人の対話に協力的であるという「相手に関わるパラ 言語・非言語的特徴」を持つ学習者であった。

以上、本研究の結果を、崔(2007)と比較しその結果、両研究においては大きな違いが 見られた。その理由としては、崔(2007)の研究は初対面会話であり、本研究はプレゼン テーション場面であるためではないかと考えられる。

本研究の日本語教師による結果から、日本語教師が韓国人学習者の印象について評価を する際には、【非言語およびパラ言語能力】の影響がもっとも大きく、次には、【会話スト ラテジー】の影響が大きいことが示唆された。つまり、日本語教師にとっては、話のスピ ードや間の取り方が適切であることがもっとも重要であることが言える。

次に、韓国人学習者の「対人印象」に関する評価の観点である【個人的親しみやすさ】

においては、【非言語およびパラ言語能力】が有意に寄与していた。また、【社会的望まし さ】においては、【正確さおよび流暢さ】と【非言語およびパラ言語能力】が有意に寄与し ていた。そして、【活動性】を評価する際には、「非言語およびパラ言語能力」が有意に寄 与していた。

すなわち、韓国人学習者が【個人的親しみやすさ】という観点において良い評価を与え ると考えられるのは、表情が豊かであり、身振り手振りが適切で、聴衆への目や体の向け

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方と間の取り方が適切であるという【非言語およびパラ言語能力】を持つ学習者であるこ とが示唆される。

次に、【社会的望ましさ】の観点において良い評価を与えるのは、正しい文法や語彙を駆 使し、単語や表現をよく知っており、話し方が流暢である等という【正確さおよび流暢さ】

と、【社会的望ましさ】と同様、表情が豊かであり、身振り手振りが適切で、聴衆への目や 体の向け方と間の取り方が適切であるという【非言語およびパラ言語能力】を持つ学習者 であった。

最後に、【活動性】という観点において良い評価を与えると考えられるのは、上述の【個 人的親しみやすさ】と【社会的望ましさ】と同様、表情が豊かであり、身振り手振りが適 切で、聴衆への目や体の向け方と間の取り方が適切であるという【非言語およびパラ言語 能力】を持つ学習者であることが明らかになった。

以上の韓国人学習者による結果から、韓国人学習者が韓国人学習者の印象について評価 をする際には、【非言語およびパラ言語能力】影響がもっとも大きいことが示唆された。ま た、【正確さおよび流暢さ】の評価からの影響もあることが考察される。

日本語教師と韓国人学習者の両グループを比較して見ると、共通していることは、表情 が豊かな表情や適切な身振り手振り、聴衆への目や体の向け方などの要素や印象を左右し ていることである。これは本研究の対象場面がプレゼンテーションであることから、聴衆 への姿勢が大きい影響を与えていたと考えられる。両グループで差が見られたのは、話の スピードや間の取り方が適切であることがもっとも重要であると考える日本語教師に比べ、

韓国人学習者は文法や語彙の正しく使うことや日本語が流暢であることが、対人印象をよ くしているということである。教師は非教師に比べ、言語の面に厳しく評価をするという 先行研究を概観してきたが(Hadden,1991;Brown,1995;Okamura,1995;渡部,2003a等)、 厳しく評価をするということが必ずしも悪い対人印象へと繋がらないということが示唆さ れる。

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