第1章 で説明したとおりの手続で、被害者認定・支援プロセスのできるだけ早 い段階で実施するべきである。
前掲 3. 1.1 で多国間での委託手続きについて述べたのと同じ基本的考慮事項 が、一国内での委託についても当てはまる。
3.2 社会復帰
3.2.1 社会復帰のための評価と立案
被害者ひとりひとりの社会復帰計画を策定するためには、社会復帰評価が重要 である。それぞれの被害者について 2 種類の評価を実施することが求められ る。
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個人評価は、当該被害者に直接関連する要素に焦点を当てたもの。
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状況評価は、被害者が置かれている環境の外因的状況(たとえば、被害者が 帰還した国・地域における特定の社会経済的状況や社会復帰支援体制)に焦 点を当てたもの。
残念ではあるが、ひとつの支援団体が提供しうる選択肢だけでは、被害者の ニーズを満たすのに十分ではない場合があることも現実である。したがって、
利用可能な選択肢と可能性について被害者が現実的な見通しを持てるようにす
ることは欠かせない。被害者の効果的社会復帰プロセスにとって有害となる可
能性がある、非現実的な期待を生じさせないようにすることが肝要である。
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社会復帰計画は必ず受入れ先の国で作成するべきであり、けっして委託元の国 で作成してはならない。委託元の国の団体は、受入れ先の国の状況について十 分な評価を行なえる立場にはないし、被害者が委託元団体による説明を誤って 理解し、社会復帰のための具体的な選択肢を約束されたと受けとめることも防 止できないためである。委託元団体はむしろ、最終的な社会復帰計画について の判断は受入れ先の国で行なわれる旨、被害者に知らせておくことが求められ る。ただし委託元団体は、後述のとおり、被害者のニーズや希望に関して基礎 的な個人別評価を実施し、その結果を出発前の通知とともに受入れ先団体に 送っておくべきである。
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社会復帰プロセスにおいては、被害者の当面の福祉が常に主たる関心事とされるべきで ある。したがって、通常は安全と健康にかかわる問題が優先されることになる。利用可 能な人的・財政的資源と時間が限られている場合はなおさらである。
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3.2.1.1 個人的事情からみた社会復帰評価
この評価は、被害者の事情をもっともよく把握している者が実施するべきであ る。支援提供団体のスタッフ、ソーシャルワーカー、子どもの後見人、NGO スタッフ、心理学者などが考えられる。担当者は、各々の被害者の社会復帰お よび生活の建て直しがうまくいくことをめざし、次の4つの基準に基づいて社 会復帰支援の選択肢を検討することが求められる。
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何よりも、被害者がどのようなニーズを有しているか。身体的・心理的・精 神的・法的・社会的・経済的ニーズなどが考えられる。
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被害者が特にどのような希望を有しているか。また、社会復帰のための特定 の選択肢ないしサービスについて、個別にどのような希望を有しているか
(実際に利用可能かどうかは問わない)。
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その被害者にとってどのような可能性がありうるか。この点は、たとえば年 齢、ジェンダー、教育水準、労働経験など、被害者の特有の事情により影響 を受ける場合がある。
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被害者がどの程度意欲があると思われるか。この点は、たとえば提供された
社会復帰支援にかかわる参加の度合いおよび成果や、個人的状況を通じて判
断することができる。
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多国間での委託が行なわれる場合、個人別評価は委託元団体が開始するべきで はあるが、最終的なとりまとめは出身国の受入れ先団体が行なうべきである。
3.2.1.2 状況からみた社会復帰評価
個人的事情の評価とあわせて状況からみた評価も実施しなければならない。状 況評価は、被害者の個人的な事情に加えて、出身国内の被害者の出身地の事情 についても最も詳しい者が実施するべきである。支援提供団体のスタッフ、
ソーシャルワーカー、NGOスタッフ、心理学者などが考えられる。担当者は、
状況にかかわる次の2つの基準に基づいて、各々の被害者にとっての社会復帰 のための選択肢を検討することが求められる。
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被害者が利用可能な社会復帰のための選択肢にはどのようなものがあるか。
たとえばある種の職業訓練は、特定の出身地域では利用できなかったり、必 要な資金がないために提供できなかったりするかもしれない。同様に、シェ ルター、医療サービス、政府の福祉・教育プログラムも、被害者の居住地で は提供されていない可能性があろう。
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提案された社会復帰支援は、被害者の特有の状況に照らしてどの程度適合が あるか。たとえば職業訓練は、出身国内で被害者が暮らす地域で意味のある ものでなければならない(職業訓練で簿記を学んでも、被害者が暮らす地域 で会計士の失業率が高かったり、簿記がそれほど重視されていなかったりす れば的外れになってしまう)。
3.2.1.3 社会復帰計画
個人別・状況別評価に基づき、包括的な社会復帰計画の策定が可能になる。社
会復帰計画の策定にあたって重要なのは、受入れ先の支援提供団体や提携
NGO が被害者を支援し、社会復帰評価の結果にしたがって、被害者の個人的
ニーズ、技能、資格のみならず社会復帰が進められる国・地域・居住地で見出
しうる機会にもあった現実的目標を設定できるようにすることである。さら
に、社会復帰計画は、支援提供団体やその提携団体が現行のプログラムを通じ
て実際に提供可能な支援策に基づいて立案しなければならない。この点は、社
会復帰評価の際に明確にしておくべきである。
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社会復帰計画は、たとえ将来的に変更しなければならない可能性があるとして も、支援団体(たとえば国際機関、NGO、政府機関)と被害者との間で書面 として作成することが推奨される。具体的な書式は国によっても団体によって も異なるだろうが、次の要素のうち該当するものを含め検討するのが通例であ る。
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家庭内調停/家族再統合
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医療/保健関連
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財政関連(再定住のための援助金、家族・被扶養者の扶養援助金)
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法律関連
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教育/職業訓練/実習
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所得創出活動
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安全確保
前述したとおり、支援は、十分な情報に基づく被害者の全面的同意がある場合 にのみ提供するようにしなければならない。そのため、支援提供団体として は、上の要素のうち該当するものひとつひとつについて、同意書に被害者の署 名を得ることを検討すべきである。未成年者の場合、本人に加え、その親また は公的後見人の署名を得ることが求められる。
実際の社会復帰計画は、以下に見るように、モニタリングと事後評価の手段と
しても機能するものである。
ドキュメント内
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