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危機と非常事態の区別

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被害者の差し迫ったニーズが何かを決定するときには、危機と非常事態とを区

別することが欠かせない。いずれも緊急性の要素をはらんでおり、注意が必要

な点では変わりがないが、緊急性がとりわけ重大なのは非常事態のほうであ

る。非常事態とは、突然生じた危険な状態、またはただちに対応・治療するこ

とが必要であって一刻の遅れも許されない医学的状態を指す。

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一般的に見られる身体的トラウマ症状と医学的非常事態との区別 ほとんどの場合、支援提供団体のスタッフとシェルター・マネージャーは、医 師による緊急の対応を必要とする被害者がシェルター入所前に適切なケアを受 けているようにしているはずである。とはいえ、シェルター・スタッフは、人 身取引被害者に一般的に見られる身体的徴候や、医師による即時の対応が必要 であることを示す徴候がないかどうか、常に目を光らせていることが求められ る。

人身取引被害者に一般的に見られる身体的反応については、このハンドブック の第5章を参照されたい。最初の面接の担当者は、被害者が全般的にどのよう な身体的状態にあるかを検討しつつ、そのような徴候を認知して初期ケース ファイルに記録する能力を備えていることが求められる。医師による緊急の対 応が必要であることを示す徴候が認められるときは、面接担当者は被害者に状 況を説明し、シェルターの医師または医務担当者に連絡をとって診断を求める べきである。

心理的危機と心理的非常事態との区別

新規に受け入れた被害者に対し、通常の医療ケアの過程で心理的ケアも提供す る必要があるかどうか、または心理療法士ないし精神医による緊急の対応が必 要とされるかどうか判断するために、面接担当者は、心理的危機と心理的非常 事態を区別する能力を有していることが求められる。後者の場合は緊急の対応 が必要である。

危機: シェルターに到着した人身取引被害者のほとんどは、ストレスおよびそ こから生じる心理的不均衡のために心理的危機の状態にある。これは、通常の 反応機制が十分に機能しなくなり、支援がなければ困難に対処できなくなって いる状態、または最近の経験によって反応機制が完全に麻痺している状態であ る。このような状態は数日から数か月続く場合があり、継続的なケア、カウン セリングおよび支援が求められる。極度の不安・動揺や抑うつ・敗北感をとも なうのが通例であり、被害者はいつもの日課を通常のやり方では(あるいは まったく)処理できなくなる。

適切な危機介入策としては、アセスメントやカウンセリングの継続のほか、被

害者の適応機能をできるかぎり早く従前の水準まで回復させることを目的とし

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たその他の介入策などがある。

非常事態: これとは対照的に、心理的非常事態とは、生じるおそれがある害を 回避するためにただちに対応しなければならない深刻な状態を指す。

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どのような状態が非常事態に相当するか?

自殺のおそれ−被害者が、自分を傷つけたいという思いを明示的・黙示的に表明して いる。

他害のおそれ−被害者が、他人を傷つけたいという思いまたはそのような力があるこ とを明示的・黙示的に表明している。

被害者が、判断力が深刻に損なわれている徴候または危険な状態にある徴候を示して いる(たとえば譫妄、認知症、精神性疾患の急性症状発現など)。

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上記のいずれかの徴候が存在する(またはそう疑うに足る理由がある)とき は、面接担当者はただちにシェルターの心理療法士・精神医・医師やシェル ター・マネージャーと協議するべきである。このような心理的非常事態への対 応方法についてさらに詳しくは、このハンドブックの第5章5.12.2で述べて いる。

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未成年者の場合、法定後見人、または子どもの保護にかかわる他の適切な機関とただち に連絡をとり、非常事態ケアについて協議することが求められる。

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最初の面接で非常事態ケアの必要性が明らかにならなかったとき、または必要 な非常事態ケアがすでに提供されているときは、被害者の面接担当者は、被害 者との最初の面接の最終段階に移行することが求められる。

4.5.10 最初の面接の終了

被害者との最初の面接の最終段階として、面接担当者は次のような対応をとる ことが求められる。

被害者に情報パックを渡す。

被害者に、規則および同意書に署名してもらう。

被害者のためにこれからどのような対応がとられるか、その概略を説明する。

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