第4章 別府ハットウ・オンパクのリーダーの発達
4.3 インタビュー調査の結果
4.3.3 発達プロセスに関連する要因
の内部的な仕事はスタッフに任せ、対外的な仕事(オンパク手法の他地域拡散)に従事 するようになった。ただし、C氏がA氏について次のように述べている通り、スタッフに すべてを任せきりにするのではなく、必要な時にはフォローを行っている。
僕らが好き勝手にまちづくりして色々荒らすわけですよ、人間関係を(笑) そういう時にきちっとフォローしてくれる、若手を守ってるっていう意識が 強いですね。だから自由にさせて、走らせて、隠れ、知らないとこで謝って いただいてる。
さん取るかっていう話だけ。(中略)そうじゃないと分かってくんないから。
しょうがないから。同じ空間、あなたの味方みたいにいつもそばにいると、
あなたと一緒にいる人みたいになるじゃないですか。そうすると、何人か言 うこと聞くようになるの。いる時間が長い人はやっぱり、話も聞いてくれる し。
A氏はカルチャーショックを経て、まずは情緒的に地域住民へアプローチすることによ り地域内における信頼を獲得していった。信頼されるようになった上で A 氏はまちづく りの方向性を地域住民に論理的に説明し、その理屈を理解してもらえるようにした。そ して、まちづくり活動を行っていった。
(2)地域の先輩
A氏のまちづくり萌芽期において、A氏のまちづくりの考え方を理解しつつ、第三者の 視点から冷静に支援する地域の先輩の存在は A 氏に影響を与えていた。具体的には、ま ちづくりを進める上での人の配置、資金調達方法を先輩の客観的な視点から学んだ。A 氏は地域の先輩について、次のように述べている。
分かってくれる先輩がほんと二人いました。一人は旅館業界、一人は料飲 業界。悩みの師なので、人事とお金の時は相談にいきますね。やっぱり人と 金の話は最後まで付いて回るから。
〔筆者:人の相談とは〕人事。人をどこに付けるかとか。先輩方だと少し こう、俯瞰的な目とかあるいは第三者的な目があって。
〔筆者:お金に関しては〕事業に関するお金の調達問題。事業大きくしよ うと思ったらお金がいるし、全部が全部補助金だけでできるわけじゃないか ら。自分で運転資金調達しなきゃいけなかったり。
また、B氏は表 4.1の通り、A氏から別府八湯竹瓦倶楽部代表世話人を任されたこと が契機となり、その後別府のまちづくりにA氏とともに取り組んでいった。B氏にとって、
A氏が地域の先輩であった。
(3)国際交流
A氏の仕掛けにより、別府は1998年から3年間、海外の温泉地と交流する温泉文化交 流事業を行う。このときの様子をA氏は次のように述べている。
国際交流が始まって、ドイツ・イタリア・日本でシンポジウムをやるわけ ですよ。8ケ国呼んで、温泉地を。ここで初めて温泉地とか観光地のマネジ メントの話とか、ドイツなんか特に出てくるんですよ。観光地のマネジメン トしなきゃいけないとか。(中略)1週間別府にいて、8ヶ国の人がディス カッションを重ねたんですよね。ほんとに長い間話し合って、共通点がいく つかあって、それがやっぱ自然の保全とかね、そういうことだったの。歴史 をいかに大切にするかとか。地域の文化は何なんだとか。残るのはその話で したね、ほとんど。今の現況はいくら言っても、共通の理念っていうものは、
大切にしたいのは、もうやっぱりここらへんでなんとなく分かったの(笑)。
あ、みんな一緒なんだ、ブレないとこは。
A氏は、海外温泉地との意見交換や視察を通じて、地域が軸とすべきもの(自然・歴史・
文化)に気付き、それをまちづくりにつなげていった。これらの軸は後に、4.2.1で 述べた通り、別府ハットウ・オンパクの軸となる。