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観光まちづくりにおけるリーダー回答データの因子分析結果

第6章 観光まちづくりにおけるリーダーの発達尺度の検討

6.2 結果

6.2.3 観光まちづくりにおけるリーダー回答データの因子分析結果

(1)リーダーのマインド

観光まちづくりにおけるリーダーのマインドを6件法で測定した12項目について、基 本統計量を表 6.16に示す。天井効果が6 項目、床効果が1 項目出たが、確認的因子 分析やリーダー発達仮説モデルの検討を見据えて、観光まちづくりにおけるリーダーの マインドを把握する上ですべての項目が重要であるとここでは判断し、すべての項目を 以降の分析にも用いていく。

表 6.16 観光まちづくりにおけるリーダーのマインド項目についての基本統計量

項目 平均値 標準偏差

地域のことが好きである 5.45 0.832

色々なことを知りたいと思う 5.48 0.626 色々なことにチャレンジするのが好きである 5.43 0.676 まちづくり活動において収益を考える必要はないと思う 2.20 1.237 地域がどのようにあるべきか、ということは気にならない 1.68 1.062 自ら進んで新しいことを学ぶ 5.09 0.844 リスクが高い場合、新しいことには取り組まない 2.74 1.253 まちづくり活動の際は、収益が上がるよう収支バランスをよく考え

る 4.64 1.151

地域の将来が気になる 5.54 0.661

難しいことは理解することを諦める 2.25 1.164 困難なことでも前向きに取り組む 4.90 0.977 まちづくり活動の持続のために、収益を上げることは重要であると

思う 5.14 1.002

※逆転項目

出所:調査結果に基づき筆者作成

次に、探索的因子分析を行った。この分析には、SPSS Statistics version 19を用い た。抽出法は母集団まで結果を拡張し一般化する場合に用いられ、かつ適合度の検定が 可能な最尤法(今野,2012a:187)を選択し、因子間に相関があることを仮定してプロ マックス回転(小塩,2011:134)によって分析した。適合度はカイ 2 乗値で表される。

これは「モデルが正しい」ことを帰無仮説とした指標であるため、帰無仮説が棄却され なければ適合がよいということになる。共通性0.16以上、因子負荷量.40以上を基準に 項目の取捨選択を行った(小塩,2011:140-141)。また、1つの項目が複数の因子に高い 負荷量(.30以上)を示す場合、その項目は削除した。分析の結果、3因子が抽出された。

各因子の固有値は 1 以上であり、回転前の 3 因子で 9 項目の全分散を説明する割合は

52.9%であった。カイ2乗による適合度検定の結果、有意確率.590であったため、この

3因子構造は十分なモデルと判断できる。プロマックス回転後の因子パターンと因子間相 関を表 6.17に示す。

第1因子は4項目で構成されており、「自ら進んで新しいことを学ぶ」や「色々なこと にチャレンジするのが好きである」といった項目に高い負荷量を示した。そこでこの因 子を「積極的に学ぶ姿勢」と命名した。第2因子は3項目で構成されており、「まちづく り活動において収益を考える必要はないと思う」という項目に対して負の負荷量を示す 一方、収益を上げることの重要性の認識や収益が上がるよう収支バランスを考えること に対して正の負荷量を示した。そこでこの因子を「収益意識」と命名した。第 3 因子は

「地域のことが好きである」と「地域の将来が気になる」の 2 項目で構成されていた。

そこでこの因子を「地域への想い」と命名した。

表 6.17 観光まちづくりにおけるリーダーのマインドの因子分析結果

項目 Ⅰ Ⅱ Ⅲ

自ら進んで新しいことを学ぶ .869 .020 -.082 色々なことにチャレンジするのが好きである .754 -.064 -.017 色々なことを知りたいと思う .560 -.081 .282 リスクが高い場合、新しいことには取り組まない -.425 -.162 .089

まちづくり活動において収益を考える必要はないと思う -.053 -.751 -.029 まちづくり活動の持続のために、収益を上げることは重要である

と思う

-.011 .741 .008

まちづくり活動の際は、収益が上がるよう収支バランスをよく考 える

-.011 .687 .008

地域のことが好きである -.147 .011 .944 地域の将来が気になる .281 .057 .452

因子間相関 Ⅰ Ⅱ Ⅲ

Ⅰ ― .123 .275

Ⅱ ― .016

Ⅲ ―

出所:調査結果に基づき筆者作成

抽出された因子の内的整合性を検討するため、クロンバックの信頼性係数を算出した。

その際、負の因子負荷量を示した「リスクが高い場合、新しいことには取り組まない」

と「まちづくり活動において収益を考える必要はないと思う」は、逆転項目の処理を行 う必要があるため(小塩,2011:155)、信頼性係数を算出する前に処理を行った。信頼 性分析の結果、「積極的に学ぶ姿勢」のα係数は.680であった。ただし、項目合計統計量 の「項目が削除された場合の Cronbach のアルファ」によると、「リスクが高い場合、新 しいことには取り組まない」を削除すると、「積極的に学ぶ姿勢」のα係数が.776に上昇 することがわかった。そこで、「リスクが高い場合、新しいことには取り組まない」を削 除し、本研究においては「積極的に学ぶ姿勢」は 3 項目で構成されているものとする。

次に、「収益意識」のα係数は.769で高い値であった。一方、「地域への想い」のα係数 は.602で、他の因子に比べて低い値であった。本研究における今後の検証の際には、「地

域への想い」は慎重に扱う必要がある。

(2)リーダーの発達促進要因

観光まちづくりにおけるリーダーの発達促進要因を6件法で測定した10項目について、

基本統計量を表 6.18に示す。「他地域視察が、地域での自分の活動に影響を与えた」

で天井効果が見られた。その他の項目は天井効果・床効果まではいかなかったが、得点 の偏りが見られた。確認的因子分析やリーダー発達仮説モデルの検討を見据えて、観光 まちづくりにおけるリーダーの発達促進要因を把握する上ですべての項目が重要である とここでは判断し、すべての項目を以降の分析にも用いていく。

表 6.18 観光まちづくりにおけるリーダーの発達促進要因項目についての基本統計量

項目 平均値 標準偏差

地域の外で暮らした経験が、地域での自分の活動に影響を与えた 4.70 1.407 自分とは異なる価値観に衝撃を受けたことがある 4.91 0.948 自分の考え方の手本になった人物がいる 4.94 1.145 他地域視察が、地域での自分の活動に影響を与えた 5.05 0.820 地域の経済状況の悪化に衝撃を受けたことがある 4.40 1.166 自分の行動の手本になった人物がいる 4.75 1.143 他地域との人的交流が、地域での自分の活動に影響を与えた 4.98 1.011 地域に対する住民の低評価に衝撃を受けたことがある 4.22 1.176 まちづくり活動で行き詰まった際に、対処の仕方を相談した人物が

いる 4.51 1.044

地域の外での仕事経験が、地域での自分の活動に影響を与えた 4.64 1.478 出所:調査結果に基づき筆者作成

次に、探索的因子分析を行った。抽出法は最尤法を選択し、因子間に相関があること を仮定してプロマックス回転によって分析した。共通性0.16以上、因子負荷量.40以上 を基準に項目の取捨選択を行った。また、1つの項目が複数の因子に高い負荷量(.30以 上)を示す場合、その項目は削除した。分析の結果、3因子が抽出された。各因子の固有 値は1以上であり、回転前の3因子で7項目の全分散を説明する割合は55.9%であった。

カイ2乗による適合度検定の結果、有意確率.878であったため、この3因子構造は十分 なモデルと判断できる。プロマックス回転後の因子パターンと因子間相関を表 6.19

に示す。

第 1 因子は「自分とは異なる価値観に衝撃を受けたことがある」と「地域に対する住 民の低評価に衝撃を受けたことがある」の 2 項目で構成されていた。そこでこの因子を

「ショック」と命名した。第 2 因子は「地域の外での仕事経験が、地域での自分の活動 に影響を与えた」と「地域の外で暮らした経験が、地域での自分の活動に影響を与えた」

の2 項目で構成されていた。そこでこの因子を「地域外経験」と命名した。第 3 因子は

「他地域視察が、地域での自分の活動に影響を与えた」が高い負荷量を示し、他の項目 は他者とのつながりに関するものであった。そこでこの因子を「他の人とのつながり」

と命名した。

表 6.19 観光まちづくりにおけるリーダーの発達促進要因の因子分析結果

項目 Ⅰ Ⅱ Ⅲ

自分とは異なる価値観に衝撃を受けたことがある .996 .013 -.007 地域に対する住民の低評価に衝撃を受けたことがある .505 -.008 .058 地域の外での仕事経験が、地域での自分の活動に影響を与えた .028 .921 -.047 地域の外で暮らした経験が、地域での自分の活動に影響を与えた -.017 .599 .049 他地域視察が、地域での自分の活動に影響を与えた .021 -.119 .853 他地域との人的交流が、地域での自分の活動に影響を与えた -.088 .242 .591 自分の考え方の手本になった人物がいる .167 .032 .432

因子間相関 Ⅰ Ⅱ Ⅲ

Ⅰ ― .194 .311

Ⅱ ― .458

Ⅲ ―

出所:調査結果に基づき筆者作成

抽出された因子の内的整合性を検討するため、クロンバックの信頼性係数を算出した。

「ショック」のα係数は.673でやや低く、「地域外経験」のα係数は.715で高い値、「他 の人とのつながり」のα係数は.662でやや低い値であった。なお、「他の人とのつながり」

については信頼性分析によると、「自分の考え方の手本になった人物がいる」を除くとα 係数が.675に上がる。そこで本研究では、「他の人とのつながり」因子は「他地域視察が、

地域での自分の活動に影響を与えた」と「他地域との人的交流が、地域での自分の活動 に影響を与えた」で構成されるものとする。

(3)リーダーシップスキル

観光まちづくりにおけるリーダーシップスキルを6 件法で測定した11項目について、

基本統計量を表 6.20に示す。「地域のことを知るために、地域をよく見て回る」で天 井効果が見られた。その他の項目は天井効果・床効果まではいかなかったが、得点の偏 りが見られた。確認的因子分析やリーダー発達仮説モデルの検討を見据えて、観光まち づくりにおけるリーダーシップスキルを把握する上ですべての項目が重要であるとここ では判断し、すべての項目を以降の分析にも用いていく。

表 6.20 観光まちづくりにおけるリーダーシップスキル項目についての基本統計量

項目 平均値 標準偏差

自分の考えを論理的に説明し、周囲に理解してもらおうとする 4.68 1.017

地域のことを知るために、地域をよく見て回る 5.05 0.663 課題を明確に認識するため、情報収集と分析をする 4.68 0.946 自分の考えを、パンフレットや自分自身の行動といった「形」で見

せることで、周囲に理解してもらおうとする 4.57 1.030 地域の魅力を、他の地域の魅力と比較する 4.53 1.119 さまざまな情報を組み合わせて、新しいものを創り出すことができ

る 4.79 0.865

立場や価値観の異なる人同士が理解し合えるような「場づくり」が

できる 4.57 1.041

地域の魅力は、誰にどのように魅力的なのか、分析する 4.63 0.891 相手を理解しようと傾聴し、相手の考えを引き出すことができる 4.60 0.855

目標達成までの計画を具体的に立てることができる 4.59 0.883 関係者の意見対立を解消し、合意を形成することができる 4.48 0.874 出所:調査結果に基づき筆者作成

次に、探索的因子分析を行った。抽出法は最尤法を選択し、因子間に相関があること