第 3 章 企業の行動 92
3.9 独占企業の行動
3.9.2 独占企業の利潤最大化
利潤は収入から費用を引いたものであるから1単位産出量を増加させたときの独占企業 の利潤の変化は次のように表される。
利潤の変化D産出量の増加による収入の増加 産出量の増加による費用の増加 D限界収入 限界費用
*22この式は価格を需要の関数として表しているので逆需要関数と呼ばれることもある。
3.9 独占企業の行動 127 産出量 価格 収入 総 費 用 限界収入 限界費用 利潤
0 320 0 500 – – –500
1 310 310 650 310 150 –340
2 300 600 770 290 120 –170
3 290 870 870 270 100 0
4 280 1120 950 250 80 130
5 270 1350 1020 230 70 330
6 260 1560 1080 210 60 480
7 250 1750 1150 190 70 600
8 240 1920 1230 170 80 690
9 230 2070 1330 150 100 740
10 220 2200 1450 130 120 750
11 210 2310 1600 110 150 710
12 200 2400 1780 90 180 620
13 190 2470 1990 70 210 480
14 180 2520 2230 50 240 290
15 170 2550 2500 30 270 50
表3.3 独占企業の利潤最大化
したがって限界収入が限界費用より大きい間は産出量の増加によって利潤が増えるが,限 界費用が限界収入より大きくなると産出量の増加によって利潤は減る。その境目のところ で利潤が最も大きくなる。
表3.3では産出量10のとき利潤が最大の750となる。この産出量10に対する限界収 入は130でそのときの限界費用120を上回っているが,1単位多い産出量11については 限界収入110,限界費用150で限界費用の方が40大きくなり利潤も40減少する。一般的 には次のことが言える。
独占企業の利潤最大化条件 独占企業にとって利潤が最大となる産出量はその産出量のと きの限界費用が限界収入より低いかまたは等しく,1単位産出量を増やすと限界費 用が限界収入を上回るようになる水準である。
これは競争的な企業の利潤最大化条件において価格のところが限界収入に置き換わった形 になっている。上で述べたように競争的な企業の場合には価格と限界収入とが等しくなっ ているわけである。
産出量が分割可能な場合には限界費用が限界収入にいくらでも近くなるように産出量を
産出量 限界費用
平均可変費用
価 格 MC
MR D pm
p
E A
B
xm
図3.12 独占企業の利潤最大化-産出量が分割可能な場合
選ぶことができるので独占企業の利潤最大化の条件は以下のようになる*23。
独占企業の利潤最大化条件(産出量が分割可能な場合) 産出量が分割可能な場合には独 占企業は限界費用と限界収入が等しくなるように産出量を選ぶことによって利潤を 最大化する。
これは図3.12のように表される。図のMRは限界収入を表す曲線(限界収入曲線)であ る。点Eが独占企業の利潤を最大化する点を表し,そのときの産出量はxm で示されて いる。表3.3からわかるように各産出量に対して限界収入はそのときの価格より低いので MRは需要曲線より下に位置している。点Eで限界収入曲線と限界費用曲線が交わって いる。点Aはこの産出量に対応する需要曲線上の点でありそのときの価格pmが独占企 業がつける価格(『独占価格』と呼ぶ)である。
3.9 独占企業の行動 129