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危険回避的,危険中立的,危険愛好的な効用関数について

ドキュメント内 i * III () 23. *1 (ページ 96-99)

第 2 章 消費者の行動 25

2.10 不確実性と期待効用

2.10.2 危険回避的,危険中立的,危険愛好的な効用関数について

不確実性を含む問題と通常の消費問題との違い 不確実性を含まない通常の消費の場合,

財の種類(余暇も含めて)が1種類であれば持っている予算をすべて使ってその財 を買うしかない。したがって少なくとも2つ以上の財がなければ消費の選択が問 題にはならない。一方不確実性を含む場合は財の種類が1種類であっても「くじ」

(不確実性を含む資産)の選択が意味のある問題になる。以下そのような設定で考 える。

基数的効用と序数的効用 通常の消費の場合,無差別曲線(財の種類が2つの場合)が 同じであれば効用関数の形が異なっていても消費者の行動は同じである*28。した

*28財の種類が3つ以上の場合は無差別曲線ではなく無差別曲面(4次元以上の場合も曲面と呼

り3乗したり,指数関数にしたり対数をとったり,あるいはそれ以外の操作を行っ ても,効用の大きさの順序に変化がなければ消費者の行動は変わらず同一の効用関 数と見なされる。しかし不確実性を含む問題の場合(「期待効用定理」のもとで)

くじを構成するそれぞれの場合の効用の期待値をとってくじを比較するので,効用 の値に定数を加えるのと,定数倍する以外の操作(2乗,3乗するなど)を行うと くじの選択が変わってきてしまうからそのようにして作った効用関数は異なる効用 関数と見なさなければならない。期待効用定理を満たす効用関数がフォン・ノイマ ン-モルゲンシュテルン型効用関数であり,このタイプの効用関数については定数 を加えることと定数倍する操作だけが許される。

危険回避的,危険中立的または危険愛好的な効用関数についてごく簡単な例を紹介す る。あるリスクのある資産(危険資産)への投資を行って得られる収益をxとし,それぞ れ確率 1

2 でxD100xD0であるとする。また他にリスクのない安全な資産があり,確 実にyD50の収益が得られるものとする。すなわち平均の収益は等しい。投資家が次の 3つの効用関数を持つ場合をそれぞれ考えてみよう。

1. uDx(あるいはa > 0,bを定数としてuDaxCb)

危険資産への投資から得られる期待効用はEŒu.x/D 1002C0 D 50であり,安全 資産への投資から得られる期待効用もEŒu.y/D 50であるから,この投資家は どちらへの投資からも同じ期待効用を得る。このような投資家は危険中立的(risk

neutral)であると言われ,リスクを気にせず平均の収益だけで投資先を選ぶ。

2. uDx2(あるいはuDax2Cb)

危険資産への投資から得られる期待効用はEŒu.x/ D 10022C02 D 5000であり,

安全資産への投資から得られる期待効用はEŒu.y/ D 502 D 2500であるから,

この投資家は危険資産への投資の方を選ぶ。このような投資家は危険愛好的(risk

loving)であると言われ,平均の収益が等しければリスクが大きい方の投資先を選

ぶ。正常な人間であれば危険愛好的にはならない。

3. uDp

x(あるいはuDap

xCb)

危険資産への投資から得られる期待効用はEŒu.x/ D p1002C0 D 5であり,安全 資産への投資から得られる期待効用はEŒu.y/Dp

50D5p

27:1であるから,

この投資家は安全資産への投資の方を選ぶ。このような投資家は危険回避的(risk

averse)であると言われ,平均の収益が等しければリスクが小さい方の投資先を選

ぶ。正常な人間であれば危険回避的である。

ぶがイメージはできない)になるが基本的な論理は同じである。効用が一定となるような各 財の消費量の組を表す点の集合が無差別曲面であり,適当な条件が成り立てば予算制約式の もとで効用を最大化する消費量の組が求まる。

2.10 不確実性と期待効用 87

u

x

危険中立的な効用関数

危険回避的な効用関数 危険愛好的な効用関数

x1 x2

u1

u2

N x A B C

図2.24 危険中立的・回避的・愛好的な効用関数のグラフ

危険中立的な人もいないと考えられるが,負に相関するものも含め様々な投資先が あって充分にリスクを分散させられるならば,危険回避的な人も危険中立的な人と 同じような行動をとるかもしれない。

以上の効用関数を簡単に図解してみよう。図2.24のように,危険回避的な効用関数は

下に凹(concave)(上に凸),危険愛好的な効用関数は下に凸(convex),危険中立的な効用

関数は線形(linear)のグラフで描かれる。xN D x1C2x2 である。x1とx2において3つの効 用関数の値が等しいと仮定すると,その中間のxNに対する危険中立的な人の効用の値は点 BにおけるuN D u1C2u2 に等しいが,危険回避的な人の効用は(点A)uN より小さく,危 険愛好的な人の効用(点C)はuNより大きい。確率12 ずつでx1,x2を手にするくじの期 待効用はすべての人にとってuNに等しいので,危険回避的な人はそのようなくじよりも確 実にxNが得られる場合を好み,逆に危険愛好的な人はくじの方を好む。また危険中立的な 人にとってはどちらも等しい効用を与える(無差別)。

■保険の例2 xを所得として3人の人の効用関数が次のようであるとする。

u1D20x x2; u2D20x; u3D20xCx2

確率的に起きる事故によって 4の損害を被る可能性に備えて保険に加入する。事故が起 きたときはxD0,起きないときはxD4であり,事故が起きる確率は12 であるとする。

保険によって損害は全額が保障される。すると保険料をyとすれば,保険に加入したとき には事故が起きても起きなくてもxD4 yである。このとき効用関数u1の人は約2.25 までの保険料を払う。

20.4 y/ .4 y/2 D32 より

y2C12y 32D0 となり,yD 6C2p

172:25を得る。

同様にして効用関数u2の人は2までの,効用関数u3の人は約1.83までの保険料を払う。

20.4 y/C.4 y/2D48 より

y2 28yC48D0 となり,yD14 2p

371:83を得る。

効用関数u1の人は危険回避的,効用関数u2の人は危険中立的,効用関数u3の人は危 険愛好的である。

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