第 2 章 消費者の行動 25
2.3 所得の変化と消費
2.3 所得の変化と消費 41
U1 U2
U3
M1
N1 M2
N2 M3
N3 A
B C
Xの消費量 Y
の 消 費 量
図2.7 所得の変化と消費
2.3 所得の変化と消費
2.3.1 所得変化の効果
図2.7参照。所得が変化すると消費量の選択はどのような影響を受けるだろうか。各財 の価格が変化せず所得だけが増加すると,購入可能な財の量が増えるので予算制約線は
(傾きは変わらず)上に向かって平行に移動する。図のM1N1,M2N2,M3N3は上にいく ほどより大きな所得に対応している。それぞれの予算制約線は点A,B,Cで無差別曲線
点である。
*7限界代替率は無差別曲線の接線の傾きであるとともに限界効用の比にも等しい。簡単な計算 で確認すると,効用関数u.x; y/D定数 としてx,yの変化の関係を考えると
@u
@xdxC@u
@ydyD0 となる。@u
@x,@u
@y はそれぞれ限界効用を表す。この式から
dy dx D
@u
@x
@u
@y が得られる。dy
dx は無差別曲線の接線の傾きであるから,その大きさが限界効用の比に等し いことがわかる。
2.3 所得の変化と消費 43
U1 U2
U3 M1
N1 M2
N2 M3
N3
A B C
Xの消費量 Y
の 消 費 量
図2.8 所得の変化と消費――下級財
U1,U2,U3に接しているが,各点はそれぞれの所得のときの最適な消費量の組み合わせ を示している。点A,B,Cを結ぶ曲線は所得消費曲線と呼ばれる。この図では所得消費 曲線は右上がりになっている。これは所得の増加とともにX財の消費量も,Y財の消費 量もともに増加するということである。このような場合X財,Y財は上級財(あるいは 正常財)と呼ばれる。
2.3.2 下級財のケース
所得が増加した場合にすべての財の消費量が減ることはありえない(そうすると予算が 余ってしまう)が,すべての財の消費量が増えるとは限らない。財によっては所得の増加 に伴って消費量が減少することも起こりうる。図2.8のようなケースでは所得がM1N1か らM2N2に増加するときにはX財,Y財ともに消費量が増えているが,M2N2からM3N3 に増加するときにはXの消費量は増えるが,Yの消費量は減少している。このケースの Y財のように所得の増加によって消費量が減少する財は下級財(あるいは劣等財)と呼ば れる。下級財の例としてはマーガリンがよく取り上げられる。所得が少ない間は安いマー ガリンを買うが,所得が多くなるとバターを買うようになりマーガリンの消費が減るとい うわけである。複数の財があって,それらは同様の目的に使われるが価格や品質に差のあ る場合,価格・品質の低い方の財が下級財になる可能性がある。
2.3.3 需要の所得弾力性
所得の変化に対して財の需要がどのように反応するかを表す指標が需要の所得弾力性で ある。式で表現すると以下のようになる。
需要の所得弾力性D 需要の変化率所得の変化率
先頭にマイナスはつけない。所得が10%増えて需要が20%増えれば需要の所得弾力性 は2になり,所得が5%減って需要が15%減れば需要の所得弾力性は3である。需要の 所得弾力性は上級財についてはプラス,下級財の場合はマイナスの値をとる*8。主食や電 気・ガス・水道など生活必需品は所得が少なくてもある程度消費しなければならないが,
所得が増えても消費量がさほど多くならないと考えられるので需要の所得弾力性は小さく なる,具体的には1より小さいプラスの値になると考えられる。一方,教養,娯楽関係へ の支出など生活にゆとりをもたらすような消費項目については需要の所得弾力性は1より 大きくなるものと考えられる。