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ベルトランモデル

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第 3 章 企業の行動 92

3.13 ベルトランモデル

3.13 ベルトランモデル

3.13.1 ベルトラン均衡 - 同質財を生産する場合

クールノーのモデルでは各企業が産出量を決めると考えたが,価格を決める場合はどう なるだろうか*24。同質財を生産する複占で企業A,Bの限界費用(平均費用も)は2であ り(固定費用はない),需要が

pD20 x y

で表される場合を考える。まず企業A,Bがともに価格を8にしていたとすると(産出 量は等しいものと仮定する)両企業の利潤は36である。ここで企業Aが価格を7に下げ ると,同質財であるからすべての消費者が企業Aの財を買うことになり企業Aの販売量 は13,利潤は65に増える。したがってクールノーモデルの均衡は企業が価格を選ぶベル トランモデルでは均衡とならない。もちろんこのとき企業Bの販売量,利潤は0である。

それに対抗して企業Bが価格を6に下げるとすべての消費者が企業Bの財を買うことに なり企業の販売量は14,利潤は56になる。そのとき企業Aの販売量,利潤は0である。

それに対抗して企業Aが価格を4に下げると販売量は16,利潤は32になる, と考え ていくと価格が2より高い限り各企業は相手よりもわずかに低い価格をつけてすべての消 費者を奪いそれまでよりも大きな利潤を得ることができる。ともに価格が2になると両企 業の利潤は0になる。それ以上に価格を下げると売れば売るだけ損をすることになるし,

自分だけが価格を上げると誰も買ってくれない。したがってともに価格2をつけ利潤が0 になる状態が均衡となる。この均衡はベルトラン均衡と呼ばれる。このような競争行動を 考えれば企業数がわずかに2であっても完全競争と同様の均衡が実現するのである。この ベルトラン均衡もクールノー均衡と同様にゲーム理論のナッシュ均衡の一種である。

3.13.2 同質財で費用関数が二次関数の場合のベルトラン均衡

企業A,Bの産出量をx,y,財の価格をpA,pB とし,pA,pB の内小さい方をpと して逆需要関数が

pD1 x y で,各企業の費用が 1

2x212y2であるとする.企業は価格を決め,消費者は安い方の企業 の財を購入する.両企業が同じ価格を提示したときは 1

2 ずつの消費者が各企業の財を買 う.企業Aが独占の場合はpA D 13 のときに利潤が0になり(そのときpB > pA であ る,企業Bが独占の場合も同様),それより大きければ利潤は正,小さければ負である.

*24企業が決める変数を「戦略変数」と呼ぶ。クールノーのモデルでは産出量が戦略変数であり,

ここで考えるベルトランのモデルでは価格が戦略変数である。

A A 2 A = A= 3

両企業が生産をする複占の場合はpA DpB D 15 のときに利潤が0になり,それより大き ければ利潤は正,小さければ負である.

pDpADpB として 1 p

2 p .1 p/8 2 =0よりp= 15 を得る.

また,pD 37 のときに独占と複占の利潤が等しくなり,それより大きければ独占の方が,

小さければ複占の方が利潤が大きい.

.1 p/p 12.1 p/2= 1 p2 p .1 p/8 2 よりp= 37 が得られる.

このモデルにおいて均衡は以下のようになる.

pDpADpB1

5 5p5 37

そのとき独占より複占の方が利潤が大きい(かあるいは等しい)ので,ある企業が価格を 下げて独占にしても利潤は増えず(1

3 より低い価格をつけて独占にすると利潤は負にな る).もちろん上げれば利潤は0になる.1

5 より価格を下げて独占にしてももちろん利潤 は負になるが,両企業が15 より低い価格をつけると,両企業ともに利潤が負になるのでそ のような均衡はない(価格を上げれば利潤は0).一方37 より高い価格をつける独占にお いても複占においても,一つの企業(独占の場合はもう一方の企業)がその価格よりわず かに低く 37 よりは高い価格をつけることによって利潤を増やすことができるので均衡に はならない.

均衡において15 < p5 37 のときには企業は正の利潤を得る.そのとき価格を下げて独 占にしても得にならないので限界費用が一定の場合と同様のメカニズムが働かない.

3.13.3 ベルトラン均衡 - 差別化された財を生産する場合

上記のクールノーモデルと同様に2つの企業が差別化された財を生産するケースを考え る。企業をA,B,それぞれの産出量および需要をxA,xB,各財の価格をpA,pB とす る。差別化された財なので価格が異なる可能性がある。それぞれの(逆)需要関数を

pA D12 xA kxB

pB D12 xB kxA

と仮定する。 1 < k < 1である。この両式から xAD 1

1 k2Œ12.1 k/ pACkpB xB D 1

1 k2Œ12.1 k/ pBCkpA

3.13 ベルトランモデル 141 が得られる。これらが需要関数である。簡単化のために費用をゼロとする。企業Aの利

潤は

AD 1

1 k2Œ12.1 k/ pACkpBpA

となる。各企業は相手の価格を与えられたものとして自らの利潤が最大となるようにその 価格を決めるから,利潤を最大化する価格は

pA D6.1 k/C 1 2kpB

を満たす。同様に

pB D6.1 k/C1 2kpA

を得る。これらが反応関数である。したがって均衡価格 pADpB D 12.1 k/

2 k

が求まる。0 < k < 1または 1 < k < 0のとき,この価格は差別化された財を生産する クールノー均衡における価格よりは低いが*25,同質財のベルトラン均衡(費用がゼロなの で価格もゼロになる)の価格よりは高い*26。企業間で費用が異なれば通常は均衡価格も異 なる(演習問題69参照)。

kに数字を入れてクールノーモデルを含めて計算の練習をしてみていただきたい。たと えば

pAD24 2xA xB

pB D24 2xB xA

あるいは

pAD24 2xACxB

pB D24 2xBCxA

などで。

*25

12 2Ck

12.1 k/

2 k D 12k2

.2Ck/.2 k/> 0

*26kD1に近づいた極限が同質財の場合である。

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