第 2 章 消費者の行動 25
2.2 効用最大化
2.2.1 予算制約式・予算制約線
消費者は自らの予算の制約のもとで行動を決めなければならない。予算の制約は式と図 で表される。1万円の所得を得て1単位の価格100円のX財と価格200円のY財を購入
2.2 効用最大化 39
M
N N0 Xの消費量 Y
の 消 費 量
図2.5 予算制約線
するとすると,予算の制約を表す式は
100xC200yD10000
となる。この式を予算制約式と呼ぶ。XとYの消費量はそれぞれx; yで表されている。
予算を全部使う必要はないので予算制約式は厳密には不等式で表されるべきであるが,1 回限りの消費を考えると選好の単調性の仮定から予算を残すよりも全部使って消費量を増 やした方がよいので等式になる。一般的には所得をm,XとYの価格をpx; pyで表す と,予算制約式は
pxxCpyyDm
と書き表される。これを図に描いたのが図2.5の直線MNである。この直線を予算制約 線と呼ぶ。Nの座標は.m=px; 0/(上の例では(100,0)),Mの座標は.0; m=py/(上の例
では(0,50))である。点Mは所得全額をYに使った場合にいくら買えるかを,点Nは所
得全額をXに使った場合にいくら買えるかを表している。予算制約線の直線としての傾 きは px=pyであるが,その大きさは『X財のY財に対する相対価格』に等しい。X財 のY財に対する相対価格とは,X財1単位と交換にY財を何単位手に入れることができ るかを意味する。
X財の価格px が高くなると予算制約線は図のMN0のように変化する。予算制約線が 内側に回転するのはX財の価格が高くなることによって同じ予算で買えるXの量が少な くなるからである。
U2 U1 U3 M
N C
E
B A
Xの消費量 Y
の 消 費 量
図2.6 消費者の選択
2.2.2 消費者の選択・効用最大化
消費者は予算制約のもとで効用が最大となるように財の消費量の組み合わせを選択する のであるが,その選択を無差別曲線と予算制約線とを用いて図で表すことができる。消費 者は予算制約線MN上の点が示す消費量の組み合わせしか選択できない。その中で最も 効用が高いものあるいは最も選好順序が上位にある組み合わせを選択する。たとえば図 2.6の点A,Bは選択可能な消費量の組み合わせの例を示しているが,これらは最大の効 用を与える点ではない。なぜならば予算制約線上で点Aより少し右下の点(図には描い ていないが)を考えるとそれは点Aと点Bを通る無差別曲線より上にあるので点Aより 大きい効用を与える,同様に点Bより少し左上の点も点Aと点Bを通る無差別曲線より 上にあり,点Bよりも,また点Aよりも大きい効用を与える。このように考えると予算 制約線上で最も大きい効用を与える点は,予算制約線の上でその点の右下の点も左上の点 もその点を通る無差別曲線より下にある点ということになる。それは予算制約線と無差別 曲線とが接する点Eである。点Eより右下の点も左上の点も,点Eを通る無差別曲線よ り下にあり効用は小さい。またこの点より効用が大きい点,図の点Cなどは予算制約線よ りも上にあり実現不可能な(この消費者の所得では買えない)消費の組み合わせである*6。
*6無差別曲線を地図の等高線,予算制約線を山の中腹を通る一本の道になぞらえて考えれば,
ある道に沿って山を登って行ったときにその道の中で最も高い地点を求めることと同じ論理 である。道と1つの等高線が交わっていれば道はその等高線よりも高く上って行くが,道と 等高線が接している場合にはどちら向きに歩いても下がって行くのでその接点が最も高い地
2.3 所得の変化と消費 41