• 検索結果がありません。

クールノーの寡占モデル

ドキュメント内 i * III () 23. *1 (ページ 144-149)

第 3 章 企業の行動 92

3.11 クールノーの寡占モデル

利潤はゼロである。x以外の産出量では平均費用の方が価格(価格は需要曲線によって 表されている)より大きいので利潤はマイナスになっておりxにおいてのみ利潤はゼロ である。均衡において平均費用曲線と需要曲線とが接するということは,その点において 平均費用曲線が右下がり(産出量の増加に伴って平均費用が下がる)になっていなければ ならない。すなわち独占的競争の均衡にはある程度の規模の経済性が必要である。規模の 経済性の度合いに応じて参入できる企業の数も変わる。規模の経済性の度合いが小さけれ ば一つ一つの企業の産出量は小さくなり多くの企業が参入可能となるが,規模の経済性の 度合いが大きければあまり多くの企業が参入できなくなる。

3.11 クールノーの寡占モデル

3.11.1 クールノーモデル - 同質財の場合

独占的競争では完全競争と同様に多くの企業が差別化された財を生産している産業を考 えた。独占ではないが企業数が少ない産業は寡占(oligopoly)と呼ばれる。寡占には同質 的な財を生産している場合と,差別化された財を生産している場合がある。ここでは2つ の企業が同質的な財を生産する最も簡単なケースを考えよう。企業数が2つの寡占は特に

複占(duopoly)と呼ばれることがある。具体的に企業Aと企業Bが,ある同じ財を生産

しているとする。その財の需要は以下のような需要関数で表されると仮定する。

pD20 X (3.13)

pはこの財の価格,X は需要である。企業Aと企業Bの産出量をそれぞれxyで表す と市場均衡においてはX DxCyとなっていなければならない。各企業が産出量を決め るとそれに応じて価格が決まる。企業A,Bの費用関数は同一であり,c.x/D2xおよび c.y/D2yで表されるものとする。したがって各企業について限界費用も平均費用(およ び平均可変費用も)も一定で2に等しく,固定費用はない。企業Aの利潤は

A Dpx 2xD.20 x y/x 2x (3.14)

同様に企業Bの利潤は

B Dpy 2yD.20 x y/y 2y (3.15)

と表される。ここで,企業A,企業Bは以下に述べるクールノーの仮定に従った行動をと るものとする。

クールノーの仮定 企業A(またはB)は,企業B(またはA)の産出量を与えられたものと して,あるいは企業B(またはA)の産出量は変化しないものと考えて,自分の利潤 が最も大きくなるように産出量x(またはy)を決める。

AD.20 x y/x 2xD x2C.18 y/x D Œx .9 1

2y/2C.9 1 2y/2

と変形でき,二次関数の最大値を求める手法によって企業Aの利潤を最大化するxは次 の式を満たすことがわかる。

xD9 1

2y (3.16)

この式は,企業Bが選んだ(あるいは選ぶであろう)産出量yに対応して企業Aは(3.16) より求められる産出量を選ぶということを意味する。同様の計算で企業Bについて

yD9 1

2x (3.17)

が得られる。(3.16)は企業Aの,(3.17)は企業Bの反応関数(reaction function)と呼ば れる。均衡においては両企業の産出量が利潤最大化の条件を満たしていなければならない

から,(3.16),(3.17)の両方の式が成り立っていなければならない。したがってこれらを

連立一次方程式として解くと各企業の産出量が次のように求まる。

xDyD6 (3.18)

このようにして求められた寡占の均衡はクールノー均衡と呼ばれる。クールノー均衡の考 え方はゲーム理論のナッシュ均衡と基本的に同じなので,ナッシュ・クールノー(あるい はクールノー・ナッシュ)均衡とも呼ばれる。(3.13)より財の均衡価格はpD20 12D8 となり,企業A,Bの利潤は36と求まる。この例では両企業の費用関数が同一なので均 衡において選ばれる産出量も等しいが,費用関数が企業によって異なっている場合はそう はならない。

寡占のモデルは図で表すこともできる。図3.14のRA,RBはそれぞれ企業A,Bの反 応関数(3.16)と(3.17)を図示したものであり,反応曲線(reaction curve)と呼ばれる。図 では直線になっているが,これは需要関数も費用関数も一次式であるためで一般的には直 線になるとは限らない。均衡においては両企業が反応関数(曲線)にもとづいて産出量を 選んでいるので,RAとRBの交点Cがクールノー均衡を表す。

3.11.2 クールノーモデル - 企業数が 3 以上の場合

企業数が3以上の場合のクールノーモデルも複占と同じように考えることができる。ご く一般的に表してみよう。企業数をn(正の整数),各企業をiで表しその産出量をxi, 合計の産出量をX,価格をpとする。また需要関数(逆需要関数)を

pDp.X /

3.11 クールノーの寡占モデル 135

C RA

RB

6 9

6 9

企業Aの産出量 企

業 B の 産 出 量

図3.14 クールノーの寡占モデル

企業iの費用関数を

c.xi/

とし,費用関数はすべての企業に共通であるとする。固定費用はc.0/と表すことができ る。企業iの利潤は

i Dp.X /xi c.xi/ であるから,利潤最大化の条件は

@i

@xi DpCxip0.X / c0.xi/D0

となる。c0.xi/は限界費用であり,p0.X /は需要曲線の傾きを表す。各企業は自分以外の 企業の産出量を与えられたものとして利潤を最大化するのでxiの変化はX の変化に等し く,単純にp.X /を微分すればよい。具体的にpD10 Xc.xi/Dxi2C2とし,すべ ての企業について費用関数が同一なので均衡における産出量も等しいことを考慮すれば利 潤最大化条件は

10 .nC1/xi 2xi D0 となり,

xi D 10 nC3

が得られる。このとき価格はpD n30C3 に等しく,各企業の利潤は i D 200

.nC3/2 2

ので

200

.nC3/2 2=0 から,nD7となるまで企業が参入することがわかる。

3.11.3 クールノーモデル - 差別化された財を生産する場合

2つの企業が差別化された財を生産するケースを考える。企業をA,B,それぞれの産 出量をxA,xB,各財の価格をpA,pB とする。差別化された財なので価格が異なる可能 性がある。それぞれの(逆)需要関数を

pA D12 xA kxB

pB D12 xB kxA

とする。k 1 < k < 1を満たす定数であり,k1に近づいたときの極限が同質財の 場合に対応する。kが正の場合は両企業の財が代替的であることを,負の場合は補完的で あることを意味する。簡単化のために費用をゼロとする。企業Aの利潤は

AD.12 xA kxB/xA

となり,利潤を最大化する産出量は

xAD6 k 2xB

を満たす。同様に

xB D6 k 2xA

を得る。これらが反応関数である。kの符号によって傾きが異なる。これらから均衡産 出量

xADxB D 12 2Ck が求まる。また,そのときの価格は

pADpB D 12 2Ck となる。

3.11 クールノーの寡占モデル 137

3.11.4 独占的競争の簡単なモデル

モデルの構造は企業数が3以上の場合のクールノーモデルと似ている。n社の企業が互 いに差別化された財を生産し,各企業の需要関数は次のようであるとする。

piDa b Xn

jD1;j¤i

xj xi

pi は価格,xi は産出量である。Pn

jD1;j¤ixj はi 以外の企業の産出量の和に等しい。

a > 0,b.0 < b < 1/は定数。nは定数ではなく企業の利潤がゼロになるという条件に よって決まる。各企業の費用関数を次のように仮定する(cf は正の数)

ciDcxiCf

cは一定の限界費用,f は固定費用である。そうすると各企業の利潤は次のように表さ れる。

i D.a b Xn

jD1;j¤i

xj xi/xi cxi f

すべての企業の産出量が等しいとすると利潤最大化の条件 a Œ.n 1/bC2xi cD0 によって

xiD a c .n 1/bC2 を得る。そのとき企業の利潤は

i D

a c .n 1/bC2

2

f Dx2i f を満たす。これがゼロに等しいとすると

xi Dp f

が得られる。一方各企業の平均費用ACiは次のように表される。

ACiDcC f xi

xiを横軸にとって描いた平均費用曲線の傾きは dACi

dxi D f x2i

iD

dACi

dxi D 1

が得られるが,これは(他の企業の産出量を一定と仮定した)各企業の需要曲線の傾きに 等しい。すなわち各企業が最大化した利潤がゼロとなるまで企業が参入した均衡において は需要曲線と平均費用曲線は接しているから(利潤がゼロであることよりこれらは交わ り,さらに傾きが等しい),このモデルは図3.13に描かれている独占的競争の均衡を表現 していると考えられる。

ドキュメント内 i * III () 23. *1 (ページ 144-149)