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半導体 IP 置き換えのシミュレーション

ドキュメント内 製品開発における設計負荷とその低減 (ページ 123-126)

第 4 章 設計プロセスにおけるイタレーションの モデル理論と実践

4.7 解析結果

4.7.5 半導体 IP 置き換えのシミュレーション

ここまで本設計プロジェクトを一対比較行列によって設計工程の構造的見地からモデリン グを行い、設計工程の進展過程を固有値と固有ベクトルを切り口として解析を行ってきた ところ、「VUP CPUブロックの設計」を含むタスクのグループが「論理とタイミング上の設 計検証問題」として特定され、これらがイタレーションを起こして本設計プロジェクトに 大きな負荷を与えていることが判った。そこで発展的アプローチとして、「VUP CPUブロッ クの設計」と依存関係にあるタスクを恣意的に調整することで、プロジェクトに与える負 荷がどのように変化するか観測する。VUP CPUブロックは前述の通り、ソフトIPの属性を

持つプロセッサである。ソフトIPには設計者が物理設計領域での論理回路設計と検証を十 分行う必要があり、多大な時間と経費がかかるという特徴があった。そこで、このブロッ ク を ハ ー ド IP の 属 性 を 持 つ プ ロ セ ッ サ で 置 き 換 え た モ デ ル を 作 成 し 、 そ の 場 合 の

1/(1-Re[λn])と総所要時間量のベクトルUを算出する。ハードIPへのブロックの置き換えに

あたっては二つのモデルを想定する。それらをシミュレーション事例-1、シミュレーション 事例-2とし、前項までの解析を行った実設計事例とあわせて図4.10に示す。

図 4.10(b)に示すシミュレーション事例-1 では、「VUP CPU ブロックの設計」すなわち

WBS16とそれと関係する全てのタスク間の依存性の強度を、実設計事例図4.10(a)で設定し

た強度よりレベルを一つ下げている。すなわち実設計事例において依存性の強度が強(○) であったところを中間(△)に、中間(△)であったところを弱(×)に、そして弱(×)であったと ころを依存性がないとしている。この置き換えは、VUP CPUブロックをハードIPに交換す ることと、ここで準備されたハードIPのバス周辺やインタフェース等の回路修正が必要な 状況を想定している。

図4.10(c)に示すシミュレーション事例-2では、WBS16とそれと関係する全てのタスク間

の依存性の強度を、実設計事例で設定した強度よりレベルを二つ下げている。すなわち実 設計事例において依存性の強度が強(○)であったところを弱(×)に、中間(△)と弱(×)であっ たところを依存性がないとしている。この置き換えは、VUP CPUブロックをハードIPに交 換することと、ハードIPのバス周辺やインタフェース等の回路修正がほとんど必要ない状 況を想定している。回路修正がほとんど必要ない分だけ、これと関係するタスクとの依存性 は小さいのである。

シミュレーション結果を表4.2に示す。1/(1-Re[λ1])は、実設計事例、シミュレーション事 例-1、シミュレーション事例-2の順で減少している。また「VUP CPUブロックの設計」の

時間量も1/(1-Re[λ1])と第一固有ベクトルの相乗効果で減少し、総所要時間量の合計も減少

している。これらの結果から、第一固有ベクトルから特定される問題が設計工程全体に及 ぼす負荷が低減したことが判る。すなわち、ハードIPへの置き換えが「論理とタイミング 上の設計検証問題」の解決策となることが検証された。一方、1/(1-Re[λ2])と 1/(1-Re[λ3]) では、二つのシミュレーション事例の値のほうが実設計事例の値よりも大きい。これは

1/(1-Re[λ1])の減少により相対的に増加したと考えられる。第二固有ベクトルから特定され

る問題すなわち「物理設計上のインプリメンテーション問題」の負荷が相対的に増加した ことが検証された。

シミュレーション結果から考察されることは、イタレーションを生じさせるタスクの代 替策を想定し、1/(1-Re[λn])、固有ベクトル、総所要時間量のベクトルUの大きさやその変 化を観測することは、プロジェクトの解析に有用であるということである。つまりプロジ ェクト・マネージャは、VUP CPUブロックをハードIPに交換することや、周辺インタフェ ース設計が必要かどうかということを定量的に判断できるということである。

図4.10  半導体IPの置き換えによるシミュレーション z 実設計プロジェクト

z WBS16ではソフトIPを使用

z 依存性強度: 3レベル

(a) 実設計事例

z WBS16をハードIPに交換

z ハードIP周辺インタフェース 設計要

z 依存性強度: 2レベル

(b) シミュレーション事例-1

z WBS16をハードIPに交換

z ハードIP周辺インタフェース 設計済

z 依存性強度: 1レベル

(c) シミュレーション事例-2

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