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革目標が達成できていない。カリキュラムと教授法では、変化があるように見えるが、主 に文章の書き直しと授業の行う方法という表面的な変化である。政府も、教師も改善した いという姿勢を表しているが、なぜ効果がなかっただろう。次の 4.において、第 3 章につ いてまとめ、ベトナム南部の課題の原因を再度取り上げるとともに、その方策を考えたい。

であり、その中で、教師研修のリーダーとなる教師を作って行く必要がある(當作、

2016)。ベトナム人の教師たちが自分の課題を自覚し、自分に合った改善方法を考え、課 題を解決するため努力することができないかぎり、改革運動は効果的に実施されない。

3)「2020 国家外国語プロジェクト」の任務の1つは教師の能力を向上させるため、教師 研修など行うことであるが、教師の外国語能力のみに注目した研修になっている。

ベトナムの新しい教育の目標は全面的な人間を育成することである。教師は従来の教育 を受けた人であるため、その「全面的な人間」を育成するため、まず、新しい教育の条件 に応える能力を身につけなければならない。これからの教師は、知識のソースとなるだけ ではなく、自立的な学習者、生涯学習者を作るための学習機会のデザイン、学習コミュニ ティーの開発が主要な役割となる。教師中心の教育モデルではなく、学習のパートナー、

ファシリテーター、アクティベーターとして学習者中心の学習モデルを構築する必要があ る。コミュニティーに出て学習者が学習し、現実場面で実世界での行動のために必要な能 力を発展させるため、つながりを作るのを手伝うのも教師の仕事である。解決すべき問題 を学習者に与え、問題解決能力などの 21 世紀のスキルを伸ばすための環境を作るのも教師 の仕事である(當作、2016)。そのため、新しい時代の教師には、言語能力のみならず、

むしろ他の能力が求められるにもかかわらず、「2020 国家外国語プロジェクト」のもとに 開催した研修では言語能力だけを対象をしており、十分な研修だと言えない。

言語能力より、指導能力、コミュニティーを構築し、参加する能力等は新たな要素で、

教師研修など通して強調すべきである。さらに、教師研修はこれからの外国語教育のモデ ルとして行うべきだが、言語能力だけが取り上げられたため、従来の教育と同じく「知 識」を重視するイメージをもって受け止められる可能性が高い。他方、「2020 国家外国語 プロジェクト」を運営している人たち自身が、新しい教育の方針を文面上では明記してい るが、その本質を十分理解していないと思われるため、従来の教育とほぼ変わらないこと を行っている疑いも生じる。いずれにしても、新しい教育のあるべき姿を正確に教師に伝 えられてはいないと言える。

以上、ベトナム南部の日本語教育の現状、課題とその原因をまとめた。ベトナムの政府 は多様な外国教育政策を採用しているが、その政策の実施を充分支えられる対策は確保さ れていかった。「2020 国家外国語プロジェクト」は 2016 年時点において「効果がでなかっ た」「失敗した」と言われ、2025 年までの目標が新たに設定されたが、実際性に欠け目標を 達成することは困難だと指摘されている。筆者は「2020 国家外国語プロジェクト」が失敗 した原因は主に上記の 3)で述べたことだと推測している。新しい教育の本質が正確に理解 されなかったため、実施方法を誤ったというより、その新しい教育がまだ実施されていな

いのではないかと思われるからである。さらに、まだ実施されていないため、実施上の課 題とその原因も正確に取り上げられない状況であるから、現状のままでは日本語教育の改 革、ベトナムの外国語教育改革を推進していくことは困難だと思われる。

本研究は、この推測を踏まえて、現場の教師が自律的に、能動的に自分の課題を解決す ればよいのではないかという観点から、日本語教育の改革を実験してみる。教師の収入を 向上させたり、日本語教育に助成金を出すような政府レベルの課題は、教師のレベルで解 決することはできない。また、カリキュラムや教材など変更に時間が必要なことも多い。

しかし、教育の現場ですぐに対応できる課題もある。なかでも、日々学習者と接している 日本語教師の役割は大きく、教師の意識次第で日本語教育の状況が変わる可能性は非常に 高い。第 4 章では、その改革の実験について述べたい。